物流倉庫の入荷管理を効率化するには!?よくある問題と解決のポイント
EC市場の急速な拡大によって物流の小口化・多頻度化が進むなか、EC物流倉庫における入荷管理はますます複雑化しています。
「人手が足りず入荷作業に時間がかかる」「入荷待ちによって欠品が起きる」「検品ミスで在庫数が合わない」などの課題に直面しているEC事業者様も多いのではないでしょうか。
EC物流倉庫を効率的に運営し、適正な在庫数を維持するためには、入荷管理のプロセスや体制を見直すことが重要です。
この記事では、入荷管理の重要性やEC物流倉庫で生じるよくある問題、解決を図るためのポイントについて解説します。
目次
入荷管理とは

入荷管理とは、仕入先から倉庫へ届いた商品を発注内容と照合して、在庫として登録・格納するまでの一連の業務を指します。EC物流の起点となるステップに当たるため、「入荷管理を適切に行えるか」が現場の作業効率や適正在庫の維持に影響します。
▼入荷管理の一般的なフロー
| フロー | 行うこと |
|---|---|
| 1.荷物の受け取り | 仕入先から倉庫に届いた荷物と納品書を受け取り、受領書を渡す |
| 2.商品の検品 | 届いた商品と発注書の内容と照合して、品番や数量などに間違いがないかチェックする |
| 3.商品の検査 | 外箱に破損がないか、品質不良がないか確認する |
| 4.入庫処理 | 検品・検査の完了後、システムまたは在庫管理表に入庫した商品の情報(ロット・期限情報など)を登録する |
| 5.格納 | 登録済みの在庫を倉庫内の決められた保管場所に運搬・格納する |
入荷管理と混同されやすい業務に「入庫管理」がありますが、対応する業務の範囲に違いがあります。入庫管理は、「検品済みの商品をシステムに登録して保管場所に格納する」といった限定的な業務を指します。
これに対して入荷管理は、「届いた商品の検品を経て在庫として登録するまで」のプロセス全体を指しており、より広域的な業務となっています。
なぜ入荷管理が重要なのか

入荷管理は、単に荷物を受け取るだけの作業ではありません。EC物流現場の効率性やサービス品質を維持・向上させるために重要な業務となります。
誤出荷を防ぐため
入荷した商品を間違った保管場所に格納すると、ピッキング時に商品の取り違いが発生して誤出荷につながってしまいます。商品の誤出荷が発生すると、顧客からのクレームや信頼の低下を招いたり、返品・交換対応によるコストの負担が増加したりします。
倉庫に届いた商品を検品して、品番・ロット番号などを正確に登録し、定められた保管場所に格納することで、出荷時の商品の取り違いを防止できます。
在庫数の差異をなくすため
入荷時に発注内容との突き合わせを徹底して、数量を正確にシステムに登録することで、倉庫内の実在庫数とシステム上の在庫データのずれ(在庫差異)をなくせます。
物流倉庫にある正確な在庫数を把握することにより、適切な数量とタイミングで発注ができるようになり、在庫の不足・過剰の防止につながります。欠品による販売機会の損失や過剰在庫による保管コストの増大を防ぐためにも、正確な入荷処理が求められます。
>>関連記事:ECビジネスにおける物流の重要性とは?特徴と課題について解説!
EC物流の入荷管理によくある問題

