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インサイドセールスとは?近年注目される背景やメリット・デメリット

2023.03.31
  • コンタクトセンター

働き方改革や人手不足、DX推進、新型コロナによる影響などで、わたしたちの働く環境は大きく変化しようとしています。マーケティングにおいても、多くの企業で業務効率化を目指し、さまざまな取り組みが行われています。そのなかでも、近年注目を集めているのがインサイドセールスです。今回は、インサイドセールスの内容やメリット・デメリットについてくわしく解説していきます。


インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは、「リモートセールス」「内勤営業」とも呼ばれる、マーケティング・営業プロセスの1つです。インサイドセールスは、マーケティング部門が獲得した見込み顧客に対して、電話やメール、Web会議ツールなどを活用して非対面で営業活動を行います。見込み顧客の確度が高まったタイミングでフィールドセールスに引き継ぐのが主な役割です。つまり、インサイドセールスは、マーケティング部門とフィールドセールスの間で架け橋のような役割を果たします。

インサイドセールスが注目される背景と目的

そもそもインサイドセールスは、国土が広く移動が大変なアメリカで誕生しました。インターネットの普及によって大きく発展し、2008年に起こったリーマンショック以降は、コストをかけず効率的に営業を行っていきたいという企業が増え、さらに普及していきました。

従来の営業手法は、担当者がひとりでアポイントからクロージングまでを行っており、属人化してしまう問題や訪問の際の時間やコストがかかることで非効率な面がありました。しかし、インサイドセールスは内勤営業です。移動にかかる時間やコストを削減でき、各プロセスのデータ収集や分析ができるようになります。また、遷移率が数値化されることで、属人化していた営業プロセスがチームで管理できるようになり、訪問時間やコストも削減できます。

日本では、DX推進やリモートワーク導入の流れもあり、新型コロナウイルス感染が拡大し始めた2020年以降は、多くの企業でインサイドセールスの導入が進んでいます。ほかにもインサイドセールスを導入する目的はいくつかあるので、もう少し細かく解説していきましょう。

効率的に見込み顧客を獲得する

従来行われていた「飛び込み営業」や「テレアポ」などのアウトバウンドセールスは、直接顧客にアプローチできるというメリットがある一方、商談や成約への確度が低くなりがちで、非効率な一面もありました。そのため、見込み顧客の確度を高めつつ、訪問の際の人員・時間・コストをカットして生産性を向上させる「インサイドセールス」が注目されています。インサイドセールスを導入している企業では、展示会やセミナーを開催し、その後インサイドセールスでフォローして確度を高めてから商談を行う流れを取り入れています。効率的な営業を行えることから、日本でも大企業を中心に、インサイドセールスを導入する企業が増えています。

見込み顧客を管理する

一般的に、展示会やセミナーの参加者、Webからの資料請求を行う顧客は、見込み顧客とみなされます。しかし「興味がある程度」の顧客や「実際に話をもっと聞いてみたい」という顧客などが混在しており、顕在ニーズはさまざまです。

インサイドセールスは、見込み顧客との会話の中で顕在ニーズの度合いを測り、優先順位をつけて見込み顧客を管理していきます。優先度の高い見込み顧客から商談のアポイントを取りつけ、フィールドセールスに引き渡していきます。

見込み顧客をナーチャリングする

「すぐにでも話を聞いてみたい」というような見込み顧客は、ニーズが顕在化しているため、優先度が高く、すぐにフィールドセールスに引き継ぐことができます。しかし、「興味がある程度」の顧客は、ニーズが顕在化されていないケースが多いものです。そこで、インサイドセールスは見込み顧客をナーチャリングしていきます。ナーチャリングとは「育成」という意味です。見込み顧客に対して、中長期的にアプローチを仕掛けて確度を高めていき、将来的に購買・成約につなげます。

ナーチャリングの方法は、業種や商材によってさまざまです。顧客へのヒアリングやDM・Eメールを通じた情報提供などを行って、コミュニケーションを取っていきます。見込み顧客の購買意欲の確度を高めつつ、顧客の興味・関心の度合いに応じて、段階的に商品の情報提供を行っていきます。従来のアウトバウンドセールスでは、1件の顧客に対して長期間で取り組むと時間や手間、交通費などのコストがかかってしまいます。しかし内勤で行えるインサイドセールスは、直接出向く必要がないため、時間をかけてナーチャリングすることが可能です。

インサイドセールスの種類

インサイドセールスの手法は、ターゲットの対象によって2つの形態に分けることができます。それぞれの形態の違いや役割について、くわしく解説します。

アウトバウンド型(BDR)

