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官民連携に取り組むことのメリットとは?必要とされる背景やデメリットも解説

2023.10.17
  • 公共BPO

官民連携のメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。
今回は、地方自治体の課題や社会問題などの背景、官民連携のデメリットまで、実際の事例を交えて解説します。


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官民連携とは官公庁と一般企業の連携事業

官民連携は、行政と民間企業が連携した公共サービスの提供です。
財政難や人口減少、少子高齢化により地方公共団体は苦境に立たされています。地方自治体と民間がそれぞれの強みを活かして、住民満足度の向上を図ります。

PPP(Public Private Partnership)の概要

PPPはPublic Private Partnershipの略称です。この単語はパブリックとプライベート、官民の連携を意味します。
PPPは、地方自治体のサービスに民間のもつノウハウや経営能力、技術力を活用します。予算の効率的な運用と地方自治体のサービス効率化を目指す手法です。
上質な公共サービスの実施、コストの削減、地域の活性化など、様々な効果が期待できます。
具体的な手法に、指定管理者制度、包括的な民間委託、PFI(Private Finance Initiative)などがあります。

PFI(Private Finance Initiative)の概要

PFIは、公共施設の建設や維持管理、運営において、民間の資金力・経営能力・技術力を活用する手法です。同一水準より安いサービス、またはより上質なサービスの提供を目的にしています。
PFIは、平成11年に施行された「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」に基づいています。
PFI事業は、公共事業の企画、計画までを行政が担う点が特徴です。その後の資金調達や設計、建設、維持管理、運営までは民間事業者が担当します。

官民連携プラットフォームが注目されている

官民連携プラットフォームは、官民連携の推進を目的とする場です。資金やノウハウ面での支援と情報の共有、普及活動をおこないます。
課題を抱える地方自治体と対応策をもつ民間企業とを引き合わせる「マッチング支援」や、共通する課題の検討や情報共有をおこなう「分科会」が該当します。
民間企業はプラットフォームへの参加により、自社の技術を活用できる事業をおこなう地方自治体に出会えます。さらに、企業や研究機関と情報共有をおこなえる点もメリットです。

官民連携に取り組むことの4つのメリット

官民連携は地方自治体側と民間企業側両方に、多くのメリットがあります。それぞれの官民連携のメリットを解説します。

支出を抑えやすい

地方自治体の事業は、多くの部分で発注や業務委託がおこなわれています。しかし、それらはせまい範囲での業務に限られていました。
官民連携事業は、民間事業が資金調達のレベルからイニシアティブをもちます。全体を俯瞰した資金配分や効率化をおこなえるでしょう。民間事業がもつノウハウや営業力、技術力を活かしやすく、その結果事業にかかる支出が抑えられます。
支出を抑えられる点は、官民連携の大きなメリットといえます。

地方創生に役立つ

官民連携で地方自治体のサービスにおける一部が民間事業の管轄になると、雇用につながります。官民連携をきっかけとして新たな産業が生まれる可能性もあります。これらは地域を活性化させ、地方創生をもたらすでしょう。
地方創生は、少子高齢化のもたらす問題に対応するため、地方や地域の活性化を図ることをいいます。民間事業者には、官にはないポジティブな活力があります。地域の活性化と、地方創生の実現への大きな要因になるでしょう。

ノウハウをもたない事業にも手を出せる

地方自治体の職員は日々多くの業務に追われており、新たな事業に時間や余裕を確保できません。
専門家である民間事業者と連携すれば、地方自治体としてノウハウがない事業もうまく実現できるでしょう。

企業側にも様々なメリットがある

官民連携は、企業側にも多くのメリットがあります。
地方自治体へのサービス提供による収益だけでなく、地域住民や企業に対するサービス提供による収益が得られます。また、連携による新サービスの開発や共同事業による収益も狙えるでしょう。
収益以外の効果に、官民連携活動で顧客や仕入先からの信頼獲得、社会貢献への寄与、従業員の満足度やモチベーションが向上があげられます。

官民連携に取り組むことのデメリット

官民連携は、メリットだけではありません。デメリットを以下に示します。

・契約や事業展開に時間がかかる。
・事業者の工夫や責任が求められる

民間の事業者とは異なり、地方自治体は意思決定や検討に時間がかかります。民間事業者とのスピード感の差が、様々な問題を惹起するかもしれません。

連携事業は単純な営利事業とは異なり、福祉要素が強いものもあります。事業者から見て既存の考え方が通用しない局面も現れるでしょう。

官民連携は、委託内容に従えばよいわけではありません。事業内容から管理運営まで、事業者が一定の責任を負います。これらを充分自覚して事業にのぞむ姿勢が求められます。

官民連携と公民連携の違いとは|

官民連携と似た言葉に、公民連携があります。
官民連携と公民連携は、同じ意味で用いられる場合がほとんどです。英訳はどちらもPublic Private Partnershipで略称はPPPです。

