コールセンターの応対品質を向上させる6つの施策と取り組むステップ

コールセンターの応対品質は、顧客満足度や企業イメージを左右する重要な要素となります。
「オペレーターによって応対品質にばらつきがある」「研修を行っているけれど顧客満足度がなかなか上がらない」などの悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、コールセンターにおける応対品質の考え方や重要性、具体的な施策と取り組みのステップなどを分かりやすく解説します。
目次
コールセンターにおける「高い」応対品質とは

コールセンターの応対品質とは、オペレーターの応対に対する顧客の満足度を表します。応対品質が高いコールセンターでは、オペレーターが顧客の要望・課題に対して的確に応えられている状態といえます。
さらに理想的といえるのが、潜在的な課題・ニーズを抽出したり、気持ちに寄り添いながら解決策を提案したりして、“期待を上回る価値や感動”を提供できることです。
単に“問い合わせに応対する”だけでなく、一歩先を行くきめ細かな応対ができるようになると、顧客との良好な信頼関係の構築につながり企業価値の向上にも結びつくと考えられます。
コールセンターの応対品質の重要性

コールセンターでは、一般的に応対品質・接続品質・運営品質・処理品質といった4つの品質管理指標が着目されています。そのなかでも「応対品質」は顧客接点の核となることから、企業価値に直結する重要な指標になります。
顧客満足度を高める
オペレーターの応対品質は、顧客満足度に影響します。
顧客からの問い合わせに対して正確かつ迅速に対応することはもちろんのこと、丁寧で親切な対応を心がけることでよい印象を持ってもらえます。質の高い応対によって企業に対する信頼を向上させると、リピーターの増加や継続利用につながります。
生産性を高める
生産性の向上を目指すうえでも応対品質の管理は重要となります。
オペレーターが迅速に問題解決や案内を行えるようになると、通話時間が短縮されて一人当たりの処理件数を増やすことが可能です。また、的確な回答によって一次解決ができると、再問い合わせやクレームへの発展を防いで、業務効率を高められます。
同じリソースでより多くの問い合わせに対応できるようになるため、コールセンターの生産性向上とコスト削減につなげられます。
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企業のブランドイメージを高める
コールセンターの応対品質は、企業のブランドイメージの向上に貢献します。
オペレーターは、企業の顔としての役割を担っています。質の高い応対によってよりよい顧客体験を提供することで企業全体のブランドイメージも向上します。
また、顧客を通じて口コミやSNSで良い評判が発信される可能性もあるため、マーケティングの観点においてもコールセンターの応対品質を向上させることが重要と考えられます。
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コールセンターの応対品質を向上させる施策

