• TOP /
  • コラム /
  • 物流業務改善!要点と成功事例をプロが解説

物流業務改善!要点と成功事例をプロが解説

2024.07.09
  • フルフィルメント

物流業務の改善には、いくつかのポイントがあります。やみくもに効率化やコストカットを進めても、物流全体の流れを滞らせる部分を残したままでは本質的な改善は見込めません。今回の記事では、物流の業務改善のポイントや施策を詳しく解説しています。ぜひこの記事を読んで物流業務の改善にお役立てください。


スゴロジLP_フルフィルメントサービス_日本トータルテレマーケティング

物流業界の業務改善が必要な理由

近年、ECサイトは私たちの生活に浸透し、サイト数は増加傾向です。その結果、製品を配送する機会が増え、物流業界の負担も増えているといえます。
しかし、配送センターの人員やドライバーは、少子高齢化に伴い慢性的な人手不足です。

こうした状況のもと、物流業界では業界全体の環境改善と、さらなるホワイト化が求められています。また、長い歴史で積み重なった常識や作業手順が、時代や社会情勢とかいりしている点も、物流業界の課題です。

これらの背景や状況を解決するためにも、物流業界の業務改善が必要です。

物流の業務改善のポイント

物流業務の改善にはいくつかのポイントがあります。どこに重点を置いて改善するかは、物流のタイプや企業により異なります。物流業務の改善のポイントについて把握しておきましょう。

物流業務の改善点を見つけるには

物流業務を改善するには、既存の過剰サービスや現場負荷を見直して、担当者、企業、消費者それぞれが好ましい環境を目指す意識が求められます。

物流の課題は以下の4つの要因に区分できます。

  • 輸送環境:倉庫の立地、環境、ピッキング設備、トラックなどのハード面の改善
  • 輸送プロセス:業務工程、在庫データ管理などのソフト面の向上
  • 人材:人材のスキル把握や教育の効率化、人材育成面の向上
  • 輸送方法:自社対応か外注か、外注先の選定など既存の契約関係に縛られない選択

各要因に沿った、最適なマネジメントが必要です。

物流における業務改善とは

物流における業務改善とは、生産性や効果を最大化・適正化する2方向の妥協点を見つける作業です。

  • 最大化:物流が必要な効果を十分に発揮すること
  • 適正化:物流に用いられるリソースが適正な量に抑えられていること

「最大化」は、toCビジネスで重視される業務改善です。
なぜなら、toCビジネスは今後の成長が見込まれている事業であり、その物流への改善コンセプトは売上の拡大に貢献できるような効果の高い物流のためです。つまり、利便性や正確性をより高める方向の改善が主体とされます。

一方「適正化」は、toBビジネスで重視される業務改善です。toBビジネスは穏やかな成長が予想されています。そのため、つぎ込むリソースを減少させつつ効果を維持するような、効率性を高める改善を目指します。

業務改善の要点① 3Mをなくす

物流改善では、業務上発生しがちな課題であるムリ、ムダ、ムラの3Mを減らすことが要点です。

  • ムリ:少ない人員で過剰な作業量をこなしている状態
  • ムダ:マンパワーが余っている状態
  • ムラ:成果や効果が安定しない状態

上記の3Mは、必要な場所に必要な人員を配置できていないことが原因で生じます。

3Mをなくすにはマニュアルの作成による人員の均質化や、作業工程ごとの属人化の抑制、マシンの導入による自動化などの対策が求められます。3Mを改善するための課題は多岐にわたりますが、成功すれば大きな効果が期待されます。

業務改善の要点② 作業効率のアップ

作業効率は、物流業務のどの工程においても上昇する余地があると考えられるポイントです。

作業効率アップを目指すには、現場における実際の業務の効率を測る指標が求められます。
マテリアルハンドリングは、MHもしくはマテハンとも呼ばれ、人事生産性を示す指標です。物流現場における調達、生産、販売、回収を含めた作業員一人当たりの生産性全般を指標にしたものともいえます。MHを用いて現場の作業効率を数値化し、課題を見つけ改善策を講じると、根拠のある形での改善ができます。

▶「物流作業標準化の手法!ムダやミスを減らし効率化させる施策とは?」

業務改善の要点③ 作業工程の管理

作業工程を適切に分析、管理することも業務改善には必要な要素です。

例えば、社内でミスが発生した場合に、それが人為的なものなのかシステムの欠陥なのかを的確に判断できれば、ミスを減らし作業効率の向上につながるでしょう。物流業務の全工程に管理の視点が届き、作業の課題や問題点が記録されたら即座に分析する体制が作れると、業務改善に大きく貢献します。

