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コールセンターのマニュアルとは?作り方と運用のポイントを解説

2023.03.31
  • コンタクトセンター

顧客からさまざまな問い合わせがあるコールセンターの業務は、状況に応じて適切な対応が求められます。コールセンターは通常、多くのオペレーターが対応しているため、それぞれの回答にばらつきが出てしまいます。それを解決するのがマニュアルです。今回は、コールセンターのマニュアルの作り方をはじめ、運用のポイントについて解説します。


コールセンターのマニュアルとは

まずは、コールセンターのマニュアルを作る目的や注意点について解説します。

マニュアルを作る目的

一般的なコールセンターでは、複数人のオペレーターが対応します。もし、マニュアルがなければ、オペレーターごとに回答や対応にばらつきが生まれてしまうでしょう。「はじめに問い合わせたときは〇〇と答えていたのに、別の人が対応したときは××だった」といった対応では、企業としての信用が得られないだけではなく、顧客の満足も得られないでしょう。応対品質のクオリティやばらつきは、クレームの発生の原因にもなります。不快な対応だと思われた場合は、競合他社への乗り換えなどにつながるかもしれません。オペレーターごとの回答のばらつきを避けるためには、マニュアルを作成し、コールセンター全体の応対品質を均一化することが重要です。

コールセンターの業務は通常、オペレーターが電話をかける「アウトバウンド」と、顧客からかかってきた電話に対応する「インバウンド」に分けられます。どちらの業務にもマニュアルは必要ですが、インバウンドはとくに重要です。顧客は質問やクレームをするために問い合わせをしているため、そのときの対応が、その後の関係性に大きく影響します。

また、問い合わせの内容はある程度、カテゴライズすることが可能です。マニュアルに落とし込みやすいため、オペレーター対応の品質向上もしやすいでしょう。

マニュアルに頼りきりではいけない

コールセンターにおいて、マニュアルは必須です。しかし、マニュアルに頼り過ぎてはいけません。マニュアルの内容をそのまま読んでいるだけというイメージを与えてしまえば、顧客に悪い印象を与えてしまうこともあります。顧客に満足してもらうためには、マニュアルをしっかりと理解し、自社やコールセンターのルールを守りながらも、柔軟に対応することが大切です。顧客の問い合わせに対して何が求められているのかを判断し、マニュアルの範囲内で適切な対応ができるようになると、良い印象を与えられるでしょう。

コールセンターの応対マニュアルに記載する情報と内容の考え方

コールセンターの応対マニュアルに記載されている情報や内容は、企業によって異なります。ただし、以下の内容は共通して掲載されている傾向が高い項目です。

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自社の基本情報

顧客との会話の中で、自社に関する質問を投げかけられることがあります。たとえば、「会社概要」「商品・サービスに関する情報」や、「社内規定」などの会社に関する情報です。オペレーターはそれらについて、ある程度の情報を把握しておかなければなりません。ほかの項目に比べて、毎日のように読みこむ必要はありませんが、とっさの質問や会社のルールを確認したい場面で役立ちます。

ビジネスマナー

ビジネスマナーの徹底は、顧客対応において最も重要です。ビジネスマナーとして記載する情報は、電話対応をはじめとするビジネスマナーや、ルールをまとめたものです。社会人として知っておくべき内容であり、顧客対応の基礎ともいえるでしょう。コールセンターの業務をこなすうえで、顧客に失礼な言動を行わないためにも、必ず身につけておく必要があります。ビジネスマナーがおろそかな場合、正しい情報を伝えても説得力がなく、顧客満足度も高まらないでしょう。

敬語・言い回し・クッション言葉

顧客に良い印象を与えるには、オペレーターとしてふさわしい言葉遣いをする必要があります。とくに、以下の項目は注意が必要なため、マニュアルに入れておきたい内容です。間違った使い方をすると相手に不快感を与えてしまうことがあるので注意しましょう。言葉の使い分け方や活用方法を具体例としてマニュアルに明記しておくと、理解しやすくなります。

敬語 「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」の使い分け方
言い回し 「かしこまりました」「承知しました」などの言い回しをシーン別に記載
クッション言葉 「失礼ですが」「お手数をおかけしますが」など、会話の間に挟むフレーズ

システム等の操作方法

オペレーターは、業務にパソコンや電子機器を使うこともあります。顧客と話しながら操作することが多いため、操作中にトラブルが発生するとパニックになるかもしれません。マニュアルにパソコンや電子機器の操作方法、よく使う機能、トラブルシューティングなどを記載しておくと、安心です。機械操作に慣れると顧客対応もスムーズになります。

オペレーターによっては、機械操作が苦手なケースもあります。そのため、どのオペレーターが読んでもわかりやすいマニュアルを作ることが大切です。

トークスクリプト

トークスクリプトとは、わかりやすく言えば「顧客対応の台本」です。顧客対応の際に、会話のテンプレートとして機能します。トークスクリプトがあれば、顧客との会話がイメージしやすいため、余裕を持った対応ができるでしょう。

