物流の2030年問題とは?現状/対策を現場担当者に聞いてみた
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング1](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング1.jpg)
目次
- 物流の2030年問題は2024年問題よりもさらに深刻
- 物流現場の今。起きている現状・その原因
- ドライバーの人手不足も加速。物流業の倒産も相次ぐ
- 値上げ待ったなし。人件費・燃料価格高騰や下請け構造
- 政府で実施・推進している対策
- ゆとり配送指定で購入者にポイントを付与
- 鉄道や船便の輸送量を10年で倍増
- トラックGメン調査員の強化。監視体制・行政処分も
- 2030年問題を含めた今後の見通し。需要は高まるも前途多難
- 再配達有料化には厳しい現状
- 労働力確保|外国人実習生制度が育成就労制度へ
- ロボット・ドローンなど完全無人化には時間がかかる見込み
- 物流もDX。人だけでなく機械で効率化
-
【当社事例】配送業務の効率化で成功した事例
- 【化粧品ECサイト】DXで配送遅延を解消した事例
- 【食品ECサイト】在庫管理を改善した事例
- 【アイドルグッズ特設サイト】HP・物流機能を1か月で立ち上げ・連携
- 当社は最新技術でEC・販売業者の輸送コスト削減に努めます
物流の2030年問題は2024年問題よりもさらに深刻
「物流の2024年問題」とは、今まで猶予されていたトラックドライバーの時間外労働の罰則規定が、2024年4月から開始となり960時間に制限されることを受けて、輸送労力が不足してモノを運べなくなると懸念されている問題です。
多くのトラックドライバーは、これまで仕事の時間を伸ばし伸ばしで稼いできました。
しかし法令改正を受けて、今まで1か月200時間の残業をしていたのが80時間に制限され、足で稼げなくなりました。
規定に違反した事業者は、車両停止をはじめとする行政処分を受けます。このことは事業者・ドライバー、どちらにとっても深刻な問題です。
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング2](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング2.jpg)
出典:みずほ銀行「みずほ産業調査 Vol. 70」
2024年問題は、法改正に伴う残業時間の規定が発端ですが、今後訪れるとされる「物流の2030年問題」は、少子高齢化に起因すると考えられます。
上記のグラフからも分わかるように、ECの普及により宅配便の個数は増大が見込まれているのに対して、トラック供給は2030年以降、減少すると予想されます。
現場担当者によると、近年トラックドライバーは高齢化が進んでおり、実際の現場でも70代のドライバーを多数見かけるとのこと。
2030年には高齢化によって、現在働いているドライバーの3割が働けなくなると予想されますが、その一方で、若手ドライバーはあまり増えていないのが現状です。
出典:ボストンコンサルティンググループ「日本の物流トラックドライバーの労働力は 2027 年に需要分の 25%が不足 96 万人分の労働力需要に対し…」
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング3](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング3.jpg)
物流現場の今。起きている現状・その原因
ここからは、2024年問題や2030年問題の影響を受けて、物流現場で起きている現状と、その原因を解説します。
ドライバーの人手不足も加速。物流業の倒産も相次ぐ
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング4](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング4.jpg)
出典:帝国データバンク「人手不足倒産、急増止まらず 年度上半期の過去最多を更新」
運送業界では、ドライバーの不足による倒産が増加しています。
上記のグラフは、帝国データバンクの調査をまとめたものです。
当調査によると、従業員の退職・採用難・人件費高騰などを原因とする「人手不足倒産」は、2024年度の上半期だけで163件にのぼり、上半期としては過去最多を上回りました。
人手不足倒産の件数を業種別に見ると、2024年問題の対象となる建設業・物流業が全体の半数近くに及びます。なかでも従業員10人未満の企業が大きな影響を受けています。
影響を受けたのは小規模企業だけではありません。ヤマト運輸は2024年4月から9月期の決算で、営業損益が150億円の赤字となったと発表しました。
運送業者は営業が得意ではない傾向があり、そうした面も影響していると考えられます。