EC物流倉庫では、多岐にわたる商品を取り扱います。手作業や紙ベースで入荷管理を行っている現場では、業務が煩雑化して以下のような問題が生じやすくなります。
検品や格納作業でヒューマンエラーが発生する
従業員による目視や紙の管理表を使用して検品を行っている場合には、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。
検品時に数量・品番を誤って登録してしまうと、その後の出荷作業や仕入発注などのプロセスに影響を及ぼしてしまいます。違う保管場所に商品を格納したり、実在庫とシステム上のデータに差異が生じたりすることは、誤出荷や欠品を招く原因になります。
在庫の棚卸に関する業務負担が大きい
在庫の棚卸に関する業務負担が大きいことも問題の一つに挙げられます。
紙の帳簿や表計算ソフトなどで在庫管理を行っている場合には、従業員が倉庫内を歩き回りながら、一つひとつの商品を目視で確認して記録する必要があります。
EC物流倉庫の規模が大きくなるほど、在庫の棚卸に時間・労力がかかり、従業員の業務負担が増加してしまいます。また、目視・手作業による棚卸は、数量の数え間違いや記入ミスなどのヒューマンエラーが発生するリスクも高まります。
管理プロセスが属人化する
入荷管理の業務フローが標準化されておらず、管理プロセスが特定の従業員に依存してしまう「属人化」が起こる場合があります。
▼属人化している入荷管理の例
- 検品・格納・在庫管理の手順が統一されていない
- 各従業員のスキルが異なり、業務の精度・スピードにばらつきがある など
入荷管理のフローが属人化してしまうと、担当者がいないときに入荷作業が停滞するリスクがあります。また、効率的な人員配置ができず、特定のプロセスや繁忙期などに倉庫内のリソースが不足してしまう原因にもなります。
入荷管理の問題を解決するための3つのポイント

EC物流倉庫での入荷管理の問題を解決するためには、手作業や紙ベースで対応していた業務体制をデジタル化・標準化・自動化することがポイントです。
>>関連記事:物流業務効率化のメリットとは?課題解決に向けた方法や事例
➀データを共有する仕組みを整える
入荷管理で扱う情報をデータとして共有できる仕組みを整備します。
紙の帳票をデジタル化して、複数のシステムを連携させデータを一元化することによって、入荷状況や在庫情報をリアルタイムに共有できるようになります。
これにより、手作業での転記やシステムをまたぐ二重入力によるヒューマンエラーを防ぎ、商品の登録間違いや在庫差異などが発生しにくくなります。
②作業プロセスを標準化する
入荷管理の業務が属人化している現場では、作業プロセスの標準化が欠かせません。
経験やスキルにかかわらず、誰でも同じ手順で作業ができるようにすることで、入荷管理の業務品質が均一化されます。これにより、検品・格納作業の効率化とヒューマンエラーの防止につながります。
③自動化によって手作業を減らす
人が介在する作業では、ヒューマンエラーの発生を防ぐことが難しくなります。特に、EC物流のように多品種の商品を扱う現場では、見間違い・入力間違い・確認漏れなどが発生する可能性が高くなります。
検品や格納作業を正確に行うためには、システムやロボットの活用によって一部の作業を自動化することが有効です。これにより、ヒューマンエラーの発生を抑えられるほか、作業時間の短縮にもつながります。
入荷管理を効率化する具体的な方法

