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輸送コストとは|高騰の要因や輸送コスト削減のポイントを解説

2024.02.21
  • フルフィルメント

近年、輸送コストの高騰が経済分野で話題にあがっています。輸送費の高騰がさまざまな経済活動の障害となるケースが増えています。輸送コストの高騰にどのように対応するべきなのでしょうか。今回の記事は、輸送コストの基礎知識や高騰の原因、削減方法を解説します。


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輸送コストとは

輸送コストとは、ものの移動にかかる経費です。物流においては主に輸送費をさします。輸送コストには、社内でのものの移動や、消費者に商品を配送する費用、物流を管理する経費など、複数の費用が含まれます。はじめに、輸送コストの基礎知識を紹介します。

輸送コストの定義

輸送コストは原則商品を運ぶ際にかかる費用です。主に商品を運ぶ際に必要な運賃が含まれます。
商品は工場から消費者に直通で届くわけではなく、中継地に運ばれた上で梱包、発送されるケースが一般的です。移動にかかる経費に加え、入荷側、出荷側、社内での転送における車両の経費や人件費なども輸送コストに含まれます。

輸送コストに保管費用や梱包などの経費、人件費を合わせたものが物流コストと呼ばれます。物流コスト内に占める輸送コストの割合は約60%ほどといわれています。

輸送費と運賃の違い

輸送費は荷物の運搬にかかる費用です。一方、運賃は人の輸送も含め輸送全般にかかる費用をさす言葉です。

運賃のほうがやや意味が広い言葉ですが、物流業務ではものの移動が中心であるため運賃ではなく輸送費もしくは運送費という言葉が使われます。物流コストの内訳で運賃と呼ばれる項目が出た場合は、物品を移動させたことの経費、輸送費であると判断します。

輸送費の決定要因

輸送費の決定要因には交通手段、輸送距離などがあります。

輸送費の根本は、商品や物資をある場所から別の場所に移動する際に発生する費用です。交通手段とはトラック、列車、船便、航空便などをさします。

交通手段によって輸送費は大きく変わります。船便は最も安いですが、時間がかかるうえに、港から目的地までの輸送費が別途かかります。トラックは小回りが利き、目的地まで直送できるメリットがありますが、輸送距離が長い場合、輸送費が高くなります。

輸送コストの比率

輸送コストの比率とは、物流コストのうち輸送コストが占める割合です。
輸送コストの比率を決める要因を詳しく把握すると、削減のための施策を検討できます。輸送コストの比率について解説します。

輸送コスト比率の決定要因

輸送コスト比率の決定要因は、輸送距離、輸送時間、荷物の種類などです。

輸送距離、輸送時間は輸送手段や距離により変動します。例えば、トラックで長距離を輸送させる場合と、列車とトラックを組み合わせて輸送する場合では輸送コスト比率は大きく変化します。

輸送コストを最適化したいときは、物流ネットワークを構築し、ものの移動に関して最適解を選択できる体制が必要です。

輸送コストの内訳

輸送コストの内訳は、交通手段による費用、つまり運送費の他に輸送距離やルートごとにかかる経費や荷物の重量、体積、それに伴う配送オプション費用などがあります。
例えば同じ物品を100km移動させる場合、20kmの移動を5回行うより、100kmの移動を1回行うほうが、ドライバーの手当や帰りの経費が安くなります。

物品の体積が大きくコンテナの手配が必要であれば別途経費が発生します。そのほか、冷凍便のようなオプションも輸送コストに大きく影響するでしょう。

輸送コスト高騰の原因

近年、輸送コストは上昇しています。輸送コスト高騰の原因にはさまざまなものがあります。ここからは、輸送コストの高騰の原因を4つ紹介します。

原因その1:需要の増加

コロナ禍での外出の自粛や在宅ワークの普及に伴う巣ごもり消費によって、BtoCの宅配便需要が著しく増加した点があげられます。

この需要増大は、ECサービスの浸透をもたらしました。また、多くの人がインターネット経由での購入を習慣化しました。

その結果、コロナ禍が落ち着いた後も宅配物の増加傾向は続き、物流を大きく圧迫しています。もともと、宅配便サービスはドライバーの過重労働をはじめとする問題を抱えていましたが、コロナ禍での需要増が事態をより深刻化させています。

原因その2:コンテナ不足

輸送コスト高騰の原因に、船便の輸送費の高騰もあげられます。

特に海上輸送におけるコンテナ不足が深刻です。もともと海上輸送のコンテナの多くは中国産でした。しかし、米中の貿易摩擦により中国は対米輸出を削減して、
コンテナの生産量を抑えました。

その結果、海上輸送用のコンテナの供給が滞り、輸送費が高騰しています。現在、コンテナ不足は解消されつつありますが、高騰の影響はいまだに残っています。

原因その3:燃料費の高騰

燃料費の高騰も、輸送コスト増大の原因の1つです。

2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻によって、各国のエネルギー価格が著しく上昇しました。輸送経路の安定が損なわれたことも要因ですが、最大の要因はロシア産原油の禁輸措置の拡大です。ロシアは世界第3位の産油国であり、原油供給が滞る懸念からガソリン価格が高騰しました。

燃料費の高騰は物流には大きな打撃であり、現状も解決の糸口がつかめていません。

原因その4:人件費の高騰

人件費の高騰も、物流コストに大きな影響を与えています。

人件費の高騰の要因は、物流を担うトラックドライバーの不足にあります。ECサイトの浸透に伴って、宅配サービスの需要が拡大した結果、多くの宅配サービスで過重労働や超過勤務が常態化しました。多くのドライバーが辞め、運送サービスの人手不足は深刻な問題です。

さらに2024年には、ドライバーの自動車運転業務において年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されます。いわゆる2024年問題です。物流における人件費の高騰は、今後も続くと予想されます。

輸送費は今後も高騰するのか

輸送費は今後も高騰するのでしょうか?