このような管理をするためには、作業記録の細かい部分まで把握する必要があります。ミスや問題の対応を手書きの報告書に頼らず、デジタル化して即座に共有できる体制を作ると効果的です。

物流の業務改善方法

ここからは、物流の業務改善に向けたポイントと具体的な改善方法を解説します。物流業務にはさまざまな工程があり、課題点が相互に関連する可能性もあります。1つの施策で満足せず、別の施策も念頭に置いて行いましょう。

業務改善方法① 拠点内の業務効率化

物流拠点は、物流業務の中心です。拠点内の業務効率化は、物流全体の流れを改善して、効率化を期待できるでしょう。

拠点内の業務は、3Mや属人化が発生しやすい工程です。現場の作業内容やノウハウを盛り込んだ作業手順書を作成し、スタッフのスキルの均質化と作業の可視化を図れば業務が効率化できます。

業務改善方法② 人的ミスの予防と労働環境の見直し

人為的ミスの改善には、物流業務で属人化している部分を洗い出し、対策を講じることが効果的です。
人為的なミスは、業務が特定の人に依存されている場合に発生しやすいです。属人化は、他のスタッフによる確認を妨げる原因です。
バーコードやQRコード、OCR対応機器の導入により、目視での確認が少なくなり、人為的ミスを減らせるでしょう。

ヒューマンエラーの原因として、スタッフの疲労やストレスが長時間労働により引き起こされる場合には、労働環境の改善も効果的です。

業務改善方法③ 物流コストの見直し

物流コストの見直しは、業務改善の中だと収益性の向上に寄与します。

物流コストとは、物品の移動や取引、処理にかかるすべての費用です。例えば、トラックなどの輸送機関で物品を運ぶ際に発生する費用や、物流倉庫の管理費用、荷役にかかる人件費や商品の包装コストも、物流コストに含まれます。
支払物流コストと社内物流コストの大きく2つにわかれ、特に支払物流コストは外部委託により行われている物流業務に関するコストです。支払物流コストを見直すことで、効率的なコスト削減が期待できます。

業務改善方法④ 業務委託

業務委託は、人手不足、保管スペースの不足、コスト面の課題などを一気に解決する施策です。ただし、ある程度の経費がかかるため、導入コストやランニングコストについては慎重に検証する必要があります。

業務委託により生じる余剰人員の有効活用や、主要業務への集中といったメリットを考えたうえで、業務委託を検討・決定しましょう。

▶「物流アウトソーシングについて徹底解説!業務内容やメリット・デメリットとは」
▶「EC物流のアウトソーシングとは?3つのメリット」

業務改善方法⑤ 物流システム導入

物流システムは、輸送や保管、荷役や包装などの物流の一連の工程を管理するシステムです。物流システムの導入は、特に近年の物流業では非常に効果の高い改善手法と考えられています。

倉庫管理システムは、物流倉庫内の業務プロセスを管理し、作業をより効率化するシステムです。同時に、社内の商品在庫を適切に管理し、入出庫業務や配送、受発注業務なども円滑にコントロールできる在庫管理システムもあります。これにより物流全体の流れを可視化し、管理作業をより簡単にかつ効率的に行えます。

国土交通省が提唱する物流改善

物流総合効率化法は、流通業務を一体的に実施し、流通業務の効率化を図る事業への認定や支援などを定めた法律です。国土交通省は、物流改善を図る事業者に税制特例や補助金などの支援策を打ち出しています。ここからは、国土交通省が提唱する物流改善を4つ紹介します。

輸配送の共同化

輸配送の共同化とは、複数の企業が倉庫やトラックを共同運用し、輸配送をする施策です。複数の企業で倉庫を共同管理し、輸送網の集約につなげます。

企業ごとに倉庫や輸送ルートが分かれていると、同じ地域に複数のトラックが配送する非効率が発生します。輸配送の共同化により、配送ルートが限定されてトラックの輸送効率も上昇するでしょう。加えて、必要なトラック数が削減されます。

国土交通省では、施策の推進のために、輸送連携型倉庫に税制特例を設けています。

輸送網の集約

輸送網の集約とは、これまで散在していた物流拠点を集約し、輸送ルートの効率化を図る施策です。製品を大型の倉庫に集約し、輸送ルートを限定することで必要なトラック数の物流資源を削減します。

