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倉庫業務の効率化に必要なものは?課題や改善アイデア、改善事例をご紹介

2024.01.24
  • EC総合支援
  • フルフィルメント

倉庫業務には、ヒューマンエラーの多発や業務の属人化を始めとするさまざまな課題があり、効率的な運営が難しいという声が多く聞かれます。
倉庫業務の効率化に必要なポイントと事例を通じ、倉庫業務を改善する手法について解説します。


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倉庫業務における課題

倉庫は、流通の中で拠点・中継点として重要な役割を果たしています。しかし、倉庫業務には幾つかの課題があり、それが効率化を難しくする要因です。
倉庫業務において特に見られる問題点をまとめ、改善点を見つける手掛かりとしましょう。

3Mの発生

作業量と倉庫の処理能力の均衡が取れており、問題なく業務が進んでいる状態が倉庫業務の理想です。
しかし、現実の業務においては能力以上の負荷がかかる「ムリ」、能力に対し負荷が下回っている「ムダ」、作業量や品質が不安定なまま稼働している状態の「ムラ」の3つのMが発生していることがほとんどです。
この3Mを如何に防ぐかが、倉庫業務の効率化のポイントです。

3Mは、いずれも流通というシステムの中で物品の流れの不均衡が生じ、局所的な集中が起こることで発生する問題です。さらにその不均衡が業務の不安定さを促進し、さらに3Mを悪化させます。

ピッキングミスやトラブルの発生

倉庫業務では、荷物のピッキングなどの確認作業が人の手作業で行われているケースが多くあります。手作業による確認は、ヒューマンエラーを発生させる要因になります。
倉庫業務は拠点としての機能が大きくなるほど、扱う物品が多様になり作業が煩雑化します。季節や繁忙期があるため量的に安定させることも難しく、システム対応ができず手作業による確認が増え、かつ作業手順が徹底されないなどの課題が生まれるのです。

さらに、1社が複数の拠点や倉庫を持つ場合、それぞれの現場でルールや管理手法が異なるケースもあり、システムの統一が難しくなります。

業務の属人化

倉庫業務では、工程が複雑でわかりにくくなるほど、作業の属人化が発生しやすくなります。
特定の工程に対して普段から対応しているスタッフが独自裁量で作業を進めているような現場では、休暇や退職による空白で作業効率が大きく落ちてしまいます。
また、現場で属人化が進むと特定の工程において急に流通量が増えた場合に、スタッフの配置人数を調整しただけでは業務が効率化できない、マンパワーが無駄に消費されるなどの3M要素が頻発するのです。

倉庫業務では、属人化が生じていることが把握しにくい場合も多々あります。管理職がルールやマニュアルを作成していても、現場の判断で慣れたスタッフが裁量することは暗黙の了解で行われているケースも多いためです。

人材教育の難しさ

倉庫業務には、人材教育が難しい側面があります。新しい人材を雇った場合や、スタッフの配置換えを行った場合に、担当する工程に習熟するまでに時間がかかるのです。
倉庫業務では、作業によって、あるいは拠点ごとに異なる方法が採用されているケースが多く、倉庫の勤務経験のある人材を登用しても、多くの場合で自社の業務に即座に対応できないのです。

複数の部品を大量に扱う物流や、完成品を小売りに配送するような業務の場合は覚えることが多く、効率的な作業が行える人材が育成できるまで多くの日数を要します。

在庫管理やルールの違いによる管理の難しさ

倉庫業務は、上層スタッフによる管理が難しい業務です。業務の属人化や現場ごとの暗黙のルールなど不可視の要素が、管理を困難にするのです。

また、スタッフだけでなく物品の在庫数や流通量の調整でも、帳簿上の数値と実際の量が一致しないなどの問題が起こりがちです。倉庫業務が特に煩雑で複雑な場合、Excelへの手入力などの手法ではデータと実際の数値にタイムラグが生じてしまうため、管理者が実態を把握するのが困難になります。

納入やピッキングにかかる時間も、同じ数であっても拠点ごとに異なってしまう場合が多く、管理者の目算がずれがちになります。

倉庫業務改善に向けてのチェックポイント

倉庫業務には、さまざまな課題があります。その中で、倉庫でどのような問題が発生しているのか、何を改善するべきなのか把握しなければ効率化は望めません。
ここからは、倉庫業務の問題把握と改善に向けてのチェックポイントについて解説します。