コールセンターの応対品質を向上させるには、客観的な評価と継続的な改善活動が欠かせません。ここからは、効果が期待できる6つの施策について紹介します。
モニタリング
オペレーターの通話内容を録音して、モニタリング調査による分析・評価を行う施策です。
応対品質チェックシートやモニタリングシステムを用いて個々のオペレーターの応対を客観的に数値化(モニタリングスコア)することで、応対品質の評価と問題点の発見が可能になります。
オペレーター1人ひとりの応対品質を可視化して個々の強み・弱みをフィードバックすることによって、スキルアップの促進やコールセンター全体の応対品質の均一化を図れます。
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ミステリーコール
ミステリーコールとは、調査員が一般顧客を装って電話をかけ、オペレーターの応対品質を評価する覆面調査のことです。企業が設定した評価項目・基準に沿って応対品質をチェックできるため、公平性を確保できるほか、定性的な評価も可能になります。
▼ミステリーコールによる評価項目の例
- マニュアルを遵守しているか
- オープニング・クロージングが丁寧か
- 言葉遣いや声のトーンが適切か など
ミステリーコールは自社内で実施することもできますが、専門の調査会社に依頼することで第三者の視点から客観的な評価を得られます。
通話後のアンケート調査
通話の終了後に顧客に対してアンケートを実施する方法があります。オペレーターの応対に関する率直な意見や感想を得られるため、応対品質の向上に向けた具体策を検討できます。
また、満足度だけでなく「どのような点がよかったか・悪かったか」「今後どのように改善してほしいか」などのリアルな意見も収集でき、オペレーターの育成方針にも役立てられます。
ただし、回答率が低い場合は正確な評価ができなかったり、顧客によって評価基準にばらつきが生じたりするため、アンケートのみで応対品質を評価しないようにすることが重要です。
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データ分析
コールセンターの電話機や顧客管理システムなどのデータを集計して、定量的に応対品質を評価することが可能です。データ分析を通じて応対品質に影響する要因を把握することで、根拠に基づいた効果的な改善策を導き出せるようになります。
▼応対品質に関係するデータの例
- 通話時間
- 1時間・1日当たりの各オペレーターの応対件数
- 保留回数
- 一次解決率
- 時間帯別・曜日別・部門別のコール数 など
待ち時間が発生する日時や部門にオペレーターの数を増員したり、業務処理のスピードを高めるためのスキルアップ研修を実施したりして、応対品質の向上を図れます。
トークスクリプトの作成
トークスクリプトは、受け答えの仕方や会話のフローをまとめたマニュアルを指します。
よくある質問への回答例や問題解決までの案内手順などをトークスクリプトとして体系化することで、オペレーターが定められた基準に沿って応対ができるようになります。
これにより、オペレーターのスキル・経験の差による応対内容のばらつきを防いで、応対品質の均一化を図ることが可能です。また、手本となる応対方法を定めることで、スムーズなコミュニケーションが可能になり、通話時間の短縮につなげられます。
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診断サービスの利用
自社の応対品質をチェックするにあたっては、外部の事業者が提供するコールセンターの診断サービスを活用することも一つの方法です。
コールセンターの品質管理に関する専門的なノウハウにより、応対品質に関する適正な評価と課題の特定などが可能になり、効果的な改善策を見つける手助けとなります。
診断サービスによっては、診断結果に基づいて研修プログラムの作成やマニュアルの整備などをサポートしてくれるものもあります。
コールセンターの応対品質を向上させるステップ