新型コロナウイルスの感染拡大による影響は落ち着いているものの、感染拡大がもたらした社会変化は確実に残っています。またロシアのウクライナ侵攻は解決のめどは立っていません。ドライバー不足の問題は、これから2024年問題を迎えさらに深刻化するでしょう。

総合的に見て、輸送費の高騰と高止まりは今後も続いていくと考えられます。従って、輸送コストの削減は物流にとって大きな課題です。

輸送コストの削減方法

輸送費の高騰が止まらない状況で、輸送コストをできるだけ抑えることは物流企業の命題です。輸送コストはどのように削減すればよいのでしょうか。輸送コストの削減方法について説明します。

スポット輸送への変更

輸送コストを削減する方法として、運送会社と荷主の間で結ばれている定期輸送の契約を、必要なときだけ依頼するスポット輸送に変更する方法があげられます。

定期輸送は、安定した輸送量を保証して、互いの事務や連絡の負担を軽減する方法です。荷物量が安定している場合、輸送単価を下げられるため、輸送費の削減につながります。

しかし、ECサイトをはじめとする時期によって荷物量に増減があるケースでは、定期輸送契約は最適な方法とはいえません。スポット輸送に切り替えると、輸送コストを抑えられる可能性があります。

混載便の活用

混載便の活用も、輸送コストを削減する手段です。

混載便とは、トラック輸送で船を1台を丸ごと自社でチャーターせず、他のトラックや荷物と一緒に積んで運ぶ方法です。燃料費や人件費を複数の会社で折半するため、輸送費を削減できます。

デメリットとして、輸送効率の関係からできるだけ荷物を多く積もうとするため配送に時間がかかる点があげられます。時間的制約が少ない輸送であれば、検討する価値があるでしょう。

配送先の現状把握

配送先の状況を把握することも大切です。

例えば、同じ混載便を利用する場合、4tトラックと10tトラックでは10tトラックのほうが経費は安くなります。スペースを借りるトラックの大きさで、運賃は大きく変化します。
しかし、10tトラックによる入荷には相応のスペースが必要です。配送先が10tトラックによる入荷に対応していることを把握しましょう。配送先の状況に応じて、より安い手段を選択します。

スキマ時間の活用

トラックのスキマ時間の活用も、効果的なコスト削減策です。

多くの配送トラックは、夕方に荷物を積み込み、翌朝から配送を行うことから、夕方の積み込みまでは、空荷で往路の移動に時間を使います。

このスキマ時間に当日積み込みや当日配送の荷物を依頼すると、効率よく荷物を運搬できます。これは運賃を抑える手段になるでしょう。

積載率の向上

ECサイトの普及により、個人向け荷物の配送需要が増えたため、トラック輸送の積載率は平均で約40%程度にまで減少しています。この空いたスペースを活用すれば、輸送コストを抑えられます。

トラックの積載率があがるように貨物を依頼しましょう。時間的制約や発注の手間はかかるものの、運賃は低く抑えられます。船便のコンテナ輸送でも同じことが行えます。

空距離の削減

多くの配送トラックは、荷物を配送してから拠点に戻るまで、空荷の状態です。空荷での移動距離を削減すると、輸送コストのさらなる削減ができます。

例として、帰り便の利用を業者に任せる片道運航契約や、復路に条件が合う会社と共同配送の契約があげられます。A地点からB地点までの配送を自社で依頼し、B地点からA地点までの配送を別の会社が利用する契約も効果的です。同様の施策は、船便や航空便でも実施できます。

フェリー輸送の活用

輸送における距離単価がもっとも安い輸送手段は海上輸送です。

海上輸送は海外便が多いといえますが、国内でも海上輸送は利用できます。トラックや航空便を使っている場合、フェリー便への変更を検討してみましょう。海上輸送をコンテナ便にして他社との共同便とすれば、さらに費用を抑えられます。

事故防止対策の実施

輸送中に事故が起こると、対応や調整のための時間や費用がかかります。

トラック輸送における重大事故の原因の半数以上は、ドライバーに起因するものです。ドライバーに過大な負荷を与えない、飲酒運転をさせない、などの体制作りをしましょう。事故によるリスクを抑制できます。

自社による配送だけでなく、依頼する輸送業者に対しても「適切な事故防止策が取られているかどうか」という観点を持ちましょう。

変動しやすい運送コストには常に備えを

輸送コストは、年々高騰しています。輸送コストはさまざまな要因で変動するため、常に最新の状況を把握して備える必要があります。
輸送コストの削減のために、物流システムの導入や、物流そのものをアウトソーシングする選択肢もあります。物流のアウトソーシングについて興味がある方はぜひ当社にご相談ください。


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