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自治体が委託先の選定にプロポーザル方式を選ぶメリットとは?提案判定のポイントも

2023.11.20
  • 公共BPO

地方自治体が企業へ事業を発注する際は、住民が納付した税金がその資金になります。大切な税金を使用するからこそ、事業者の選定には誰もが納得するような妥当性や透明性が必要です。
この記事では、委託先を選定する方法のひとつであるプロポーザル方式について解説します。


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プロポーザルとは委託先を選定する方法の1つ

委託地方自治体が企業へ事業を発注する際は、住民が納付した税金がその資金になります。大切な税金を使用するからこそ、事業者の選定には誰もが納得するような妥当性や透明性が必要です。
この記事では、委託先を選定する方法のひとつであるプロポーザル方式について解説します。
先選定方法は主に「競争入札」「コンペ」「プロポーザル」の3つです。
それぞれの選定方法について特徴をまとめましたので、違いを理解しておきましょう。

「価格」を見る競争入札

競争入札方式は、複数の事業者からの提案のうち、最も価格が安い事業者を選ぶ方式です。
委託先選定方法として従来から実施されていた方式のため、手続きや準備が比較的容易です。また、選定基準が「価格」と明確であることから、参加事業者にとっても納得性が高い方式といえます。
ただ、価格の安さだけを基準に選定すると、経験不足の事業者や人員に余裕のない事業者が選ばれる危険性もあり、事業の質が下がってしまう懸念は拭えません。

「企画内容」を見るコンペ

地方自治体での事業者選定におけるコンペ方式では、複数事業者の提案から企画内容を比較をします。たとえば、建築物であれば設計案そのもの、イメージキャラクターであればデザインそのものを評価する選定方式です。
企画内容での勝負となるため、事業者の規模や経験はあまり重視されず、公平性や透明性が高い選定方法といえます。
一方で、募集要項を詳細に定める必要があるため、募集までの準備には時間と労力を要するでしょう。

「企画内容と企画者」を見るプロポーザル

プロポーザル方式は企画内容と企画者を総合的に評価する選定方式です。
企画内容そのものに加え、事業者の方針や実施体制、過去の実績、さらには地域への貢献度なども鑑みて、業務の遂行にふさわしい事業者を選定します。
コンペ方式とプロポーザル方式は混同されやすいですが、コンペは「企画内容」のみ評価、プロポーザルは「企画者」も含めて評価する点が大きな違いです。
価格や企画内容といった単一の項目ではなく、複数の項目で事業者を評価します。

プロポーザルの種類

プロポーザル方式には、地方自治体が実施する「公募型プロポーザル方式」と国や独立行政法人などが実施する「環境配慮型プロポーザル方式」の2種類があります。
それぞれのプロポーザル方式について、特徴を解説します。

公募型プロポーザル方式

地方自治体が民間企業へ事業を委託するにあたって、応募事業者を総合的に評価し、最も優れた事業者を選定する方式が公募型プロポーザル方式です。
参加資格を満たせば誰でも参加できるため公平性が高く、多くの地方自治体で採用されています。応募に必要な参加資格は、Webサイトでの周知が一般的です。

一方、発注者が事前に選定した複数の事業者のみ参加できる指名型もあります。指名型は多くの場合、専門性が必要な事業の発注時に採用されます。

環境配慮型プロポーザル方式

国や独立行政法人が大規模な改修工事や建築工事の発注先を決める際には、環境配慮型プロポーザル方式が採用されます。
環境配慮型プロポーザル方式は、2007年(平成19年)11月に施行された環境配慮契約法を背景に誕生しました。応募する事業者は、温室効果ガスの排出量削減や自然エネルギーの積極的な利用などを企画内容に盛り込む必要があります。

事業者の方針や実施体制に加え、環境配慮に対する技術提案も含めて評価を行う選定方式です。

プロポーザルのメリット

地方自治体が委託先選定方法としてプロポーザル方式を採用すると、どういったメリットが得られるのでしょうか。
ここでは、地方自治体がプロポーザル方式により委託を実施する場合のメリットについて、3点解説します。

発注者の想定より優れた提案を受けられる可能性がある

プロポーザル方式では、複数の事業者から方針や過去の実績に優れた事業者を選定可能です。
そのため選ばれた事業者は、発注者の想定以上の素晴らしいアイデアを持っており、より優れた業務提案を受けられる可能性があります。

契約内容を変更できる

プロポーザル方式では、発注者(地方自治体)と提案者(事業者)の協議により、契約内容の変更が可能です。
契約した後でも状況に応じて柔軟に交渉できるため、地方自治体側の要望や意見を反映しやすい点がメリットといえます。

プロポーザルのデメリット

地方自治体が委託先の選定方法としてプロポーザル方式を実施する場合、2点のデメリットが考えられます。
デメリットも把握したうえで、プロポーザル方式を採用するかを検討しましょう。

規模の小さい事業者には依頼しづらい

プロポーザル方式では企画内容だけではなく企画者も評価するため、小規模の事業者や過去の実績が乏しい事業者には依頼しにくいです。
また、地域への貢献度も選定基準として加味することから、新規参入の事業者を評価しにくい点もデメリットといえます。

透明性や公平性を証明する必要がある

プロポーザル方式は、適正に運用されていれば透明性や公平性が高い選定方法です。
適正運用のためには評価項目と点数を明確に定め、評価基準が公平であると証明する必要があります。詳細な評価基準の作成は容易な作業ではない点がデメリットといえるでしょう。

