ECサイトの経費削減方法とは?かかる経費や具体的な削減方法を解説
ECサイトの運営において、経費の削減は重要な課題です。
「経費がどうしても膨らんでしまう」「売上は増えているはずなのに、なかなか利益が増えない」と頭を悩ませている経営者や担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事ではECサイト運営におけるさまざまな経費を項目ごとに解説し、効率的に費用を削減する具体的な方法をご紹介します。
目次
ECサイトにおける経費削減の考え方

ECサイトの経費削減では、単純に支出をカットするのではなく、投資対効果を重視した戦略的なアプローチが求められます。不必要な費用を削減しつつ、投資すべき部分にはしっかりと資金を投じるバランス感覚が欠かせません。
例えば、顧客満足度を向上のためのサービスや、サイトのアクセス数を増やすためのマーケティング費用などは、安易に削減すべきではありません。
現状の支出内容を正確に把握したうえで、各項目の必要性と効果を客観的に評価しながら長期的な視点で経費削減に取り組むことが重要です。
ECサイト運営における主な経費

ECサイトを運営する際には、さまざまな経費が発生します。運営全体にかかる費用の構造を正しく理解することで、効果的な削減ポイントを見つけられます。
サイト運営費用
サイトの運営費用は、ECサイトの運営において欠かせない経費です。
サイト運営費用の主な項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ホスティング費用 | サイトを公開するためのサーバーレンタル費用 |
| システム開発・保守費用 | サイトの機能追加やバグ修正などにかかる費用 |
| セキュリティ対策費用 | サイトの安全性を保つための対策費用 |
| ドメイン使用料 | サイトのURLにかかる使用料 |
| 決済手数料 | クレジットカードをはじめとする決済方法に対する手数料 |
決済代行サービスを利用して複数の決済方法に一括で対応する場合、そのサービス費用も必要です。
>>関連記事:ECサイトは運営代行がおすすめ!メリットや選び方も解説
商品調達・管理費用
販売商品の仕入れから保管までにかかる費用で、事業規模に応じて大きく変動する項目です。
商品調達・管理費用の主な項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品原価 | メーカーや卸売業者からの仕入れ価格 |
| 輸送費 | 仕入れ先から自社倉庫への配送料 |
| 関税・税金 | 海外仕入れ時の関税や輸入消費税 |
| 倉庫保管料 | 商品保管にかかる賃料や管理費 |
ECサイト運営における経費を検討するとき、在庫管理は特に重要な要素です。過剰在庫は保管費用の増加を招き、反対に在庫不足は機会損失につながります。
適切な在庫水準を維持するために、売上データに即した管理体制の構築が求められます。
物流・配送費用
ECサイトの物流・配送費用は、保管している商品を顧客の手元に届けるまでにかかる費用を指します。
エネルギー価格の上昇やドライバー不足などの影響で、送料の高騰が深刻な課題となっています。
物流・配送費用を抑えるには、複数の物流業者と契約し商品の特性や配送エリアに合わせて最適な業者を選ぶことがポイントです。また、配送のタイミングや梱包方法を工夫して効率化を図ることも求められます。
物流アウトソーシングの検討や配送業者との料金交渉により、経費削減が見込めます。
>>関連記事:これで安心!EC物流代行サービスの選び方と注意点、メリット・デメリットを詳しく解説!
人件費
人件費には、自社スタッフの給与や福利厚生費、外部人材への報酬など、人に関わるすべての費用が該当します。
経費削減のために人件費を抑える際は、それによって人手不足を招かないようにすることが重要です。人手不足は顧客対応の質低下やクレーム増加の原因となり、顧客離れにつながります。
人件費を削りたい場合、システムによる業務の自動化や専門業務のアウトソーシングなど、労働力を補う施策とセットで考える必要があります。
広告・マーケティング費用
広告・マーケティング費用とは、商品の販売促進やブランド認知度向上のための投資費用です。効果的な運用ができていない場合、継続して不要な支払いが発生する可能性もあります。
広告・マーケティング費用の例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Web広告費用 | リスティング(検索連動型)広告やディスプレイ(バナー)広告、動画広告、SNS広告などのオンライン広告費 |
| コンテンツ制作費用 | LP、ブログ記事、動画、SNS投稿などの制作費 |
| プロモーション費用 | キャンペーンやアフィリエイトなどの費用 |
| 分析ツール費用 | アクセス解析や効果測定ツールの利用料 |
広告・マーケティングにおける無駄を避けるためには、ターゲティングの精度向上と効果測定に即した継続的な改善が必要です。また、広告媒体の種類や配信手法の見直しも、経費削減につながる可能性があります。
ECサイト運営の経費を見直すタイミングとは

「売上はあるのに利益が少ない」「サイトリニューアルの必要性がある」などの課題を感じたときが、ECサイト運営の経費を見直すタイミングです。
日々の業務に追われるなかで見過ごしやすい不要な費用を洗い出すことで、利益率の向上につながります。
また、ECサイトの構築やリニューアルに活用できる国の補助金制度が発表されるタイミングも、経費削減に取り組むチャンスといえます。
こうした機会を活用して定期的に経費を見直すことは、持続的な事業成長に不可欠です。
ECサイトの経費削減方法

