国内外のスマートシティ事例16選!

近年、最先端技術を用いて生活の利便性を向上させるスマートシティに取り組む地方自治体が急増しています。人々の生活をより便利で快適なものにするために、各地方自治体はどのような取り組みをしているのでしょうか。今回は、国内外におけるスマートシティの事例を紹介します。
スマートシティの定義については、以下の記事をご参照ください。
目次
国内におけるスマートシティの事例

日本国内においても、さまざまな地方自治体がスマートシティに取り組んでいます。スマートシティは国や地方自治体だけで進めるものではなく、民間企業も重要な役割を担っています。ここでは、各都道府県で推し進められている事例を紹介します。
千葉県柏市
千葉県柏市では、2011年に柏の葉で「柏の葉スマートシティ」が始動しました。地方自治体・民間企業・大学や研究機関などが連携して推進されるプロジェクトです。
柏の葉スマートシティは、2011年7月に“世界の未来像をつくる街”をコンセプトとして掲げました。公・民・学が連携してまったくのゼロからまちづくりを始めたため、高度な共創環境が整い、さまざまな画期的なプロジェクトが進められています。
出典:柏市HP「柏の葉スマートシティ」
神奈川県鎌倉市
神奈川県鎌倉市では、官民が連携して『持続可能な共生社会を支えるデータ連携基盤の構築』に取り組んでいます。現在鎌倉市が抱える課題は主に、住民の少子高齢化・オーバーツーリズム・防災の3点です。
これらの課題解決につなげるためのスマートシティ構想として、官民のデータ連携や市民参加型の共創プラットフォームなどがあります。対面とオンラインの対話により、市民一人ひとりに寄り添うサービスの提供を目指しています。
出典:鎌倉市HP「鎌倉市スマートシティ特設」「鎌倉市スマートシティ構想」 国土交通省HP 鎌倉市事業概要 「持続可能な共生社会を支えるデータ連携基盤の構築」
東京都千代田区
東京都千代田区では、大手町・丸の内・有楽町地区において、スマートシティプロジェクト「TOKYO MARUNOUCHI SMART CITY」に取り組んでいます。取り組み内容のひとつとして、2023年に公共空間における低速自動走行モビリティの実証実験を実施し、走行実性の検証が行われました。このプロジェクトでは、エリア内の移動をもっと便利で楽しいものにする新しいモビリティサービスを試し、そのニーズや実現可能性を調べました。
出典:大手町・丸の内・有楽町地区 まちづくり協議会「TOKYO MARUNOUCHI SMART CITY」、「新しい低速自動走行モビリティが丸の内・有楽町エリアに登場します!」
京都府亀岡市
京都府亀岡市では、「FreeiD」と「xIDアプリ」を活用してマイナンバーと連携した、顔認証サービスを実施しています。これまで全国の地方自治体が活用してきた「xIDアプリ」を「FreeiD」と連携することで、マイナンバーに登録された情報を活用でき、指定された施設では本人確認証の提示が不要となるなどのサービスが提供されています。これにより住民の利便性向上・地方自治体の業務効率化が期待されています。
出典:亀岡市HP「“顔ダケ”でスピーディな決済が体験できる!」、「亀岡市民向け「顔認証受付」実証事業のお知らせ」
宮城県仙台市
宮城県仙台市では、2022年に東北大学と「仙台市×東北大学スーパーシティ構想推進協議会」を設立しました。2023年には「仙台市×東北大学スマートフロンティア協議会」へと改称し、最先端技術を活用したプロジェクトに取り組んでいます。東北大学や企業と連携し、well-being向上を目指すサービスや、市民・若者が挑戦しやすい環境づくりを進めています。
出典:仙台市HP「仙台市×東北大学スマートフロンティア協議会」
福島県双葉郡浪江町
福島県双葉郡浪江町では、震災からの復興に向けて「浪江町復興スマートコミュニティ構築事業」を進めています。本事業では、「非常時の安心・安全」「再生可能エネルギーの導入」「生活利便性の向上と新たな雇用の創出」の3つを目指しています。電気自動車(EV)をレンタカーやカーシェア、デマンド型乗り合いタクシーなどに活用することで、町民や来訪者の移動手段を確保し、再生可能エネルギーと組み合わせて電力を効率的に活用する仕組みを構築しています。
また、災害公営住宅をはじめとする複数の住宅に太陽光発電やHEMSを導入し、非常時に電力を供給できるEVパワーステーションの整備など、地域のエネルギー拠点づくりを進めています。
出典:浪江町HP「浪江町復興スマートコミュニティ構築事業について」
海外におけるスマートシティの事例

スマートシティへの注目は、日本国内だけにとどまりません。海外においても多様なスマートシティの導入事例があります。ここからは、世界的に注目が集まるスマートシティの、海外における先行例を紹介します。
シンガポール
スマートシティの先進国として注目されるシンガポールでは、「Smart Nation Singapore」と掲げて、世界に先駆けてスマート国家への変革を推し進めています。デジタル革命を先取りしたシンガポールは、世界各国から企業が集まりスマートシティ化が進められており、2023年のスマートシティランキングではアジア1位となりました。
労働人口が減少するなか、ごみ収集や清掃、田畑への給水・芝刈りなども自動化していて、政府サービスの99%がデジタル化されています。AIやIoT、ロボティクスなどのデジタル技術を使い、国民の生活を便利で効率的なものにするための取り組みが進んでいます。
出典:内閣府地方創生推進事務局「令和4年度「スーパーシティ」構想等に関する海外事例等の調査研究業務」
スペイン・バルセロナ
スペインのバルセロナでは、2016年に「Barcelona Digital City Plan」が定められました。デジタル技術を市民生活の質向上に活用すべきという方針のもとスマートシティ整備が継続されています。また、2022年からはデジタルツイン技術を活用した都市計画が検討されており、公共サービスへのアクセス改善を含むまちづくりが進められています。
出典:内閣府地方創生推進事務局「令和4年度「スーパーシティ」構想等に関する海外事例等の調査研究業務」
アメリカ・ニューヨーク