製品を集約する物流拠点は、物流網の中心です。複数の企業で共同運営すれば、物流網の中心が束ねられ、物流の効率化が促進されます。

また、荷物が集約されるとトラック1台ごとに積める貨物量も増えるため、効率的な運送が実現できます。

モーダルシフト

モーダルシフトは、トラックによる長距離輸送を船や鉄道などの既存の輸送網に置き換えることです。輸送効率のよい船便や鉄道便の活用を推進する施策です。

船や鉄道を利用すると、トラックよりも多くの荷物を運べるだけでなく、燃料費や排出ガスの削減ができます。環境への負担軽減やエネルギー効率向上が期待できるでしょう。

ただし、船や鉄道による輸送は小回りが利きません。そのため、企業間での連携や共同利用、業界全体での共同便の設定や運営が望まれます。

物流総合効率化法による支援策

物流総合効率化法にもとづき、物流システムの改善に尽力する企業や事業者にはさまざまな支援策が実施されています。物流システムの自動化や機械化の導入に伴う費用への補助金制度や、中小企業、小規模事業者に対するITツール導入を補助する制度などです。

たとえば、モーダルシフト等推進事業においては、モーダルシフトや省人化、自動化を目的とした機器の導入や、過疎地域での共同配送、中継輸送などの物流の効率化を図る取り組みをすると支援が受けられます。

物流の業務改善例

ここからは物流業務改善の事例をご紹介します。これらの改善例には一般的な物流の課題の難しさや複雑さを考慮したうえで、改善の方針が含まれており、大きなヒントとなります。これらの業務改善例を通じて、自社の物流改善に向けた要素を把握しましょう。

人為的ミスの抑制例

ある企業では、ピッキングに関する人的なミスが多く、物流工程の中で障害となっていました。
そこで、物流倉庫の業務にバーコード管理を導入し、目視の施策により、人為的なミスが激減するだけでなく、正確性が向上し、さらには作業効率の向上と不要な人での不安定な作業を排除し、管理スタッフが作業の進行をスピーディに把握できる仕組みを整えました。人件費の削減に成功しています。
バーコードシステムの採用が3Mの排除に大いに寄与した実例といえます。

保管効率をあげた例

ある企業は、物流倉庫の容量不足に直面していました。特にtoC業務の伸長に伴い、扱う商品のサイズにばらつきがあり、従来の倉庫スペースにうまく収められない課題が生じていました。
そこで、倉庫内の空間をより効率的に活用するため、2階や中2階の部分に倉庫をつくりました。これにより、スペースを圧迫していた小さな物品を効率的に収納できるようになりました。これは、倉庫の増築よりもコストを抑えながら、保管効率の向上に成功した事例です。

作業工程の効率化による例

ある企業では、物流倉庫の作業工程でスタッフが担当する工程が広範で、負担が大きい状態でした。また、作業負担のため現場の整理整頓が不十分で、これがさらに作業効率の低下につながっていました。

そこで、作業工程を細かく区切り、各スタッフの担当内容をシンプルに再設定しました。同時に、動線やレイアウトを見直し、倉庫内の区画表示を細かく変更しました。さらに、出荷頻度に合わせて保管場所を柔軟に変更する仕組みを導入し、作業の動線やレイアウトをわかりやすく改善することで、作業の効率化に成功しました。

業務データの把握による例

ある企業は、業務データを把握し、現場の采配や作業予定にフィードバックすることで作業効率を向上させました。

システムデータをもとに、日々の入出荷作業に必要な作業時間と作業人員数を明確にして基準としています。それだけでなく、作業の進捗状況を監視して、期限に間に合わせるために人員を調整、適宜対応する体制を作っています。この結果、残業時間の短縮と予定内での作業終了を実現できました。

大がかりなシステムに頼らなくても、既存のシステムからのデータ抽出をもとに業務を改善できる例といえます。

ITシステムの導入による例

ある企業は、複数の委託倉庫で食品の在庫管理をしていました。しかし、アナログな管理により目視による賞味期限の確認に過誤が発生しやすく、効率的な在庫管理ができていませんでした。

在庫管理システムを導入した結果、複数の委託倉庫における適切な在庫管理が叶っています。賞味期限間際の商品の誤出荷や期限切れによる商品の廃棄を減らせました。

さらに、業務としての在庫管理がデジタル化、一元管理でき、業務負担の軽減にも成功しています。

アウトソーシングによる例

ある企業では、管理業務から配送までを行っている業者に物流業務そのものをアウトソーシングしました。特に人件費で大きな部分を占めていた入荷、検品作業までも外部に委託して、経費的には同程度のランニングコストを維持しつつスタッフの人的、時間的なリソースを確保できるようになりました。この取り組みにより、本来の業務効率が向上し、全体としての効率化に成功しています。

また、シーズンごとに物流コストの増減が大きく対応に苦慮していた部分も、外注先の一本化により改善されています。

マニュアル改善による例

ある企業では、倉庫の繁忙期に通常の3倍近いスタッフを追加して対応していました。しかし、人手を大量に確保しても、短期雇用のため個々の作業効率を伸ばせず、全体として生産性の著しい低下に直面していました。こうした問題は、非熟練者が迷うとムダな動きをしてしまうことが原因で起こります。

