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自治体DXとは?推進の目的や取り組むべき課題をわかりやすく解説

2023.05.24
  • 公共BPO

自治体DX(Digital Transformation Local Government)とは、地方自治体がデジタル技術を活用して行政サービスの改善や効率化、住民参加の促進を進める取り組みのことです。

従来のアナログな手続きや業務をデジタル化し、情報の共有や処理の効率化を推進することで、行政の効率性やサービスの質を向上させることを目指します。

以下では、自治体DXの概要と推進の目的、これからの課題について詳しく解説します。総務省の見解をベースに解説しているので、自治体職員の方はぜひご覧ください。


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自治体DXとは

自治体DXとは、自治体(市町村や都道府県)がデジタル技術を活用し、行政サービスの改善や効率化を図ることです。

自治体でDXを導入する目的は、住民サービスの向上や経費削減、行政の透明性明示など、よりよい行政サービスを提供することにあります。

自治体がDXに取り組み、住民サービスの一部をオンライン化することで、利便性が期待できます。

また、データを活用すると、適切な予算配分や住民ニーズの把握がしやすくなり、より効果的な行政運営を目指せます。

2023年5月|自治体DXにおける総務省での公式見解

「自治体DX推進参考事例集」では、地方自治体がDX推進に向けた施策を実施する際に参考にできるよう、成功事例がまとめられています。

ここでは、それぞれの要素について解説します。

体制整備

自治体がDX推進に取り組むためには、組織体制の整備が必要です。具体的には、DXを推進する部署の設置や、関連業務の一元化・統合などが挙げられます。

人材育成・確保

DX推進には、デジタル技術に精通した人材が必要です。しかし、地方自治体においては、デジタル人材の確保が難しいという課題があり、具体的な対策として、複業人材の募集や民間企業と連携しての研修が挙げられます。

内部DX

自治体がDXを推進する際には、職員の業務プロセスやワークスタイルの見直しも必要です。具体的には、ペーパーレス化やテレワークの導入などが挙げられます。

自治体DX推進の目的

総務省で公表されている自治体DX推進の目的は以下の3つです。

1.住民の利便性
2.行政サービスの向上
3.データ活用による新たな価値の創出

また上記の内容に対して、民間企業と連携しながらDXに取り組んでいる自治体が多く存在します。詳しくは後述しますが、目的を達成させる身近な重点取組事項として「マイナンバーカードの普及促進」「テレワークの推進」などがあります。

自治体DXに取り組むメリット

自治体DXを推進すれば、より利便性の高い行政サービスを提供でき、地域の発展につながるとされています。

以下で、自治体DXに取り組むメリットを紹介します。

役所内の業務効率化を図れる

オンライン手続きを導入することで、市民が来庁する必要がなくなり、窓口での業務削減が期待されています。

また、手続きの情報をデータ化すると役所内での情報共有がスムーズになり、業務効率化にも役立つでしょう。業務の自動化が進めば市民からの申請書受付や処理を自動で行えるようになり、手作業での業務を減らせます。同時に、職員の意識改革やスキルアップができれば、さらに自治体DXの発展につながることが期待できます。

地域社会全体のDXを進められる

地方自治体がDX化に取り組むことで、地元企業や地域住民にもDXの恩恵が波及し、地域経済の発展につながる可能性があります。

地域内の公共サービスや行政業務のデジタル化が進めば、日常生活でもデジタル技術を利用することが一般的になるでしょう。これにより、中小企業や農林漁業などの産業界がDXに取り組むきっかけになります。自治体が先陣を切ってDXに取り組むことで、住民や産業界がデジタル技術をより身近に感じられるのです。