公募型プロポーザルの具体的な流れ

地方自治体がプロポーザル方式で事業者を選定する場合、どのような流れになるのかをステップ形式でまとめました。
具体的にどのように事業者選定を進めていけばよいのか、7つのステップごとに必要な行動を紹介します。

参加資格の決定

最初のステップでは、発注者側は参加資格を決定します。
どういった事業者が入札に参加できるのか、参加資格の条件を定めます。合わせて、事業者を選定するための適切な評価基準も作成する必要があります。

プロポーザル実施の公告

参加資格が決定したら、発注者は地方自治体のWebサイトでプロポーザルの実施を公告します。具体的な案件内容や参加資格についても、同時に交付する必要があります。
プロポーザルの内容や参加が予想される業者の状況に応じて、Webサイトでの公告だけでなく説明会の開催についても検討しましょう。

参加者表明の募集・確認

プロポーザルの公告を見た事業者から応募があれば、参加者表明書を提出してもらい受領します。募集要領の公告から参加者表明の受領までの目安は概ね10日間です。
参加者表明書をもとに、事業者が入札参加資格を満たしているか確認します。

提案内容の受け付け・選定

参加表明の締め切り後は、参加資格を満たした事業者に通知をし、提案書の提出を受け付けましょう。
評価基準をもとに企画内容や実施体制、事業者の能力などの評価項目を審査し、次のステップへと進む事業者を3~5社程度選定します。

選定者に通知

提案内容の審査で選定された企業に選定通知を行います。書面を送付しての通知が一般的です。
また、選ばれなかった事業者には選定されなかった理由を通知する、もしくは担当者へ説明要求できる措置を設けることが望ましいです。

ヒアリング

事業者から受け付けた提案書の内容を詳細に把握し、より適切な事業者を選定できるようヒアリングを行います。
事業者から提案内容についてプレゼンテーションで説明を受けた後、質疑応答でヒアリングを行うスタイルが一般的です。

契約先の決定・契約締結

ヒアリングを経て契約先となる事業者が決定した後、妥当性を考慮しながら価格について最終的な交渉をします。
交渉が成立した場合は、契約締結の手続きへと進みましょう。提案書の特定から契約締結までは15日間程度が目安です。

提案書で見るべきポイント

プロポーザル方式では企画内容と企画者を評価し、案件の遂行に最もふさわしい事業者を選びます。
事業者の選定に際して、提案書ではどのような点に注目すればよいのでしょうか。提案書で見るべきポイントを5点解説します。

事業者に十分な資金があるか

公共事業の遂行に要した費用は、もちろん地方自治体側が支払います。ただ、支払は事業が完了してから行うものです。
事業完了までは事業者自身の資金でやりくりする必要があるため、事業者に十分な資金があるかどうか確認しましょう。
融資を活用して参加を希望する事業者もいるかもしれませんが、自社資金でやりくりできる事業者の方が、業務遂行にも余裕を持てます。特に事業が大きいほど必要な費用も増えるため、事業者の資金力は重要なチェックポイントです。

事業を遂行できる能力があるか

公共事業は住民の大切な税金を投入して行うため、失敗が許されません。そのため、応募者に事業を遂行できる能力があるかを見極めましょう。具体的には、業務にあたる従業員の数や従業員の能力(資格保有数、経験)などを確認します。
また、応募者が過去に実施した事業実績も選定時のポイントです。募集する案件に関連した事業を経験している事業者や、公共事業を実施した経験のある事業者であれば、業務遂行能力に期待が持てます。

募集目的を理解できているか

事業者が応募目的を理解できているか、という点も提案書で見るポイントのひとつです。
公共事業は基本的に単発ではなく、複数年に渡っての長期的なスパンで考えます。しかし、事業者への発注は年度単位のため、入札の募集でも多くのケースで1年間の達成目標を記載します。
そういった背景まで理解したうえで、事業の全体像を把握し、地方自治体が求める目的に沿った追加提案を挙げる事業者があれば、心強いパートナーになることでしょう。

予算配分が適切か

事業の遂行における予算配分が適切であるかどうかも、提案書で見るべきポイントです。
限られた予算内で、すべての目標を100%満たすことは困難である場合がほとんどです。どこに力をかけ、どこに見切りをつけるか。予算配分をみて、提案書を提出した事業者の意図を探りましょう。
プロポーザル方式のメリットとして、契約後でも協議により契約内容の変更が可能な点を挙げましたが、予算配分がぎりぎり過ぎて余裕がないせいで変更ができなくなる恐れがあります。ある程度余裕を持った予算配分の事業者を選べば、契約内容の変更が可能なメリットを活かせるでしょう。

内容に具体性があるか

企画書では、企画内容の具体性も確認しましょう。企画書そのものが事業を遂行するにあたっての資料として使えるレベルであれば、具体的だといえます。
大前提として「何を」「いつ行うのか」、実施内容とスケジュールが明確に記載されているかがポイントです。スケジュールの見積が甘いと、納期遅れ発生のリスクがあります。
具体性があり柔軟な対応も可能になるだけの計画と対策があれば、突発的な事情が発生してもスムーズに業務が進められるでしょう。

まとめ

プロポーザル方式では、単純な条件比較ではなく事業者の方針や実績まで考慮して事業者選択ができます。
一方、事業者選定の透明性や公平性を確保するために、評価基準が明確な仕様書を作成しなければいけません。
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