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インサイドセールスとフィールドセールス 役割の違いと分業のメリット

2023.03.31
  • コンタクトセンター

近年は、顧客の購入行動の変化や人手不足、コロナ禍による影響などから、従来の対面営業を主とする営業手法から非接触も含む営業手法へと変わりつつあります。なかでも直接顧客を訪問することのないインサイドセールスの手法は国内でも広く認知されるようになり、導入する企業も増えました。今回は、インサイドセールス・フィールドセールスの内容や違いについて、実際の成功事例を交えながら、くわしく解説します。


インサイドセールス(内勤営業)とは

インサイドセールスとは、直接顧客を訪問することなく、電話・メール・DMなどの手段で顧客や見込み顧客との関係を構築する営業手法です。顧客に情報提供を行うことで、重要な人物や担当者情報を把握し、顧客の課題やニーズの確認を行っていきます。
インサイドセールスは、見込み度合いの高い顧客をフィールドセールスに渡すために、顧客のナーチャリング(育成)を行い確度を高めるなど、営業フローの一部を担当するのが一般的です。ただし、企業によってはインサイドセールスのみで営業フロー全般を完結させるケースもあります。企業によっては、受注に至った後の「事後フォロー」や「追加売上のためのアプローチの継続」などもインサイドセールスが行うケースもあります。

フィールドセールス(外勤営業)とは

フィールドセールスとは、外回りをして顧客と直接商談する訪問型の営業手法です。インサイドセールスが構築した関係や情報を活用し、顧客に対して商品・サービスの提案やクロージング活動を行います。フィールドセールスが成功するためには、インサイドセールスがどれだけ顧客・見込み顧客の課題を把握して、解決策を提案できるのかが重要なカギとなります。

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インサイドセールスとフィールドセールスの違い

インサイドセールスは、案件成約の確度を高めた顧客をフィールドセールスにつなぐまでが主な役割です。確度を高めるために、顧客が抱えている課題やニーズを引き出し、ナーチャリング(育成)を行います。フィールドセールスは、インサイドセールスから引き継いだ情報を元に顧客に対する提案方法を検討し、訪問・商談・契約を行うのが主な役割です。企業ごとにインサイドセールスとフィールドセールスの役割の範囲や線引きが異なるため、企業によってはインサイドセールスが全ての役割を担うこともあります。

分業した組織体制の全体像

一般的な営業プロセスは、大きく以下のように分類できます。従来は、対面営業を主とし、全ての営業プロセスをひとりの営業担当者が行うのが一般的でした。

  • 新規顧客の開拓
  • 新規リード獲得
  • 電話、メール、DMなどによるコミュニケーション
  • アポイント
  • 商談
  • 受注
  • アップセル
  • クロスセル
  • アフターフォロー

現在は、ひとりの営業担当者が全ての営業プロセスを行うよりも、組織化して分業したほうがさまざまなメリットが生まれ、業務効率化が目指せると考えられるようになりました。そのため、営業プロセスを以下のように分け、それぞれの部門によって分業するスタイルを導入する企業が増えています。

担当部門 内容 役割
マーケティング ・新規顧客の開拓
・新規リード獲得
・ナーチャリング(育成)
・リードの獲得を主に担当
・確度が低い場合はナーチャリング(育成)を行うこともある
インサイド
セールス
・ナーチャリング(育成)
・クオリフィケーション(評価)
・有望なリードとのコミュニケーションを担当
・ナーチャリング(育成)や営業へパスできるかどうかの評価(クオリフィケーション)を行う
フィールド
セールス
・訪問営業
・受注
・受注確度の高いリードへの営業を担当
・商談を行い受注を狙う
カスタマー
サクセス
・アフターフォロー
・アップセル
・クロスセル
・受注後のコミュニケーション全般を担当

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分業のメリット

現在は、インサイドセールスを導入するなど、新たなスタイルで営業プロセスを分業したほうがメリットがあると考えられるようになりました。

分業が普及した背景

ひとりの営業担当者が行っていた業務を分業するようになったのには、以下のような背景があります。

サブスクリプションビジネスの普及

そもそもサブスクリプションとは、「定期購読」「継続購入」を意味するビジネスモデルで「サブスク」と呼ばれることもあります。商品やサービスを都度購入するのではなく、それらを一定期間利用できる権利に対して料金を支払う仕組みです。サブスクリプション型のビジネスモデルは、音楽や動画配信サービスを筆頭に、食品の宅配事業や習い事など、近年さまざまな業界・分野で裾野を広げています。顧客は手軽に利用し始められるメリットがあり、企業側も対面での営業をせずに顧客を獲得できるメリットがあります。企業にとっては、問い合わせ対応やフォローアップ、啓蒙に注力できるのもメリットです。それらの対応には、メール・電話・チャットなどで対応可能なインサイドセールスの特徴が活かせます。

