コンタクトセンターのアセスメントが重要な理由とは?実施の流れやポイントを解説
コンタクトセンターは、顧客との直接的な接点を持つ重要な役割を担います。
収益性や顧客満足度の向上を目指すには、現場の稼働効率を維持しつつ、オペレーターの応対品質を高めることが求められます。
しかし、コンタクトセンターの運営改善にあたって「ボトルネックがどこにあるか分からない」「何から優先して取り組むべきか判断が難しい」と悩む方も少なくありません。
そこで重要となるのが、コンタクトセンターでの「アセスメント」の実施です。
この記事では、コンタクトセンターにおけるアセスメントが重要な理由をはじめ、必要なアセスメントの種類、実施の流れやポイントについて解説します。
目次
コンタクトセンターにおけるアセスメントとは

アセスメント(assessment)とは、ある分野に対する多角的な調査を通じて、客観的な評価・査定を行うことを意味します。
コンタクトセンターにおいては、運営状況を調査して、人材・品質・組織などの現状課題を特定するとともに、その結果に応じて最適な改善策を導き出すプロセスを指します。
すでに顕在化している課題を解決するだけでなく、「どのような業務プロセス・スキル領域・チャネル」にボトルネックがあるのか、データに基づいた分析を行います。
これにより「何に優先して対応すべきか」が明確になり、課題の解決や目標達成に向けた効果的かつ計画的なロードマップを描けるようになります。
コンタクトセンターのアセスメントが重要とされる理由

コンタクトセンターのアセスメントは、運営改善に向けて戦略的に取り組むために欠かせない取り組みです。具体的な理由には、以下が挙げられます。
現状を見える化するため
コンタクトセンターの運営改善に取り組むにあたっては、現状の問題点を把握することが欠かせません。しかし、運営規模の大きさに伴い対応領域が複雑化している現場では、「どのような問題が起きているのか」「どこに原因があるのか」を特定することが難しくなります。
例えば、稼働率が低い場合、「オペレーターの業務遂行能力に問題があるのか」「入電予測に問題があるのか」などを見極めなければ、効果的な解決策は打ち出せません。
アセスメントを通じて現状を見える化することで、これまで把握できていなかった問題やリスクが明らかになり、根拠に基づく的確な解決策を検討できるようになります。
顧客満足度の向上を図るため
コンタクトセンターでの顧客対応では、顧客満足度を左右するさまざまな要素があります。
現状の顧客満足度が低い場合に「その背景にどのような要因が隠れているのか」を把握せずにやみくもに改善策を講じても、根本的な解決には至りません。
アセスメントを実施することで、「オペレーターの応対品質にばらつきがある」「待ち時間が長く電話がつながりにくい」「初回解決率が低い」などのボトルネックを特定できます。
これにより、運営体制の見直しや人材育成などのポイントが具体化され、顧客満足度を向上させるための体制づくりが可能になります。
投資効果を最大化するため
コンタクトセンターのアセスメントは、運営改善のための投資効果を最大化するためにも重要な施策。
人材育成を目的とした研修・教育やシステムの導入などには、コストが発生します。限られたリソースのなかでコンタクトセンターの運営改善に取り組むには、「何に・どれだけの予算を投じるか」を見極めることが欠かせません。
アセスメントを通じて、客観的な評価に基づく投資計画を立てることにより、不必要なコストの投入を防ぎ、投資による効果を得やすくなります。
コンタクトセンターで実施するアセスメントの種類