倉庫内が整理整頓されているか

整理整頓が徹底されていない倉庫には、必ず作業効率が下がる要因が隠れているといってよいでしょう。正しい保管場所以外に仮置きされている商品があるかどうか、梱包資材が元の場所にきちんと戻されているかどうかという点をチェックしましょう。
また、同じ商品がいくつかの場所にまばらに保管されている状況は、倉庫の運営管理が上手くできていない証拠です。
配置や保管場所が正しいとしても、物品によって通路がふさがれたり通りにくくなっている場所が散見されれば、人の動きが悪くなり作業効率を下げる恐れがあります。

活用できる道具・システムはないか

多くの倉庫の運営は、定められた予算で行われています。道具やシステムの導入で効率化できる倉庫作業の業務があっても、多くの現場で予算不足からそれをあきらめているケースが見られます。
システムや作業用機械の導入には、初期費用がかかります。しかし、的を射た導入であれば改善や効率化によって、経費の回収に時間がかからないケースもあるのです。
慎重に導入する作業を見極め、費用面の見積もりや回収期間も計算した上で、上位者に相談すれば導入が認められる可能性があります。

属人化の傾向や無駄な動きがないか

属人化の傾向や3Mの兆候は、倉庫業務でよく見られる課題です。
ベテランのスタッフが1人で進めているような工程がある場合、属人化している可能性があります。スタッフの勤怠記録と実際の作業工程の担当とを照らし合わせ、属人化の可能性が高いポイントを抽出すると、課題の可視化が可能です。
また作業全体の流れと人の動きを観察して、作業するスタッフ同士がぶつかりやすい箇所や、人が行ったり来たりを繰り返すような工程がないかを調べます。
理想的な配置とは、入荷から出荷まで人や物品がスムーズに動いている現場です。工程内で問題がないかを、客観的に確認しましょう。

ミスが多発していないか

課題を抱えている倉庫業務の現場では、大小のミスが多発します。ヒューマンエラーはある程度発生するものですが、多発している現場には必ず課題が潜んでいます。
大きなミスであれば管理者に報告が上がりますが、スタッフ間で吸収できる細かいミスや不具合は現場の裁量で処理されているケースもあり得ます。
ミスを招かないよう、保管方法や作業工程を見直すことで、改善の余地が生まれます。

倉庫業務を効率化し、改善する方法5選

倉庫業務を効率化し、改善する方法を5選ご紹介します。
これから挙げる施策は、「どれもやみくもに実施すればいいというものではなく自社の倉庫業務の問題点や課題を把握した上で行いましょう。
要点を押さえて、倉庫業務を効率化することで、課題を解決できます。

マニュアルの作成と業務フローの明確化

マニュアルの作成と業務フローの明確化は、いくつかの課題の解決に大きく寄与する改善ポイントです。
マニュアル作成による標準化には、属人化による問題の発生を防ぐことと、新人スタッフの教育時間の削減の効果があります。表面的なマニュアルではなく、実際の業務の流れを把握し、見直す視点で作成されたマニュアルには効果が期待できます。

ベテランスタッフが実務を進めるために進めてきた作業を可視化し、マニュアルに落とし込むことが、マニュアル作成におけるポイントです。
業務の標準化は、誰が担当しても同じ効率で作業できるという目的で進めましょう。

マテリアルハンドリング機器の導入

マテリアルハンドリングとは、生産拠点や物流拠点での原材料や半製品、製品などの移動に関する取り扱いを指します。マテリアルハンドリングを実施する機器が、マテリアルハンドリング機器です。具体的には、自動搬送ロボットなどです。
近年では倉庫業務に、自動搬送ロボットが導入される取り組みも始まっています。

全自動化が難しくても、段ボールの組み立てや封入作業など、特定の工程に機器を導入することで全体の工程の効率化やコスト削減につながる可能性があります。
自社の工程を見直し、人手や時間を伴う作業に機器を導入する余地があるか、検証してみましょう。