ニューヨークのインタラクティブキオスク
出典:Link NYC, NYC News 2014年11月17日
スマートシティ先進地域であるニューヨークでは、公共Wi-Fiプラットフォーム、「LinkNYC」に取り組んでいます。既存の公衆電話を、現代の通信ネットワーク「LinkNYC」に変換し、無料Wi-Fiのホットスポットへと置き換えるプロジェクトです。
2015年には、市内5区において1万台のインタラクティブキオスクの設置が進められました。これにより、Wi-Fiだけでなく、充電や通話、デジタル掲示板による地域・交通情報の提供も可能となりました。ディスプレイに表示される広告収入によって費用がまかなわれており、公的資金に依存しない市民生活支援の仕組みとして導入されています。
出典:総務省「スマートシティの事例」、LinkNYC「LinkNYC」
中国・杭州市
中国の杭州市では、アリババ社が提供する都市管理システム、「ET City Brain(都市大脳)」を導入しました。「ET City Brain(都市大脳)」は、クラウドとAI技術を活用したシステムで、交通渋滞の解析や緊急車両通行時の対応など、さまざまな交通問題をAIで解決しています。道路ライブカメラの映像から渋滞や違反をAIが分析し、リアルタイムで信号を最適化することで全体的な交通の円滑化に貢献しています。
出典:内閣府地方創生推進事務局「令和2年7月「スーパーシティ」構想について」
エジプト・カイロ
エジプトの首都カイロでは、エジプト政府が「New Administrative Capital」プロジェクトを推進しています。カイロ首都圏の人口増加に対する対応として、現在抱える最大の問題である道路渋滞の緩和を期待して始まったプロジェクトです。
カイロと新首都をつなぐ都市鉄道やモノレールが整備されており、建物のスマート化によって資源の自動的な節約や水道の効率的な管理が図られています。エジプト初のスマートシティとなるこのプロジェクトは、成功すればエジプトの未来を象徴することとなる大規模な取り組みです。
出典:国土交通省 国土交通政策研究所「インフラシステム海外展開に向けた 海外のスマートシティ動向に関する調査研究- 令和4年度調査報告‐」
オランダ・アムステルダム
オランダのアムステルダムでは、2009年に「アムステルダム・スマートシティ・プロジェクト」を掲げ、気候変動・エネルギー政策から始めました。現在このプロジェクトでは、5つのテーマを掲げて、スマートグリッドなどの技術を活用した多数のプロジェクトを実施しています。
取り組み内容
・生活【生活エネルギーのスマート化】:
一般家庭に設置したスマートメーターでエネルギー使用量を見える化
・仕事【住民向けサテライトオフィス】:
交通渋滞に伴うCO2排出緩和を目指し、 地域住民が使えるサテライトオフィスを住宅地区の近くに設置。
・交通【スマートパーキング】:
駐車場の空き情報をスマホで確認し、予約が可能なシェア駐車システムを整備
・公共施設【商業地区のスマート化】:
施設内に設置したスマートメーターやディスプレイでエネルギー使用量を見える化
・オープンデータ【データのマッピング化】:
各地域のエネルギー使用量や都市インフラの 状況などのオープンデータを活用し、分析し課題を見える化
出典:内閣官房・内閣府総合 地方創生「各国における取組事例」、東京都都市整備局「【参考事例】アムステルダムスマートシティ」
イギリス・ブリストル
イギリスのブリストルでは、市とブリストル大学によりジョイントベンチャー「Bristol is Open」を立ち上げ、民間企業を巻き込みながらスマートシティの取り組みを進めています。都市にネットワーク環境を構築し、情報をオープンにすることで、各協力団体のビジネス促進が目的です。ひとつのプラットフォームにあらゆるデータを集約して、一元管理することを目指しています。収集したデータは、渋滞緩和や廃棄物管理、エネルギーの供給・管理などさまざまなサービスに活用される予定です。
出典:総務省「ICTを活用したスマートシティの事例等に関する調査の請負」
デンマーク・コペンハーゲン
デンマーク・コペンハーゲンでは、ICTを活用したスマートシティプロジェクト「Copenhagen Connecting」が進められています。2025年までにカーボンニュートラルを達成することを目標とし、エネルギー、交通、環境、通信など多分野にわたる取り組みが進行中です。
たとえば、交通渋滞の改善とCO₂排出量削減を目指すCITSや、路上の温度や大気汚染物質の濃度を測定するDOLLといったプロジェクトがあり、スマートな都市運営に貢献しています。
出典:総務省「ICTを活用したスマートシティの事例等に関する調査の請負」
住民のためのスマートシティ化は当社へご相談を

人々の暮らしを豊かにし、利便性・効率性を向上させるのがスマートシティです。今回は、日本全国のみならず、世界各国のスマートシティ化への取り組みを紹介しました。各都道府県の地方自治体や、スマートシティの先進国が取り組んでいる先行例を学び、住民のためのスマートシティ化を推進しましょう。現在抱える課題を解決するための取り組みを見つけるには、他の成功例を有効活用してみてはいかがでしょうか。日本トータルテレマーケティングでは、自治体向けのBPOサービスを通じて、住民対応業務の効率化を支援しています。自治体業務の外部委託をご検討の際はぜひご相談ください。