コンタクトセンターでは、目的や課題に応じてさまざまな分野のアセスメントが実施されています。ここでは、主要なアセスメントの種類について紹介します。
人材アセスメント
人材アセスメントは、コンタクトセンターの現場で働くオペレーター・SV・マネージャーなどの能力や適性を評価する取り組みです。優秀な人材とされる基準を明確にして、現状と目標のギャップを特定する目的があります。
▼主な評価項目
- 業務遂行能力
- 顧客応対スキル
- 商品・サービスに関する知識の習熟度
- 社内規則やコンプライアンスの遵守
- 仕事に対する姿勢、意欲
- 勤怠の状況、勤務態度 など
人材アセスメントの評価結果を基に、スキルレベルに応じた個別育成計画を立てたり、モチベーションが低い従業員へのフォローアップを行ったりします。
組織アセスメント
組織アセスメントは、組織構造や業務体制などを評価する取り組みです。現場の稼働率や生産性に影響を与えている課題を特定して、最適化を図る目的があります。
▼主な評価項目
- 顧客対応のプロセス
- 部門間の連携体制
- マネジメント体制
- システムやツールの活用状況 など
組織アセスメントを実施することで、部門の再編や業務プロセスの再構築、マネジメント体制の見直しなどにつなげられます。
リスクアセスメント
リスクアセスメントは、コンタクトセンターが抱える潜在的なリスクを洗い出して、内部統制の実効性や情報セキュリティ体制を評価する取り組みです。
個人情報の漏えいやコンプライアンス違反などの重大なトラブルを未然に防ぎ、コンタクトセンターの信頼性と事業活動を維持する目的があります。
▼主な評価項目
- 情報システムの運用方法
- データの保管やアクセス管理の方法
- コンプライアンス管理の体制
- BCP(事業継続計画)の内容 など
コンタクトセンターでリスクアセスメントを実施することで、リスクの項目・重要度に応じた運営体制の見直しや各種ポリシーの策定が可能になります。
品質アセスメント
品質アセスメントは、オペレーターによる応対品質を評価する取り組みです。高品質かつ一貫したサービスを提供して、顧客満足度を高める目的があります。
▼主な評価項目
- 応対マナー
- 応対マニュアルの遵守
- 問題解決力や提案力
- 初回解決率 など
通話のモニタリングやメール・チャットでの対応履歴、顧客アンケートのスコアを基に評価することで、応対品質を均一化するための具体策を検討できます。
コンタクトセンターでアセスメントを実施する流れ

コンタクトセンターのアセスメントでは、客観的なデータに基づく評価によって課題を抽出して、具体的な改善策を導き出します。
ここからは、基本的なアセスメントの流れを解説します。
➀現状の診断
1つ目のステップは、コンタクトセンターの現状を客観的に診断することです。
実施するアセスメントの種類に合わせて、定量データ・定性データの両方に関する情報を収集して、コンタクトセンターの現状を可視化します。
▼主な診断方法
| 診断方法 | 内容 |
|---|---|
| KPIの計測・分析 | CPHやAHT(平均処理時間)、FCR(初回解決率)、放棄呼率などを計測して、目標値との達成度合いを明らかにする |
| VOCの集計・分析 | 通話ログやチャット履歴から、顧客からの問い合わせ内容、不満の傾向、頻発するキーワードなどを抽出・分類する |
| 応対モニタリング | オペレーターの通話内容をモニタリングして、応対品質やマニュアルの遵守状況を評価する |
| 顧客アンケート | 顧客アンケートを実施して応対品質に関する評価を集計・スコアリングする |
| 社内ヒアリング調査 | 現場の課題について、オペレーターやSV、マネージャーなどに直接聞き取り調査を行う |
現状の診断を行う際は、コンタクトセンターが目指すゴール(目標・ありたい姿)を明確にしておくと、“達成するまでのギャップ”を比較しやすくなります。
②課題の抽出
2つ目のステップでは、診断結果を踏まえて課題を抽出します。
課題を抽出する際は、表面的な問題だけでなく、その背景にある根本的な原因を探ることが重要です。現状とゴールのギャップが大きい部分を洗い出して、多角的なデータを用いながら因果関係や影響度を正確に整理する必要があります。
▼課題を抽出するポイント
- 各KPIの相関関係をツリー形式で可視化して、目的達成の阻害要因を特定する
- 複数のKPI・調査データがどのように結びついているか因果関係を分析する
例えば、オペレーターの「応答率」に関する課題の原因を特定するには、平均通話時間や平均後処理時間、初回解決率などの複数のKPIとの関係性を分析することが必要です。
③影響度の判定と解決策の策定
3つ目のステップは、影響度の判定と解決策の策定です。
抽出した課題が「コンタクトセンターの運営にどのような影響を及ぼすか」を判断して、重要度に応じて優先順位を決定します。また、優先度の高い課題から解決策を検討して、実行計画のロードマップを作成します。
▼ロードマップを作成する際のポイント
- 測定可能・達成可能な目標を定める
- 実行プロセスやアクションプランを具体化する
- 取り組みの期限を明確にする
解決策を実行に移したあとは、一定期間を空けて効果検証を行い、継続的に施策の見直し・改善に取り組むことが欠かせません。
アセスメントを実施する際のポイント