人手不足の解消

働き方改革の推進や少子高齢化による影響で、どの業界においても人手不足は深刻な社会問題です。働き方も多様化しており、限られたリソースを有効活用するためには、業務効率化が必須となります。従来どおり、ひとりの営業担当者が全ての営業プロセスを実施するとなると、対応件数は限られるでしょう。各担当部門で営業プロセスを分業することによって、業務効率が上がるだけではなく、顧客先のカバー率も上がるため、成果が表れやすくなります。分業であれば、対面営業では実現しなかった多くの企業への一括アプローチなど、効率的な運用・管理も可能になります。

コロナ禍による接触を避ける傾向

「外回り」という言葉があったように、従来の営業スタイルは客先に足しげく訪問したり、飛び込み営業を行ったりするのが一般的でした。しかし、コロナ禍による影響で、対面での営業が当たり前だった従来型の営業スタイルが通用しなくなり、非対面による新しい顧客獲得や関係構築を考えなければならなくなりました。接触がタブーとされた状況で、非対面での営業機会が得られるインサイドセールスが注目されるようになり、多くの企業が分業による業務効率化や生産性の向上などのメリットを見出すようになっています。

連携を成功させるポイント

営業プロセスの分業は効率が良い反面、各部門同士の連携が取れていないとうまく回りません。こちらでは、各部門を連携させるのに必要な4つのポイントについて、くわしく解説します。

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ツールで情報を共有する

各部門がスムーズに連携し、効率的に営業を進めることができれば、全体的な営業効率を高められます。そのために重要なのは、各部門における情報共有です。システムツールなどを活用し、顧客情報や案件進捗などがリアルタイムで共有できれば、うまく連携できるでしょう。MA (マーケティングオートメーション)などを利用すれば、顧客の温度感を数値化することができ、優先順位を付けることも可能です。ツールを活用することで、より効率的な顧客アプローチが可能になります。また、担当者間で得た知識や情報を社内に蓄積する仕組みを構築することで、組織全体の営業力の底上げにつながります。

顧客情報を詳細まで共有する

各担当者は、自分の担当する情報を抱え込みがちになる傾向があります。例えば、自分が作成した資料の存在を共有しなかったために、別の担当者が新たに資料を作成することがあります。新たに同じ資料を作成することは無駄な工数になってしまい、組織のためになりません。詳細に情報共有を行う仕組みができていれば、資料を重複して作成するようなことはないでしょう。顧客情報だけではなく、ナレッジの共有も同時に徹底することが大切です。情報やナレッジを詳細に共有することで、さまざまな工数の削減が期待でき、業務効率化につながります。

引継ぎのタイミングを的確に行う

営業プロセスを各部門に引き継ぐことで最終的に受注に至りますが、部門から部門への引継ぎのタイミングを的確に行わなければ、受注までもっていけないこともあります。とくに、獲得したリードをインサイドセールスがどのタイミングでフィールドセールスに引き継ぐかは、非常に重要です。確度が高い顧客であっても、アプローチまでの間隔が空くと、熱が冷めてしまい手遅れになってしまうケースはよくあります。タイミングを逃さないためにも、リードの引き渡し条件をあらかじめ明確に決めておく必要があります。規模・内容・緊急度など、さまざまな検討事項について指針を決めておくと、迷わずに良いタイミングで引き継ぐことができるようになるでしょう。

役割の違いを明確にする

企業や業務内容によって、役割分担や各部門の線引きは異なります。例えば、ナーチャリング(育成)を行う場合も「ここまではマーケティングが担当」「このようなケースはインサイドセールスが対応」などとあらかじめ決めておかなければ、自分の担当外であると認識してしまい、実際には誰も行わないような事態が発生するかもしれません。各部門がそれぞれの特徴や強みを理解して役割の違いを明確にすることで、それぞれが担当業務に責任を持ち、連携しやすくなります。

インサイドセールスを用いた成功事例

実際にインサイドセールスを行ったことで、商談数や受注率がアップした事例は数多くあります。

ある企業では、MAツールを導入したもののうまく活用できていませんでした。しかし、MAとインサイドセールスを連携させることによって、ハウスリストの整理・スコアリングを行ったところ、商談率が2.5倍に増加したという例があります。

別の企業では、リードタイムが長いのが課題でしたが、インサイドセールスによって顧客をセグメント化して優先順位を決定することで、有効商談数が3倍に増加しました。

また、店舗開発支援サービスを提供している企業では、少ない営業担当者で面談化率を高めることが課題となっていました。インサイドセールス導入によって、属性ごとにふさわしい情報をメール配信できるようになり、確度が高まった状態で電話をすることによって、営業効率が高まったという例もあります。

まとめ

サブスクリプションビジネスの普及や人手不足、コロナ禍による接触を避ける傾向といった背景があるなか、時代に合った方法で業務効率化が進められる「営業プロセスの分業」が、多くの企業で注目を集めています。今回は、インサイドセールスをはじめとする営業手法を取り入れ、実際に成功した事例についてもご紹介しました。この記事の内容を参考に、実際に自社に導入すればどのような効果が得られるのかイメージしてみましょう。


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