値上げ待ったなし。人件費・燃料価格高騰や下請け構造
人件費や燃料価格の高騰が影響し、料金の値上げも起こっている状況です。
日本郵便は2024年10月、郵便サービスの安定的な提供を維持するために、郵便料金を一斉に値上げしました。値上げ幅は最大で30%超です。
物流現場の所感によると、関西から埼玉への配送料が休憩のためのツーオペでこれまで1本8万円だったのが、9万~9万5千円に上がっています。急な発注でドライバーが見つからない場合には、九州⇔東京間での輸送、50万払ってでも発注したいという事例がありました。
また、トラック運送業界では、相当な数の中抜き商売が見られます。荷主が発注した配送がいくつもの下請けを経て、現場のドライバーに辿りつくまでに配送料の7割が中抜きされていることも珍しくありません。
このような多重下請け構造は、ドライバーの労働条件や配送の品質を低下させるため、問題視されています。
政府で実施・推進している対策
物流現場で起きている問題を解消するため、政府はさまざまな対策を講じています。2023年10月に発表された「物流革新緊急パッケージ」をもとに、政府が推進している施策を紹介しましょう。
出典:
内閣官房「物流革新緊急パッケージ」
国土交通省「物流革新に向けた政策パッケージ」の取組状況について」
ゆとり配送指定で購入者にポイントを付与
政府が推進するゆとり配送は、荷主や消費者の行動変容を促す施策です。
ECサイトで商品を購入する際に、急いで受けとる必要がない荷物はゆとりのある配送を選択し、代わりにポイント還元を受ける制度です。
たとえば、Yahoo!ショッピングでは、置き配指定でPayPayポイントがもらえる期間限定サービスがありました。
また楽天ブックスでは、日本郵便の「ゆうメール」での配達を選択すると、楽天ポイントがもらえるサービスを実施しています。
ゆとり配送のサービスは、一部のECサイトで実施されてきましたが、2024年11月時点ではあまり広まっていない状況です。
一方で大手モールでは、近年の物流問題に逆行するかのように、翌日配送できる体制を強化してきました。北海道や沖縄でも翌日配送ができるようになり、ゆとり配達推進の逆をいくような戦略を進めています。
鉄道や船便の輸送量を10年で倍増
政府は「物流革新に向けた政策パッケージ」において、トラック長距離輸送から鉄道や船舶への移行も推進しています。「鉄道のコンテナ貨物やフェリーなどによる輸送量を、今後10年で倍増させる」という目的のもと、大型コンテナやシャーシの導入を支援しています。
JRのコンテナやフェリーは、まだまだ活用の余地のある輸送手段です。
「早く荷物が欲しい」「早く荷物を届けたい」とのニーズに応えるために「使えるものは使いましょう」と推進する施策は、今後も継続すると見られます。
トラックGメン調査員の強化。監視体制・行政処分も
物流業界の「商慣行の見直し」も進められています。全国に「トラックGメン」を設置し、貨物自動車運送事業法に反する行為に対して働きかけや要請をしてきました。また、監視体制を強化するために「Gメン調査員」も設置しています。
実際、残業時間規制による摘発や行政処分もありました。これまでに見られた主な違反原因行為は次のとおりです。
・長時間の荷待ち
・契約にない附帯業務
・運賃・料金の不当な据置き
・無理な運送依頼
2030年問題を含めた今後の見通し。需要は高まるも前途多難
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング5](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング5.jpg)
日本の物流業界のこれからの見通しは、需要は高まるものの先行きは怪しく、状況が良くなることはないと考えられます。
2030年問題の根本にある、日本の人口減少を食い止めることは容易ではありません。
ここでは、2030年問題を含めた物流業界の今後について見ていきましょう。
再配達有料化には厳しい現状
宅配業においては、再配達による業務の増大が問題とされています。年末の繁忙期には、配送遅延がたびたび起きています。
その対策として再配達の有料化が考えられますが、宅配業の各社がけん制し合っており、実現は厳しい状況です。
海外の宅配業界に目を向けると、配達日時を指定することが多く、再配達は有料なのが当たり前です。また、荷物の破損があれば、ECサイト側の問題とされます。
一方、日本では再配達は無料ではありますが、いつまでも無料を続けるのは無理があるでしょう。いずれ有料化の方向に進むものと見られます。
再配達を減らすもう1つの施策とされるのが、置き配の促進です。いつでも配達できるのが利点ですが、置き配が増えることで土日や夜間の配達が急増するリスクもあります。
労働力確保|外国人実習生制度が育成就労制度へ
これまで続けられていた「外国人実習生制度」は、今後の法改正によって発展的に解消され、代わって「育成就労制度」が施行される予定です。