適正な在庫の維持

適性な在庫の維持も、倉庫業務の効率的な運営のためには必須の要素です。
必要なときに在庫が不足するのも問題ですが、それを避けようと過剰な在庫を抱え込んでいては保管スペースがひっ迫するだけでなく、出荷効率向上の妨げになります。
在庫管理システムを活用し、入出荷の数を把握し季節や時期による入出荷数の増減などの不確定要素をできるだけ可視化することで、在庫の不足や過剰在庫による業務の圧迫を軽減できます。

倉庫レイアウトの見直しと5Sの徹底

5Sは、「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」を意味する言葉で、流通業務において作業しやすい環境を保つための理想形を示しています。5Sを徹底し、また倉庫レイアウトを見直すことで、幾つかの課題は改善される可能性があります。
例えば、物品の保管場所が適切でないことが、無駄な移動やミスを誘発し生産性の低下を引き起こしている危険性があります。何をどこにどのように保管するかを、物品の出入荷の頻度やフローに応じて再検討し、適切なレイアウトを決定しましょう。

在庫管理システムの導入

適切な在庫管理システムの導入は、倉庫の作業効率化に役立ちます。
手入力で在庫管理を行っている現場では、記入漏れや打ち間違いなどのミスから在庫差異が発生し、業務改善の弊害になりがちです。また、手入力による在庫管理は、入力と反映にタイムラグが生じて他の工程へも悪影響を及ぼします。
例えば、ICタグの情報を非接触で読み書きする自動認識技術であるRFIDを在庫管理に導入すると、在庫の状態が可視化されてリアルタイムの在庫管理が実現します。
倉庫業務の実情に即した在庫管理システムを構築することが、業務の効率化につながるのです。

倉庫業務の改善例

実際に、倉庫業務にさまざまな施策を施し、業務改善に成功した事例をご紹介します。
多くの改善例において、具体的な課題とその改善のポイント、改善のための施策が噛み合うことで効率化が実現しています。
具体例を把握することは、自社の効率化の参考となるでしょう。

倉庫管理システムの導入による改善例

ある倉庫業務では、取り扱う商品が増えたことで在庫置場が煩雑となり、ベテランのスタッフだけがロケーションを把握している状態でした。他のスタッフは商品を探す時間や手間がかかり、課題とされていました。
そこで、倉庫管理システムを導入して倉庫内でのロケーション管理を徹底して行い、新人でも在庫の位置や数が把握できる仕組みにしたのです。
システムの導入は在庫の所在の把握だけでなく、倉庫全体のレイアウトの見直しや動線の改善にもつながり、作業効率の向上につながりました。

マニュアルの作成と作業手順の標準化による改善例

ある倉庫業務では、入出荷の管理にハンディターミナルを導入していましたが、出荷ミスが減らないことが課題となっていました。実情を調査すると、検品のタイミングや操作方法がスタッフによって異なっていることが原因と判明したのです。
そこで、ターミナルを用いた入出荷の作業手順に詳しいマニュアルを作成し、作業手順をルール化することでヒューマンエラーの削減に成功しました。
マニュアルの作成が作業の可視化に寄与し、作業のムラや属人化を防止できた事例です。

アウトソーシングにより業務を一元管理できた例

とあるアパレル業界でECサイトの運営を行っている会社では、流行に合わせた商品を用意しても、販売までのリードタイムが長くなり機会を逸する傾向があることが課題となっていました。縫製加工などの委託先が複数あり、拠点間の輸送とその維持管理が負担だったのです。
課題解決のため、受注から配送までの業務を一括にアウトソーシングできるフルフィルメントタイプの物流センターにアウトソーシングすると、全ての業務を一元管理できる体制が構築でき、経費を上回る成果を出すことができました。
業務の状況によっては、アウトソーシングにより全体の効率化が図れる可能性があります。

▶「EC物流のアウトソーシングにおけるメリット」をみる

倉庫業務の改善は根本から

倉庫業務の改善は、業務全体を見直し、発生する課題を根本から見直すことで成功する可能性が高まります。倉庫改善を目指すには、問題点の詳細な見直しと全体を俯瞰した改善策の検討が必要なのです。
場合によっては倉庫業務を外部に委託するアウトソーシングが最適解となる可能性もあります。経費と効率化の効果をしっかりと見極めてアウトソーシングが必要かどうかを選択しましょう。


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