アウトバウンド型とは、BDR、新規開拓型営業(PUSH型)とも呼ばれ、自社からのアプローチで営業活動がスタートします。代表電話への電話やIR情報などで得た情報に基づいて、キーパーソンへ手紙を書くなどのアプローチを行っていきます。自社にとってベネフィットの多い企業や、つながりや認知を得にくい企業がターゲットの対象です。ニーズが顕在化していない企業に対してアプローチを行っていくため、攻略のハードルは高くなりますが、受注できた際のベネフィットは大きいといえるでしょう。

インバウンド型(SDR)

インバウンド型は、SDR、反響型営業(PULL型)とも呼ばれます。既に獲得している見込み顧客や、BDRで獲得した見込み顧客がターゲットの対象です。自社のWebサイトからの資料請求や問い合わせフォームなどへの反応があった顧客に対しても、SDRが最初にアプローチを行います。SDRからの連絡が顧客との初めての接触となるため、担当者はトークスキルやヒアリングスキルが必要になります。また、見込み顧客の興味・関心が高い状態でアプローチをかけることが成功の秘訣となるため、すぐに対応できるようなスピード感も必要です。

インサイドセールスとフィールドセールスとの違い

従来型営業の場合、営業プロセスは以下のとおり、ターゲットの選定から契約までを1人の担当者が担ってきました。

<従来型営業の例>

ターゲット選定 リード獲得 アプローチ アポイント獲得 商談 契約
セールスが1人で担当

従来の営業プロセスは、担当者が全てを担当しているため、属人化しやすく、時間やコストがかかる点が懸念されていました。そこで、工程を分業する「分業型セールスモデル」の導入が広まり、今までセールス1人が行っていた業務を3部門で分業するスタイルが確立されました。

<分業型セールスモデルの例>

ターゲット選定 リード獲得 アプローチ アポイント獲得 商談 契約
マーケティング インサイドセールス フィールドセールス

インサイドセールスが担当する範囲は、企業によって異なります。インサイドセールスは見込み顧客のナーチャリングが主な役割で、アポイント獲得が目的ではないという考え方もあります。ただし近年は、インサイドセールスのKPIが商談設定に置かれることも増えています。Web会議ツールなどの発達で、最近ではインサイドセールスが商談まで担当する企業もあります。

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インサイドセールスとテレアポの違い

インサイドセールス同様、テレアポも見込み顧客に電話でアプローチして商談を取りつける営業手法です。しかし、インサイドセールスとテレアポは、運営の目的をはじめ、以下の点で大きく異なります。

インサイドセールス テレアポ
運営目的 顧客との関係を構築する アポイント数や受注数の向上
成果指標 商談化率、商談化数など 架電率、架電数など
検証期間 長期間 短期間
アプローチ数 複数回 最短1回
他部署との連携 マーケティング部門
フィールドセールス
フィールドセールス

インサイドセールスは、マーケティング部門から引き継いだ見込み顧客との関係を構築することが主な目的です。フィールドセールスへ引き渡し、商談化につなげることが主な役割です。しかしテレアポは、「見込み顧客に対して、どれだけ多くアプローチできたか」という行動数が目的となります。また、インサイドセールスは見込み顧客に何度もアプローチしてナーチャリングしていきますが、テレアポは興味がない顧客に対しては特にフォローせず、リストから除外していくという違いがあります。

インサイドセールスのメリット

インサイドセールスを導入することによって、企業が得られる主なメリットは以下のとおりです。

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少人数で多数にアプローチ

インサイドセールスは、従来型の営業手法とは違い、わざわざ顧客を訪問する必要がありません。電話・メール、Web会議ツールなどを使ってアプローチを行います。商談に出向くための時間やコストが削減でき、少人数で多数の見込み顧客にアプローチできるのが強みです。人手不足でも、業務を効率化することが可能です。

営業の効率アップ

ターゲットの選定から契約までを1人の担当者が担う従来型の営業手法とは異なり、分業型セールスでは、各部門がそれぞれの範囲内で集中的に業務を行えます。自分の担当業務に集中すれば良いので、余計なことに時間を割く必要がなく、生産性の向上が期待できるでしょう。

また、従来型の営業手法では、ニーズ顕在化の度合いやアプローチをどこまで踏み込んでいくかは個人の判断に委ねられている部分がありました。分業型セールスは、各部門の範囲や役割があらかじめ決められているため、個人の力量によって成果が左右されることがありません。