従来の制度では、国際協力の観点から実施されてきましたが、人手不足を補う側面が大きくなってきているためです。
育成就労制度は純粋に労働力を確保することを狙いとしています。
施行されれば、外国人が運転免許を取得して運送業界で働けるようになると期待されており、物流の2030年問題の対策につながるのではないかと考えられます。
ロボット・ドローンなど完全無人化には時間がかかる見込み
人手不足解消に向け、配送業務にロボットやドローンを導入する試みも進められています。
ただ、一部実証実験はあるものの、浸透には相当な年数がかかるだろうと考えるのが現場の意見です。
自動運転トラックについては、人が運転するトラックを無人のトラックがついていく追従型の実験が続けられていますが、日本の風土や安全志向の国民性が影響し、完全自動化には程遠い状況です。
ドローン配送は、航空圏の土地確保が問題として挙げられます。一部配送会社が3〜4年前に実施し、今でも実証実験は進められていますが、万が一住宅街に落下することがあれば、大きな事故になるでしょう。都市部での自動配達は、どちらかといえば空よりも地上を進むシステムに期待が寄せられています。
物流もDX。人だけでなく機械で効率化
近年さまざまな分野でDXが推進されていますが、物流も同様で、DXは2030年問題を解決する鍵ともいわれています。
物流には人の手による作業が必要ですが、今後は機械による効率化が重要となるでしょう。商品・納品書・配達伝票などの個人情報に関わる照合をデジタルラインで管理して、作業の標準化・省人化を行い、ミスが起きるリスクを最大限に回避することが可能です。
【当社事例】配送業務の効率化で成功した事例
配送業務を効率化することによって、出荷件数の増加や物流機能の早期構築など、さまざまなメリットがあります。当社の導入実績をご紹介しましょう。
【化粧品ECサイト】DXで配送遅延を解消した事例
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング6](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング6.jpg)
上記は、化粧品ECサイトにおける例です。
DX化によって配送遅延を解消したことで、在庫量は400坪から1,000坪に増え、出荷件数は導入前の30,000件から140,000件へと増加しました。
当社のサービスを導入してから1年後に、約4.5倍もの伸び率が実現しました。
【食品ECサイト】在庫管理を改善した事例
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング7](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング7.jpg)
上記は食品ECサイトにおける業務改善の例です。
当社のサービスを導入して在庫管理を改善した結果、在庫量は200坪から100坪となり、在庫スペースを半分に圧縮することに成功しました。
一方で、出荷件数は1,500件から3,000件へと倍増しました。
【アイドルグッズ特設サイト】HP・物流機能を1か月で立ち上げ・連携
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング8](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング8.png)
大手芸能事務所における、新しいアイドルグループのファンクラブサイトやグッズ販売サイトの、制作・運営事例です。
活用したのはコールセンターサービスとフルフィルメントサービスです。問い合わせをいただいてからわずか1か月でファンクラブサイトやECサイトの構築を実現し、注文が殺到する時期は人員を増やして、停滞やミスもなく対応を完了させました。
お客さまからは、丁寧な対応によって不安なく運用開始を迎えられたとのお言葉をいただいております。
>>当社事例:ファンクラブサイト立ち上げと物流倉庫との連携を準備期間1ヶ月で実現
![2030年問題 物流 _日本トータルテレマーケティング9](https://www.ntm.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/2030年問題-物流 _日本トータルテレマーケティング9.jpg)
当社は最新技術でEC・販売業者の輸送コスト削減に努めます
EC化の波が止まらない中、物流業界の需要は今後も高まることが予想されます。しかし、物流にかかるコストはひっ迫する一方です。
物流業界の行く末は厳しく、状況は悪化するばかりのように思われますが、そのような中にあっても当社では機械化・DX化を進め、作業を効率化する努力を惜しみません。
仮にこの先、配送料金の値上げがあっても、クライアント様への請求金額が上がらないように努めます。
ボリュームディスカウントもありますので、導入を検討される際はぜひご相談ください。