EC物流倉庫の入荷管理を効率化するには、従業員の業務体制や倉庫内の物理的な環境を見直すとともに、システムを導入することが重要です。
ここからは、具体的な方法について紹介します。
入荷業務のマニュアルを整備する
業務品質を均一化するために、入荷作業に関するマニュアルを整備します。
マニュアルを整備して作業プロセスの標準化を図ることにより、ヒューマンエラーの発生率を抑えたり、属人化を解消したりする効果が期待できます。
▼入荷業務マニュアルに記載する内容の具体例
- 入荷予定情報(商品・入荷日・仕入先)の確認方法
- 荷下ろしや受け入れ場所の指定ルール
- 検品時にチェックする項目(品番・数量・ロット番号・破損の有無)
- システムへの入庫登録の手順
- 破損や過不足が発生した場合の報告・処理手順
- 格納先への運搬・格納ルール など
倉庫のロケーションを見直す
倉庫のロケーションを出荷頻度や商品の特性に応じて見直す方法があります。
「どの商品をどの棚に格納するのか」を一目でわかるようにすることで、入荷した商品の格納先を間違えるといったヒューマンエラーを防げます。
また、出荷頻度の高い商品をピッキングしやすい場所に配置すると、在庫の棚卸作業や出荷時のピッキング時間が大幅に短縮され、物流プロセス全体の効率化を図れます。
▼倉庫のロケーションを見直す際のポイント
- ゾーン・通路・列・棚などに番号を付与して格納場所を明確にする
- 入荷エリア・格納場所・ピッキングエリアへの動線を最適化する
- 重量物や割れ物、期限管理が必要な商品など特性に合わせた専用棚を確保する
バーコードやRFIDタグを導入する
検品時の入荷処理や在庫登録の作業をデジタル化する方法に、バーコードやRFIDタグの導入が挙げられます。これらを導入すると、入荷伝票と入荷リストを目視でチェックすることなく、スキャナーで読み取って入荷情報を自動で照合できるようになります。
▼バーコードやRFIDタグを使用した検品の仕組み
| バーコード | RFIDタグ | |
|---|---|---|
| 仕組み | 一次元または二次元バーコードを手動でスキャンして商品情報を読み取る | 無線通信を用いて非接触で商品情報を読み取る |
| 読み取り方法 | 商品一点ずつスキャンが必要 | 箱を開けずに複数個を一括で読み取れる |
| 活用方法 | ハンディターミナルでスキャンしてシステム上との自動照合を行う | コンテナ単位の一括入荷検品や入出荷ゲートでの通過検品を行う |
目視で行っていた入荷情報の照合プロセスを自動化することで、検品作業の効率化やヒューマンエラー防止が期待できます。
倉庫管理システム(WMS)を導入する
EC物流倉庫全体の効率化を図るために有効なのが、倉庫管理システム(WMS)です。
倉庫管理システム(WMS)は、入荷から出荷までの一連の業務プロセスを一元管理できるシステムです。入荷した商品のデータがリアルタイムで一元化され、各部門や担当者間で正確な情報共有が可能になります。
これにより、検品後の入荷処理や在庫の棚卸作業などの効率化が期待されます。
▼倉庫管理システム(WMS)の導入によってできること
- バーコードやRFIDタグと連携した入荷検品
- 検品完了後の自動での入荷処理・在庫登録
- 入出庫履歴に基づくリアルタイムでの在庫状況の確認
- 在庫保管場所の管理やピッキングリストの自動作成 など
>>関連記事:倉庫管理・在庫管理の内容や効率化・システム化についてわかりやすく解説
物流アウトソーシングの活用も有効

「入荷作業や在庫管理の改善に取り組む余裕がない」「誤出荷や欠品が頻繁に発生しており、早期に問題解決を図りたい」などの課題を持つ方は、物流アウトソーシング(EC物流代行)を活用することも有効です。
物流代行事業者に依頼することで、システムや自動化技術、標準化された作業品質を取り入れた高効率・高品質のEC物流の運営を実現できます。入荷から在庫管理、出荷、返品対応まで一貫して任せられる「フルフィルメントサービス」を利用すれば、自社のリソースを販促施策やマーケティングなどのコア業務に投入できます。
日本トータルテレマーケティング(NTM)では、EC物流現場のバックヤード業務をワンストップで代行するサービス『スゴロジ』を提供しています。コンタクトセンターと一体化した運営体制により、商品の注文受付から配送までワンストップのフルフィルメントサービスを実現しています。
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まとめ

EC物流倉庫の入荷管理は、現場の効率性や物流品質に影響を与える重要なプロセスです。
ヒューマンエラーや在庫差異、属人化などの問題を解決するためには、紙ベースや目視で行っていた入荷業務のデジタル化・自動化を図り、データ共有や標準化の仕組みを整備することがポイントです。
また、入荷管理や物流全体の効率化に課題をお持ちの方は、物流アウトソーシングの活用も選択肢の一つとして検討いただいてはいかがでしょうか。
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