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物流業界の人手不足は深刻ってホント?現状と課題、解決策について解説

物流業界 人手不足4_日本トータルテレマーケティング

近年、物流業界では人手不足が深刻な問題です。コロナ禍以降、これまでよりもインターネット通販の普及が加速してきている一方で、トラックドライバーや倉庫内スタッフの人手不足によって起きている問題はさまざまです。

ここでは、物流業界における人手不足の現状や具体的な課題、それらを解決するための対策について詳しく解説します。


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物流業界の人手不足の現状

物流業界 人手不足3_日本トータルテレマーケティング

初めに、物流業界の人手不足の現状をデータで確認しましょう。2025年1月時点の有効求人倍率について、貨物自動車を含む自動車運転従事者は2.76と出ています。有効求人倍率は「有効求人数÷有効求職者数」で計算できます。有効求人倍率が1を超えると求職者数よりも求人数のほうが多い状態だといえるため、2.76は高い倍率であることがわかります。

また、2023年の宅配便取り扱い個数は50億733万個(うちトラック運送は49億1,401万個、航空など利用運送は9,332万個)です。前年度と比較すると145万個(約0.3%)増加しています。便名ごとのシェア率を見ると、トラック運送については、上位5便で全体の約99.8%であることがわかります。
このように数字で見ると、物流業界の人手不足がより深刻に感じられるでしょう。

出典:
一般職業紹介状況(令和7年1月分)参考統計表|厚生労働省
令和5年度宅配便・メール便取扱実績について|国土交通省

物流業界の人手不足を引き起こす課題

物流業界 人手不足5_日本トータルテレマーケティング

そもそも、物流業界ではなぜ人手不足が起こっているのでしょうか。主な原因としては、トラックドライバーの高齢化、物流業界へのネガティブなイメージ、宅配件数の増加などが挙げられます。

ここからは、考えられる具体的な課題を分析します。

トラックドライバーの高齢化・若手不足

道路貨物運送業の年齢構成を見ると、30代以下の若年層が少なく、50代以上が増加しています。

特に50代の割合は全産業平均を上回っており、平均年齢も近年上昇傾向にあります。トラックドライバーの若手の担い手が減っており、高齢化が進んでいる状況です。

出典:
(補論)物流業の人手不足問題|内閣府
令和5年 労働力調査|総務省

長時間労働と給与水準の低さ

物流業界が人手不足である要因として、ハードワークであることも挙げられます。長時間の運転に加え、年齢に準ずる昇給幅が狭く、給与水準が低いことも問題です。公益社団法人全日本トラック協会によると、トラックドライバーの年間労働時間が全産業平均と比較して、大型トラック運転者で432時間(月36時間)と長く、中小型トラック運転者で384時間(月32時間)長いという結果が出ています。

「物流の2024年問題」として、2024年4月1日以降、トラックドライバーの1日の拘束時間の上限は原則13時間以内、時間外労働の上限として、臨時的な特別な事情として1年間に認められる場合であれば960時間が上限として定められました。

拘束時間(1日)

原則:13時間以内
   (上限 15 時間、14 時間超は週2回までが目安)

例外:宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、16 時間まで延長可(週2回まで)

時間外労働の上限(月・年)
(特別条項付き36協定)

原則:月45時間、年360時間

例外:臨時的な特別な事情がある場合
   年960時間

出典:
統計からみるトラック運転者の仕事|厚生労働省
トラック運送業界の2024年問題について|公益社団法人 全日本トラック協会
トラック運転者の 改善基準告示ー2024年4月適用ー |公益社団法人 全日本トラック協会

力仕事が多く肉体的負担が大きい

人手不足の要因として、体への負担が大きいことも挙げられます。配送では重い荷物を持ち上げたり運んだりするため体力・筋力を求められる場面が多々あり、トラックドライバーとしての働き手になれる人は限定されてしまうことが現状です。女性や、体力・筋力に自信のない人が活躍できる場所を提供できるようになると、働き手が限定されることなく幅広い人材の確保ができるでしょう。

そのため、どのような人でも問題なく働けるような環境づくりをする必要があるといえます。

物流業界にマイナスイメージがある

物流業界に興味があるけれど、ネガティブなイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。

以下のようなイメージを持っていれば、応募を躊躇するケースも考えられます。そういった印象を払拭することも、課題を解決するための1つの方法です。

・重労働のため、体への負担が大きそう
・長時間の労働だが、給与は高くなさそう
・運転に自信がなければ難しそう
・休みがとりづらそう
・事故のニュースをよく見るため怖いイメージがある