コールセンターの応対品質向上に取り組む際は、具体的な評価項目と目標を設定したうえで、オペレーターへの研修やフィードバックすることが重要です。
ここからは、コールセンターの応対品質向上を目指すために、一般的に必要となるステップを紹介します。
①評価項目の設定
評価項目を設定して「どのような基準で“応対品質を高い”と判断するか」を明確にします。応対品質の評価項目には、以下が挙げられます。
▼評価項目の例
評価項目 | 評価する内容 |
---|---|
情報の正確性 | 商材や料金体系、手続き方法などを正しく案内できているか 専門用語は分かりやすく説明しているか など |
応対の迅速性 | 質問や要望に対してスムーズに回答できているか 保留回数が多くないか 通話時間・保留時間が長くなり過ぎていないか 保留時間に応じて折り返し連絡を提案しているか など |
顧客満足度 | 通話中の温度感が高くないか 通話終了前に感謝の言葉をいただけたか 応対内容に関する不満の声や指摘はないか など |
顧客との関係性 | 通話中に不明点の確認を行っているか 悩みや課題に対して寄り添う言葉をかけているか 問い合わせ内容に応じた声のトーンで話しているか など |
各評価項目においてどのような点をチェックするのか具体的な内容を定めておくことで、評価者による判断のばらつきを防げるほか、オペレーター自身の応対に関する意識の向上を図れます。
②各評価項目へのKPIの設定
設定した評価項目についてKPI(重要業績評価指標)を設定します。具体的な数値目標を設定することにより、一定の基準に基づいた定量的な評価が可能になります。
▼応対品質に関するKPIの種類
KPI | 概要 | 分かること |
---|---|---|
一次解決率 | 顧客の課題を最初の電話で解決できた割合 | 問題解決能力 |
CPH | オペレーター1人当たりが1時間に処理したコール数 | 業務の効率性、コールセンターの稼働効率 |
平均通話時間 |
顧客との通話にかかった平均時間 | 応対の迅速性 |
平均処理時間 |
通話時間から保留時間を除いた時間 | 業務遂行スキルのレベル |
平均後処理時間 (ACW) |
通話終了後の処理にかかった平均時間 | 業務遂行スキルのレベル |
平均応答速度 (ASA) |
顧客が電話をかけてからオペレーターにつながるまでの平均時間 | 待ち時間、オペレーターの充足状況 |
③応対品質のチェック
応対品質に関する評価項目に対して、KPIの達成度合いをチェックします。
通話内容のモニタリング調査や外部の診断サービス、アンケート結果の集計などを行い、設定した一定基準以上の応対品質を提供できているか確認します。
KPIの達成状況を踏まえて、応対品質に関する問題点やオペレーター1人ひとりの評価を可視化することで、改善を図るための具体策を検討できます。
④オペレーター研修の実施
応対品質の評価結果を踏まえて、オペレーターの研修を実施します。
オペレーターの実践スキルを強化したり、応対フローの標準化を図ったりすることにより、応対品質のばらつきを抑えてコールセンター全体の品質水準の底上げにつながります。
応対品質の評価が低いオペレーターに対しては、個別の指導や研修を行うことも検討します。
>>関連記事:コールセンターの研修とは? オペレーターのレベルに合わせた研修内容のご紹介
⑤管理者研修の実施
コールセンターや顧客応対の管理者に対する研修を実施します。管理者は、オペレーターのフォローや充足率の管理、スキルアップのサポートなどを行うことが求められます。
管理者向けの研修を実施することで、オペレーターによる意識の向上やスキルアップの促進、仕事のモチベーション向上などにつながり、応対品質にもよい影響がもたらされます。
▼管理者研修の例
研修項目 | 研修の内容 |
---|---|
管理者としてのあり方 | リーダーシップ、チームマネジメント、目標管理 |
コミュニケーションスキル | 効果的な指導方法、フィードバック技術 |
労務管理 | 勤怠管理、労働法規の理解、働きやすい環境づくり |
⑥定期的なモニタリングの実施
応対品質を向上させるための研修や指導に取り組みながら、1か月~数か月に1回ほどの頻度で定期的にモニタリングを実施します。
定期的にオペレーターの応対状況を確認して「一定基準の品質を維持できているか」「研修による効果を得られているか」などをチェックします。
モニタリング結果はオペレーターごとに記録・管理して、成長の状況を可視化できるようにすることがポイントです。また、コールセンター全体の傾向を分析することで、研修内容の見直しや業務改善のヒントを得ることが可能です。
⑦フィードバックと改善活動
高い応対品質を維持するには、定期的なモニタリングに加えて、オペレーターへのフィードバックと改善活動を継続的に行うことが欠かせません。
管理者による建設的なフィードバックを通じて、オペレーター1人ひとりの成長を促進します。単に問題点を指摘するだけでなく、オペレーターの意識向上とスキルアップを支援するアドバイスを提供することがポイントです。
▼フィードバックのポイント
- オペレーターの強みやよい点を評価する言葉をかける
- オペレーターの弱みや問題点の指摘は、具体的な解決策とともに提示する
- 定期的に面談を実施して、目標設定や行動計画の作成を行う
応対品質の向上は、短期間で実現できるものではありません。現状の評価から改善までのサイクルを確立して継続的に取り組むことが重要といえます。
コールセンターの応対品質を高める体制を早期に作るには

コールセンターの応対品質をすぐに向上させ、盤石な体制を構築することは容易ではありません。前述のステップを踏んで体制を整えるには、多くの時間と専門的なリソースが必要になるためです。
日本トータルテレマーケティング(NTM)では、こうした課題を早期に解決できるサービスと体制を整えています。具体的には、オペレーター研修、管理者研修、電話・テキスト応対の品質評価制度、社内表彰制度、資格支援制度など、多様な取り組みを通じて応対品質の向上を実現しています。
品質管理について課題を抱えている場合は、ぜひ下記よりダウンロードできる資料をご確認ください。
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まとめ

コールセンターの応対品質を向上させることは、顧客満足度や生産性の向上につながるほか、企業のブランドイメージにも好影響をもたらします。
評価項目・KPIの設定からスキルアップの研修、モニタリング、フィードバックといった一連のステップを踏み、継続的な改善サイクルを構築することがポイントとなります。
日本トータルテレマーケティング(NTM)では、多様な業種業態・商材に対応できるコンタクトセンターのBPOサービスを提供しております。現場経験のある講師と独自プログラムを用いたオペレーター研修も行っており、人材育成をサポートいたします。
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