官民連携は行政が主体でおこなわれますが、公民連携は民間企業主体でおこなわれます。

官民連携が必要とされる3つの背景

官民連携が近年急速に拡大してきた背景に、地方自治体、あるいは社会が抱えている構造的な問題があります。地方自治体だけでなく、民間事業者の側にもそれが求められるでしょう。官民連携が必要とされる背景を解説します。

公務員の人数や財政状況によるもの

財政的な課題と人的資源のひっ迫により、民間の活力を必要とする地方自治体が増えています。過疎化や少子高齢化という社会的な課題があるでしょう。地域の経済力や魅力が衰退し、地方自治体の予算的、人的なひっ迫が起こっています。

予算的、人的なひっ迫がさらなる財政の悪化や人的流出を招きます。負のスパイラルから抜け出すのは容易ではありません。そこで、民間の活力を利用して状況を打破する地方自治体が増えています。

サービスの変遷によるもの

社会的な変化に伴い、人々の生活やニーズも変化しています。求められる公共サービスも、多様化や複雑化しており、地方自治体の対応できる範囲を超えています。
サービスの担い手の多様化も進み、近年では公共サービスの一部をNPOや企業が担っている事例が少なくありません。
サービスの多様化、サービスの担い手の多様化という課題が地方自治体の管制できる範囲を逸脱しつつあります。その結果、官民連携によるサービスの多様化、効率化が求められています。

企業側の価値観の変化によるもの

企業側にも価値観の変化がみられます。
現在、企業の社会的価値も重要視されます。社会とよい関係を作ることがPRにつながる、と考える企業が増えました。
近年の不況のなかで地方自治体とのビジネスに進出し、経済的な面での安定を得ようとする企業が増えている背景もあります。
特に、コロナ禍の自粛ムードは多くの企業にダメージを与えました。こうした状況で、官民連携事業に活路を見いだす企業が増加しています。

官民連携の方法を手法別に紹介

官民連携には様々な手法があります。主な手法は以下の通りです。

・ヒトとスキルの連携:就労支援の連携
・モノの連携:サービスの展開
・空間の連携:公園・美術館の運営委託

この他、お金の連携やクラウドファンディングの活用など、全国で様々な手法が実施されています。

官民連携の成功事例を4つ紹介

記事の最後に、官民連携の成功事例を4つ紹介します。

東京都:南池袋公園の事例

公園は、都市に貴重な緑をもたらすオープンスペースです。公園の機能の活用は、地域コミュニティの活性化に大きく寄与します。

南池袋公園では、公園の全面改修にあわせ、地域貢献に意欲的なカフェ運営事業者を選定しました。「南池袋公園をよくする会」として東京都と地域住民、カフェ事業者らが協力して、新しいスタイルの運営をおこなっています。

宮崎県:油津商店街の事例

地域商店街が活気を失い、半ばシャッター街となっている状況は地域のニュースでよくとりあげられます。
宮崎県日南市で随一の規模を誇ったアーケード街である油津商店街も、そうした商店街の一つでした。しかし、2013年からスタートした活性化の取り組みにより、ITベンチャー、宿泊施設、飲食店など4年間で29の事業者が入居しました。昔ながらの商店街に新しい賑わいを生み出しています。

北海道:文化施設の運用事例

かつて芸術的なコミュニティ拠点を運営していた事業者がNPO法人を立ち上げ、生活支援型文化施設の運営を任された事例があります。
NPO法人コンカリーニョは、自らの劇場の機材整備等について、積極的にクラウドファンディングを活用しました。劇場運営のノウハウを見込まれ、2004年以降、札幌市の文化施設の指定管理を委託されました。

大阪府:就労支援の事例

住宅付き就労支援プロジェクトMODEL HOUSEは、築50年の府営住宅の空き室を階層した住宅を安価で提供しています。民間企業への就労マッチングと組み合わせて、若者への住宅支援と就業支援を同時に実現する取り組みをおこなっています。
さらに、参加者同士の交流や、地域コミュニケーションの促進プログラムも実施しました。

まとめ

官民連携は、業務委託や発注とは異なり、官(行政)と民(民間企業)が協力して社会問題と向き合い、解決を目指していく手法です。
官民連携は数多くおこなわれています。民間企業の活力で課題の打破と地域創生を促進できるでしょう。官民連携は、今後の地方自治体や地域の課題を解決する画期的な手法といえます。


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