宅配件数の増加(EC市場拡大)

近年、ECサイト普及の影響を受けて宅配便の取り扱い件数が増加しています。2011年の宅配便合計数は3,401万個でしたが、2021年は4,953万個と、10年間で1,552万個増加していることがわかります。

また、ラストワンマイル配送の負担が増えていることも関係しています。ラストワンマイル配送とは、物流の最終段階のことを指しています。物品が物流の最終拠点から顧客に届くまでの区間を意味する言葉です。宅配便取り扱い件数が増えることでその間の負担も比例して増え、最終的な人手不足の要因です。

出典:宅配便取扱個数の推移|国土交通省

積載効率減少

積載効率が悪い状態での配送も、人手不足の原因です。空車での配送や、荷主から即時配達を依頼された場合、運べる荷物の個数に余裕がある状態でも顧客に届けにいく必要があります。

積載効率が低下することでその分働き手を補填する必要があり、需要に対応できないのが問題です。積載効率が悪くなるとトラックドライバーの稼働時間が長くなり、人手不足につながってしまいます。

倉庫内スタッフの確保も困難

物流業界の人手不足は、トラックドライバーだけを増やせば解決するわけではありません。倉庫内で荷物を整理するスタッフの確保も困難です。

機械で重い荷物を持ち上げるには、フォークリフト免許の所有者や、体力・筋力がある人を雇う必要があります。また、倉庫内のスタッフはロボットを導入したり、在庫管理をシステム化したりといったデジタル化が進んでいません。それに加えて労働生産性が低いこともあり、余裕を持って人数を確保することは難しいのが現状です。

物流業界における人手不足の解決策

物流業界 人手不足2_日本トータルテレマーケティング

物流業界における人手不足に対して、解決策を考え積極的にアプローチをする必要があります。

ここからは、モーダルシフトや物流ロボットの導入など、現在考えられているさまざまな解決策の詳細を具体的に解説します。

配送作業

初めに、配送作業視点での解決策です。トラックドライバーの人手不足について焦点を絞り、具体的にどのような方法を導入できるのかを確認しましょう。

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モーダルシフトの導入

1つは、モーダルシフトを導入することです。モーダルシフトとは、輸送するうえでの一部区間を、トラックだけに頼らず鉄道や船に置き換えることを指します。すべての運搬をトラックに頼らないことで、トラックドライバーの不足や長時間労働の解消が狙えるメリットがあり、車を使わないことでCO2の削減も見込まれます。一方で鉄道や船では、悪天候や事故などのトラブルが発生した際、他の経路で運搬するといった融通が利きにくいことはリスクです。また、トラックよりも鉄道や船のほうが、顧客の手元に届くまでに時間を要することもデメリットといえます。

顧客の手元にすぐに届くことは顧客目線では助かりますが、人手不足解消の観点では課題となります。モーダルシフトをうまく取り入れられれば、人手不足解消の有効な手段となり得ます。

共同配送の導入

共同配送を導入することも、人手不足解消への正しいアプローチです。共同配送とは、複数の企業が共同して配送する仕組みのことを指します。例えば同じ店舗に運ぶ商品は同じトラックで搬送する形にすると、人手不足解消のみならず積載効率を上げることも可能です。一方共同配送をするにあたり、企業同士でのシステムの共有や協力は欠かせません。また、1つの企業でイレギュラーな対応が必要になった場合でも、柔軟な対応が必要です。企業間でコミュニケーションを密にとることで、共同配送のシステムをうまく活用できます。

共同配送でもこういったことを踏まえたうえで取り入れ方を工夫することで、人手不足を解消できる一歩になるといえるでしょう。

倉庫作業

次に、倉庫作業の視点で人手不足の解決策を確認します。前述の通り、物流業界の人手不足問題は、配送スタッフだけを増やせばよいというものではありません。顧客の手元に届くには、倉庫スタッフの力も必要です。