そこで、非熟練者が特に作業で迷いやすい項目に限定したワンポイントマニュアルを作成して、非熟練者に携行させたところ、現場における作業効率があがりました。その結果、繁忙期への対処が可能となりました。

配送コスト削減による例

ある企業では、toCの売上が非常に伸びていました。同時に、宅配便と路線便による物流コストの対売上比率が徐々に上昇し、思ったように増益につながらない状態でもありました。

そこで、宅配便の利用増を材料として宅配業者と価格交渉を実施し、一部を路線便業者へ委託するような運用の変更を行いました。これにより宅配便と路線便の合計のコストが最適化され、配送コスト増の影響を抑えられています。
これは、業者と上手にコストを交渉することで効率化を実現した事例です。

物流の業務改善後に行うこと

物流の業務改善は、達成するだけでは不十分といえます。業務改善の影響が物流全体に表れるまでは時間がかかりますし、別の課題を引き起こす可能性もあります。大切なことは、業務改善後の適切な対応です。
ここからは物流の業務改善後に行うべき行動について解説します。

観察、記録と分析、判断

荷物の配達業務を改善した場合、配達時間や配達のステータスの記録を分析すると改善による影響や効果を把握できます。こうした分析により、さらなる改善点を模索し、別の課題の誘発を確認できます。

成功例だからこそ、発生した問題点をリストアップし丁寧に検証することで、新たな課題の発見と改善につながります。1つの改善で満足せず、さらなる向上の余地を見極める姿勢が求められるでしょう。

現場からの聞き取り

改善策の実施後は、実際の現場のスタッフから綿密な聞き取りを行いましょう。さらなる業務改善につながります。

例えば、これまでの慣例的な部分を改善対象とした場合、ベテランのスタッフから反発が生まれる恐れがあります。改善につながる施策であっても、納得がいかないスタッフは少なからずいるでしょう。
スタッフにはただ指示を出すだけでなく、聞き取りで意見を聞くようにしましょう。聞き取りそのものが不満の解消に寄与するケースもあります。

物流の業務改善に関するよくある質問

物流の業務改善に関するよくある質問と回答を紹介します。物流業務は、業種や商品の種類によって異なります。物流業務改善についての質問を把握して、自社に有効な改善点やポイントを知りましょう。

物流倉庫のレイアウトはどのように設計すればよいですか

物流倉庫のレイアウトの基本は、I型とU型の2つです。

I型レイアウトは、入荷から出荷までの各作業スペースを直線的に並べたレイアウトで、両端に搬入扉があるタイプの倉庫が適しています。U型レイアウトは、入荷から出荷までのスペースを搬入扉から倉庫の奥まで伸ばし、反転して扉位置まで戻ってくる配置です。搬入扉が1つしかない倉庫で有効です。
庫内作業手順を勘案したうえで、レイアウトを決定してください。

また、出荷頻度をA、B、Cの三段階に分けるABC分析やパレードの法則もレイアウトに活用できるでしょう。

物流の自動化にはどのような方法がありますか

倉庫全体の自動化には、入庫から保管、出庫までの流れをコンピューターで一元管理する自動倉庫システムの導入があげられます。このシステムの導入が難しい場合は、WMS(倉庫管理システム)の導入を検討しましょう。

また、個々の業務のデジタル化を担うDASやDPSなどの導入も有効です。

搬送作業に従事する自動搬送ロボットの導入は、経費はかかるもののコンピューター制御との親和性の高い手法です。

物流の各作業工程ごとの改善方法には何がありますか

物流工程には、輸送、包装、荷役、保管、加工、出荷などの一連の作業があります。

それぞれの作業について情報を管理して、得られたデータをもとに改善方法やシステムの導入を検討しましょう。効率改善を確実に進められます。

加えて、出荷工程は、ピッキングや検品などさらにいくつかの段階に分かれて検証します。例えば、ピッキングはシステム導入による自動化に親和性があり、検品は人の目で行うことをおすすめします。

物流業務改善はプロの目で

物流の業務改善について、ポイントや改善例についてまとめました。業務改善は決して簡単な作業ではなく、物流においては各工程の要点を把握したうえで実施しなければ成功は難しいといえます。
そのため、プロの目線でのチェックが必要です。プロの物流業者に一部委託することも解決手段です。物流の業務委託をお考えの企業の方は、ぜひ当社にご相談ください。


フルフィルメント倉庫見学_フルフィルメントサービス_日本トータルテレマーケティング

関連記事

CONTACT