また、情報公開ポータルサイトの充実や、行政情報の一元管理・共有化によって行政の透明性が向上し、自治体への信頼度も上がります。

個人情報の漏えいを防げる

紙媒体で保管されていた個人情報をデジタル化すると、手続きや申請がオンライン化でき、申請書類の紛失や誤配送のリスクを減らせます。

さらに、自治体が持つ個人情報を厳重に管理することで、個人情報漏洩によるトラブルを未然に防げます。市民のプライバシー保護を確保し、信頼を高められるのです。

ただし、デジタルデータの取り扱いにはセキュリティー対策が必要とされるため、情報漏洩に関しては、メリットと同時にリスクを考慮した対策が求められます。
 
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自治体DXの取り組み例|5つの重要取組事項から紹介

自治体DXとは、自治体がデジタル技術を活用して業務を効率化し、住民サービスの向上を図る取り組みです。

自治体DXに取り組むことで、業務の効率化だけでなく、省力化、住民サービスの充実などが期待できます。

ここでは、自治体DXの取り組み例を5つの重要取組事項から紹介します。

情報システムを標準化・共通化すること

情報システムの標準化・共通化とは、自治体が保有する情報システムを共通の基準に基づいて標準化し、業務の効率化やコスト削減を図る取り組みです。

具体的には、システムの統合や共通したデータモデルの確立、システムのセキュリティ強化などが挙げられます。

また、情報システムの利用者(自治体職員)に対して教育・訓練を実施することも、システムの効果的な活用を促進できるといえます。

マイナンバーカードの普及を促進させること

マイナンバーカードの普及を促進させることも重要な取り組み事項です。

たとえば、マイナンバーカードの出張申請サポートや電子申請システムの導入、スマホアプリでの申請書作成などです。市民がより利用しやすいと思える環境を整える必要があります。

また、近年では、マイナンバーカードを活用した新たなサービスの提供も検討されています。

一例として、自治体の図書館での貸出サービスをマイナンバーカードで利用できるように行えば、住民の利便性をさらに向上させられるでしょう。

行政手続をオンライン化すること

行政手続きにおいても、オンライン化を進めることが重要です。

例えば、オンライン窓口を整備し、市民がインターネット上から行政手続きを行えるようにするとよいでしょう。

さらに、オンラインフォームを利用して申請の受付をすると、紙の申請書を用いた手続きに比べ、窓口業務の手間や時間を大幅に短縮できます。

AI・RPAの利用を推進すること

AIとは、人工的に作られた知能のことで、人間の知能を模したプログラムを、コンピューターや機械に実装したものです。

RPAとは、コンピュータープログラムを使って業務プロセスを自動化し、人的ミスを減らしたり業務効率を向上させるものです。

これらは、両者ともにビジネスにおいて多くのメリットが期待されているものです。自治体DXにおいても、これらの技術を活用することで、行政サービスの向上や効率化を図れるでしょう。

テレワークを推進すること

テレワークはオフィスに出勤する必要がなく、自宅やカフェなどの場所から仕事ができる働き方です。

自治体DXにおけるテレワークの取り組み例としては、有識者会議のオンライン参加があります。自治体が主催する有識者会議や委員会については、オンラインでの参加を促進することで、交通費や時間の削減、地理的制約の緩和などのメリットを享受できます。

自治体DXに取り組む流れ

自治体DXに取り組む流れは、以下の通りです。

1.認識共有:自治体の職員や関係者に対し、自治体DXに関する説明や情報共有を行い、重要性や課題を認識してもらう
2.全体方針の決定:自治体全体での方針を決定し、目標を定める
3.推進体制の整備:組織内にDX推進部署を設置する
4.DX取り組みの実行

また自治体DXに取り組む際は、外部の専門家やベンダーなどと連携し、必要な技術やノウハウを取り入れることが重要です。

自治体DXを導入する際の課題と対策

自治体DXを導入するためには、さまざまな課題があり、これらの課題に対して万全の対策方法をとることが必須です。

以下では、自治体DXを導入するための、課題と対策を表で紹介しています。

導入する際には、これらを参考にしていただけると幸いです。

 

課題 対策
DXに関する財源確保の難しさ ・自治体の予算見直し
・国や地方自治体が提供する補助金、助成金を活用
職員のITリテラシー ・DXに関する研修やワークショップを実施
・システム利用時のマニュアル作成・提供
個人情報のデータ漏洩 ・情報セキュリティマネジメントシステムの構築
・セキュリティ教育・トレーニングの実施
・セキュリティ対策に特化したベンダーとの連携
既存システムとの連携 ・APIの開発
・システムの改修
・システムの統合

 

なお、自治体職員での取り組みが難しい際には、外部の委託業者と連携することがおすすめです。

まとめ

デジタル技術を活用して地方自治体の業務やサービスを改善し、効率的かつ質の高い行政を目指すという取り組みは、まだまだ多くの課題が存在します。
昨今のデジタル技術の進化により、自治体DXの取り組みは、今後ますます重視されることが予想されています。具体的な対策を立てて一つひとつ実行し、住民サービスの向上や財政効率の改善、地域の活性化・経済成長の促進を進めていくことが重要です。


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