また従来型の営業では、担当者が休んだり異動したりすると、他の担当者が引き継ぐのに時間がかかり、顧客との関係が不安定になってしまうケースもありました。しかし、分業型セールスでは、情報の共有・蓄積が前提なので、属人化することなく顧客との関係が構築できます。顧客との関係が不安定になって、離れてしまうリスクも減らせます。

アプローチ機会の増加による利益拡大

ひとりの営業担当者が顧客にアポイントをとって訪問する数には、限りがあります。しかしインサイドセールスでは、マーケティング部門から引き継いだ見込み顧客のリストに優先順位をつけ、確度が高まった状態でフィールドセールスに引き継ぐため、アプローチする機会が圧倒的に増え、成約率も高まります。

多様な働き方に対応できる

インサイドセールスは内勤が可能な業務のため、多様な働き方にも対応できます。近年、テレワークを導入する企業が増加し、在宅勤務を望む人も増えました。ダブルワークを許可する企業も増加傾向にあり、本業とは別に副業を行う人も増えています。また、フレックスタイムなど多様な働き方を推奨する企業も増加中です。働き方改革、人手不足、DX推進、新型コロナによる影響などで生産性向上や業務効率化が求められる企業において、多様な働き方に対応できるインサイドセールスは、新たな人材の確保やつなぎ止めにもつながります。

インサイドセールスのデメリット

インサイドセールスには多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。導入する際は、デメリットもよく理解したうえで検討する必要があります。

明確な目的や戦略設計が必要

インサイドセールスは、明確な目的や戦略設計のもとで運営できていれば、メリットが多い営業手法です。しかし、目的や戦略設計を行わないまま導入を進めたり、運用をおざなりにしたりするとデメリットもあるので、注意が必要です。

まずは、自社にどのような課題があり、インサイドセールスを導入することによって何が達成できるのかを明確にしましょう。また、インサイドセールスがどのような役割を担うのかを社内で共有する必要もあります。 目的や戦略設計を行わないまま導入を開始してしまうと、単なるテレアポ部隊となってしまい「顧客との関係を構築する」というインサイドセールス本来の目的を見失ってしまうでしょう。

ツールの活用や体制構築にコストがかかる

インサイドセールスを正しく運用していくためには、インサイドセールス内の情報共有はもちろんのこと、マーケティング部門やフィールドセールスとの連携も欠かせません。そのためには、社内で情報共有するツールの活用や体制構築が必要となります。ツールや体制を整えるためには、ある程度の時間やコストも必要です。

インサイドセールスの運営体制

インサイドセールスを運営する際は、自社内製で行う方法とアウトソーシングで外注する方法の2種類があります。どちらにもメリット・デメリットがあるため、自社に向いている方法を選ぶのがおすすめです。こちらでは、それぞれの内容やメリット・デメリットについて解説します。

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自社内製

自社内製で運営していく場合は、組織の設計から運営までを全て社内で行います。自社製品を知り抜いた従業員が担当できるため、販売難易度の高い商材や説明するのが難しい商材でも、アプローチが可能です。長い経験を経て、自社にノウハウも溜まっていくでしょう。また、外部に委託することがないので、セキュリティ面も安心です。ただし、設備投資や人材育成のための時間・コスト・工数が必要となります。インサイドセールスを立ち上げる際は、作業フローや管理体制の構築も必要ですが、社内の誰にもノウハウがない場合は、立ち上げまでにそれなりの工数がかかる覚悟も必要です。社外の人が説明するのに難しい商材を取り扱う場合や、セキュリティ面を万全にしたいときには、自社内製が向いています。

アウトソーシング

アウトソーシングなど、外部に委託する場合は、設備投資や人材育成のための時間・コスト・工数が削減できます。顧客対応のプロが対応してくれるため、すぐに立ち上げることも可能です。ただし、作業フローや管理体制の構築はもちろんのこと、契約書の取り交わしや事前研修なども必要になってきます。また、自社の従業員が対応するわけではないので、販売難易度の高い商材や、説明するのが難しい商材のアピールは難しいでしょう。社内にノウハウも溜まらず、セキュリティ面でも不安が残ります。販売難易度の低い商材や説明するのが簡単な商材を取り扱う場合や、早急に立ち上げが必要なときには、アウトソーシングが向いています。

まとめ

インサイドセールスの内容や注目されるようになった背景、メリット・デメリットについて解説しました。働き方改革、人手不足などの問題が注目されるようになり、各企業が業務効率化や生産性向上に力を入れています。少人数で多数にアプローチできるインサイドセールスは、現在多くの企業で導入が進んでいます。今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ導入を検討してみてください。


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