アセスメントを通じてコンタクトセンターの稼働効率や顧客満足度を高めるには、多角的な視点を確保するとともに、専門家のアドバイスを受けることがポイントです。
多角的な視点で評価を行う
コンタクトセンターの運営課題は、さまざまな要因が複合的に絡み合っているケースも少なくありません。多角的な視点を確保してアセスメントを実施することにより、適正かつ公正な評価が可能になり、課題解決をスムーズに進められます。
▼多角的な視点を確保する方法
- 評価の対象を特定の部署・業務に限定しない
- オペレーターに限定せず、SVやマネージャーなどのすべての階層を含める
- 定量データだけでなく定性的な情報を収集して実態との乖離がないか確認する
外部のアセスメントサービスを活用する
アセスメントは自社のみで行うことも可能ですが、事前の情報収集やデータ分析、解決策の策定などには専門的なノウハウが求められます。
コンタクトセンターの運営と並行しながら進めることは現場の業務負担につながるため、専門性のある外部のアセスメントサービスを活用することが有効です。
また、現状の診断だけでなく、ボトルネックの分析・特定や改善策の検討、施策の実行までサポートしてくれる事業者を選ぶことにより、実現可能性が高まります。
NTMが提供するアセスメントサービス

日本トータルテレマーケティング(NTM)のコンタクトセンターサービスでは、現状の運用体制を調査して課題を発見するアセスメント調査サービスを提供しています。
▼アセスメント調査サービスの特徴
- 運用ベンダーの視点に基づく多角的な調査
- 入電調査による現状課題の特定と改善策の提案
- 調査結果に基づくツール導入やマニュアル整備の支援
アセスメントによって課題を抽出するだけでなく、業務プロセスの再設計やツールの選定・導入、各種ドキュメント(手順書・FAQ・スクリプト)の作成などにも対応しており、コンタクトセンターの構築や運用改善をトータルサポートいたします。
なお、コンタクトセンター運用代行サービスでは、オペレーターへの通話やテキストコミュニケーションの全件調査を実施しており、応対品質の均一化と顧客体験の向上に取り組んでいます。詳しくは、こちらをご確認ください。
まとめ

コンタクトセンターのアセスメントは、現在の運営状況を見える化して、ボトルネックとなる課題を見つけ出す重要な取り組みといえます。課題の解決や目標達成に向けて計画的な改善策を立てるために、アセスメントの実施が効果的です。
「調査や評価のノウハウが不足している」「現場業務に忙しく、アセスメントを実施する余裕がない」という場合は、外部のアセスメントサービスを活用することも一つの方法です。
NTMのコンタクトセンターサービスでは、センターの構築・運用改善に向けたアセスメント調査サービスを提供しています。多角的な調査による課題の洗い出しをはじめ、業務プロセスの設計やツール導入、マニュアル作成などもサポートいたします。
コンタクトセンターサービスについては、こちらの資料をご確認ください。