①ペルソナを設定する

まずは、顧客のペルソナを設定します。ペルソナとは、架空の顧客像です。ペルソナを設定することで、顧客が置かれている状況をイメージしやすくなります。

②実績のあるオペレーターが使うトークを抜き出す

実際の会話を想定して、トークスクリプトによくあるトーク例を記載します。スクリプトの元となるトーク例は、顧客応対力が高いオペレーターの言い回しや、よく使う表現方法を集めるとよいでしょう。「顧客対応の見本となるようなトーク例を集められるか」が、トークスクリプトの出来を大きく左右します。大変な作業ではありますが、最も重要な工程です。

③想定される問い合わせ内容ごとにフローチャート化する

顧客の問い合わせ内容によって、対応は変化します。商品の説明をして欲しいという場合と商品が壊れてしまったというクレームでは、対応が変わります。そこで、問い合わせが想定できる内容ごとに、着電してから対応が終了するまでの工程をフローチャート化し、問い合わせの流れがわかるようにしておくと便利です。

たとえば顧客から問い合わせがあった場合、オペレーターは情報を聞き出すため、顧客にヒアリングを行います。ヒアリングの内容は、企業や商品・サービスによって異なりますが、解決に導くようなトークスクリプトを準備していきましょう。

例として、自社購入商品の故障について対応する場合では、下記のような質問をいくつか投げかけ、解決へと導いていきます。
・いつ購入した商品か
・故障箇所はどこか
・どのようなときに症状が出たか

「操作方法の問い合わせ」「故障のクレーム」など、よくあるケースごとにフローチャートを作成しておけば、オペレーターはフローチャートの流れに沿って、顧客に解決策を提案できるでしょう。

「操作方法の問い合わせ」「故障のクレーム」など、よくあるケースごとにフローチャートを作成しておけば、オペレーターはフローチャートの流れに沿って、顧客に解決策を提案できるでしょう。

④スクリプトを書き出す

フローチャートの流れが決まったら、スクリプトを具体的に書き出しましょう。フローチャートの流れに沿って、想定される顧客のセリフやオペレーターのトークを書きこみます。すべてのフローチャートでスクリプトの書き出しを繰り返し行っていき、完成させていきます。

⑤ロールプレイで実用のイメージを確認する

トークスクリプトの完成後は、顧客役とオペレーター役に扮し、スクリプトに沿ったロールプレイを行うのがおすすめです。テキストで見た際には違和感がないと思っても、実際に会話してみると違和感があることはよくあります。ロールプレイをすると、「なんとなくおかしい」と感じるような違和感を取り除くことができます。非効率な会話や、違和感がある表現を発見したら、改善していきましょう。ロールプレイで改善点がなくなれば、マニュアルは完成です。違和感があると感じるうちは、何回かロールプレイを繰り返し、違和感を取り除いていく必要があります。

コールセンターのマニュアルを運用するポイント

マニュアルは、完成したら終わりではありません。顧客が求めている課題を早急かつ丁寧に解決していくため、定期的に見直しや改善を行う必要があります。こちらでは、具体的な運用ポイントを3点ご紹介します。

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定期的な記載内容の見直し

自社で取り扱う商品やサービスがリニューアルしたり、新たに登場したりした場合、それらへの対応も必要になってきます。変化にスムーズに対応するためにも、マニュアルを定期的に見直し、漏れがないかを確認することが大切です。また、マニュアルが想定よりも効果を発揮しない場合や、オペレーターからマニュアルに関する指摘があった場合は、見直しや改善が必要になります。マニュアルは、完成したら終わりではなく、常に定期的な見直しや改善が必要だと捉えておきましょう。

現場の意見を反映した使いやすいレイアウト

マニュアルがあっても、使われていなければ意味がありません。見にくい・使いにくいマニュアルは、そのうち使われなくなってしまうかもしれません。作成する段階で「見やすさ」や「使いやすさ」に考慮し、意見を取り入れて改善するのがおすすめです。

レイアウトや見出しの付け方を工夫するのはもちろんのこと、「索引をつけて見やすくする」「検索機能を設ける」など、オペレーターにとって使いやすい機能を付けると、さらに使いやすくなります。探している情報にすぐにたどりつけるマニュアルは、オペレーターの処理能力向上にも役立つでしょう。

臨機応変な対応も認める

マニュアルには、基本的な情報や想定できるトークスクリプトを記載しますが、実際には想定できないケースが起こることもあります。トークスクリプトに沿って対応をすることが基本ですが、場合によっては臨機応変に対応することも必要です。オペレーターも、はじめは基本どおりに対応するのが精一杯でも、研修や経験を積むうちに、臨機応変な対応が身についていきます。想定できないケースに対応した後はチーム内で情報を共有し、記載内容の見直しの際に書き加えておきましょう。

まとめ

コールセンターでは、オペレーターごとの回答のばらつきを避けるためや、企業としてふさわしい対応をするために、マニュアル作成が欠かせません。今回は、マニュアルに記載する情報や内容の考え方をはじめ、運用方法のポイントについて解説しました。ご紹介したポイントを押さえつつ、自社ならではのマニュアルを作成する参考にしてください。


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