ここからは、倉庫作業における解決策として具体的にどのようなことができるのかを解説します。

自動倉庫の導入

自動倉庫を導入することも、人手不足解消には効果的といえます。自動倉庫とは、倉庫内の荷物の運搬、ピッキング、仕分け作業といった作業を自動化することです。実際にこういった作業を自動化して人手不足を解消しようとしている企業も増えてきています。自動倉庫の導入が普及すると、倉庫内の必要人数が減り、物流業界全体における人手不足解消の一因にもなるでしょう。

一方で、倉庫を自動化することは多大な金銭面でのコストがかかることも事実です。また、費用だけでなく労力にも負担がかかります。ただし、一度導入すれば、長期的な課題解決が期待できます。

物流ロボットの導入

近年、さまざまな場面でロボットが活躍するようになりました。物流業界でもロボットの導入が進められています。運搬・ピッキング・仕分けといった倉庫内作業をロボットに任せることで、少人数でも対応でき、人手不足の解消につながります。代表的な例としては、AGV(自動搬送ロボット)や、AMR(自律走行搬入ロボット)、仕分けを自動化するピッキングロボットなどが挙げられます。

ロボットを導入することにも金銭面でのコストはかかりますが、こちらも一度導入すれば解決できる問題は多いといえるでしょう。最先端の技術を取り入れることが、人手不足解消の一手です。

物流システムの導入

配送、倉庫作業の視点で物流業界の人手不足問題を見てきましたが、そもそも物流のシステム自体にも改善の余地はあります。

物流システムとは、受注管理や在庫管理をシステム化することです。商品の流れを管理し、後工程を含めて作業を効率化します。管理することで人為的なエラーも防げて、作業の一部をシステム化することによる人手不足の解消も狙えます。システム化できるところをしてしまえば、その分人手を他のところに回せるのが利点です。

労働環境の積極的改善

配送や倉庫作業、システム導入の観点だけでなく、労働環境を改善することも人手不足解消の一因となるでしょう。長時間労働や給与水準が低いことは、労働生産性の低下や早期離職、高齢化の要因ともなり得ます。

例えば
・給与の改善
・長時間労働の廃止
・若い年齢層や、女性、体力に自信のない人へのアプローチ
・ロボット導入やシステム化による体への負担削減

などの方法で働き方自体の改善が必要です。

幅広い人材の採用

前述の通り、物流業界では高齢化が深刻な問題です。働き方を改善したうえで20~30代の若い年齢層にアプローチすることは、非常に重要だといえるでしょう。また、女性や体力・筋力に自信のない人は、物流業界に興味があっても挑戦できない環境にある可能性があります。

人材紹介サービスや人材派遣会社の利用を検討し、積極的に幅広い人材の採用に取り組むとよいでしょう。

人材サービスの活用

採用する対象を広げることで、人材を確保しやすい状況が作れます。幅広い人材を登用するために人材サービスを活用することも1つの手だといえます。「重い荷物を持つ仕事だから、それができる人を雇おう」「運転が得意な人に来てほしい」という形で間口を狭めてしまうと、人員に余裕をもたせることは難しいでしょう。

こちらもロボットの導入や管理のシステム化の活用が重要です。例えば体力に自信のない人にはパソコン作業、体力に自信のある人には顧客までの配送といった形で、欲しい人材の間口を広げて構えられるといえるでしょう。

物流アウトソーシングの利用

物流アウトソーシングを利用することも効果的だといえます。物流アウトソーシングとは、物流専門の企業に、自社の物流業務を委託することです。物流の専門企業は、物流に関するさまざまなノウハウを持っています。物流工程をアウトソーシングすることで、人手不足解消だけに限らず、品質の向上やノウハウの共有など、さまざまなメリットが見込まれるでしょう。また、アウトソーシングする時期もうまく活用することでより効率を上げられます。例えば、ウイルスがはやる時期や引っ越しなどの繁忙期だけ委託する、継続して委託するなど、委託の時期や方法にも工夫の余地があるという考え方です。

このように一部業務を物流専門の企業に委託することで見込まれるメリットも多くあります。

物流における人材不足のお悩みは当社へご相談ください

物流業界 人手不足1_日本トータルテレマーケティング

物流業界の人手不足は非常に深刻なものです。しかし、物流システムの導入や幅広い人材の採用など、さまざまな観点から問題へのアプローチが可能だと考えられています。一方で、人手不足の問題を自社だけで解決しようとすることは難しい側面もあることが現状です。そのようなときは当社にご相談ください。

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