ここからは、ECサイトで実践できる具体的な経費削減の方法を紹介します。それぞれを検討し、自社の状況に適した方法を選定することが重要です。
プラットフォームを見直す
ECサイトで利用しているプラットフォームの見直しは、経費削減のために取り組みやすい施策の一つといえます。
販売手数料の高いプラットフォームを利用している場合は、手数料のかからないものへの乗り換えを検討することが有効です。自社ECサイトを構築したり、固定費型のECプラットフォームを活用することで、長期的な経費削減につながります。
ECプラットフォームやプランを選ぶ際は、使わない機能のために費用を払っていないか、自社に本当に必要な機能かを慎重に検討することがポイントです。
決済手数料を見直す
決済手数料の見直しは、ECサイトの経費削減に有効な手法です。
決済手数料の見直し例
- 費用対効果の低い決済手段を見直す
- 各決済サービスへの契約方法を見直す など
決済手数料率が高く利用頻度の低い決済手段を洗い出して対応を取りやめることで、無駄な費用を抑えられます。また、現在複数の決済サービスを個別契約している場合や、競合他社と比較して手数料率が高い決済プラットフォームを利用している場合も見直しが必要です。
決済手数料は売上に直結するため、わずかな利率改善でも年間では大きな差額が生じます。
配送・物流経費を見直す
配送費用はEC運営において避けられない費用ですが、工夫次第で削減が可能です。
配送・物流経費の見直し例
- 契約する運送事業者を見直す
- 運送事業者との料金交渉を行う
- 配送エリアを最適化する
- 包括的な物流アウトソーシングを導入する など
複数の運送事業者と契約している場合は、料金体系を比較検討し最適な業者を選択することが考えられます。
既存の事業者との料金交渉も重要な取り組みです。事業者によっては、月間一定数量の配送を約束することで割引を受けられる可能性があります。また、配送エリアの最適化により費用を削減する方法もあります。
倉庫管理から配送、アフターサービスまでを包括的に担う物流アウトソーシングの導入も、トータルでの経費削減につながる有効な選択肢です。
>>関連記事:EC物流の動向と、業界を取り巻く課題・解決方法について
自社コンテンツを運用する
自社でコンテンツを運用してECサイトの宣伝を行うことで、広告費用を削減できる可能性があります。
ECサイトの集客は、一般的にWeb広告やSNS広告など外部サービスへの依存度が高いとされています。一方で、広告費用は年々上昇しており、経費を圧迫する要因の1つです。
そこで、自社でブログやSNSアカウントなどを運用し、コンテンツを定期的に配信する方法が考えられます。自社コンテンツを立ち上げることで、広告費をかけずに集客やブランドの認知度向上を図ることが可能です。
特にSNSは運用次第で高い費用対効果が見込め、新たな顧客層の獲得につながると期待できます。
>>関連記事:ECサイトの認知度を高めるには?効果と手法を解説
在庫管理システムを導入する
在庫管理システムの導入により、過剰在庫による保管費用の増加や品切れによる機会損失を防げます。
また、データに基づく作業効率化と一元管理を在庫管理システムで行えば、適正在庫の維持だけでなくスタッフの作業負担も軽減されます。
初期投資が必要なものの、長期的な視点では大幅な経費削減が見込めます。
人の手による作業を減らす
システムを導入して人の手による作業を減らすことで、人件費を削減できます。
また、手作業によるミスは避けられません。例えば、注文処理ミスや顧客対応の不備は、重大なクレームや顧客離れにつながる可能性があります。
注文管理システムやカスタマーサポート用チャットボットの導入により、これらのリスクの軽減が可能です。自動応答機能付きのチャットシステムなら24時間対応も可能となり、顧客満足度を高めながら、人件費の削減も期待できます。
ECサイトでは顧客対応にかかる時間と費用が大きな負担となりやすいため、人の手でなくシステムで対応することが特に有効です。
ECサイトに関する業務をアウトソーシングする
ECサイトの運営に関わる業務の一部を専門の会社にアウトソーシングすることは、経費削減につながる手段です。
ECサイトの制作や更新、集客のためのマーケティング、さらには企画などの業務を外部の専門家に任せることで、業務品質を一定に保ちながら人件費を削減できます。
専門家は最新の知識とノウハウを持っているため、より効率的かつ効果的に業務を進めてもらえるメリットもあります。
ECサイトの経費削減を検討する際の注意点

経費削減を進める際には、適切なバランス感覚が必要です。過度な削減や短期的な視点での判断は、かえって長期的な費用増加を招くおそれがあります。
過度な経費削減はしない
経費削減を急ぐあまり、事業の根幹部分に関わる費用の負担を惜しむとECサイトの運営が立ち行かなくなるリスクがあります。
過度の経費削減は、従業員のモチベーション低下や商品・サービスの品質低下を招くことがあります。例えば、在庫管理システムへの投資を怠り手作業に頼り続けると、業務効率が悪化し、人的ミスによる機会損失も増えてしまう可能性が考えられます。
削減できる部分を慎重に見極め、事業全体のバランスを保つことが大切です。
品質とのバランスを保つ
経費削減を進める際は、顧客満足度や商品・サービスの品質を犠牲にしないことが重要です。
例えば、梱包材の費用を削って簡素化しすぎると、輸送中に商品が破損するリスクが高まり、返品対応や顧客離れによる売上減少などのリスクが生じます。また、人員を削減しすぎて顧客対応の質が低下した場合、自社のイメージに悪影響をおよぼす可能性があります。
EC事業の長期的な成長のためには、品質を維持しながら費用を削減することが欠かせません。
物価上昇を理解する
現在の経済情勢では、物価上昇に伴う費用増はある程度避けられません。
物流業界をはじめとする各企業は値上げ幅を最小限に抑える努力を続けていますが、人件費と燃料費の増大に起因する値上げは受け入れざるを得ない状況です。また、優秀な人材を確保し続けるためには、適正な給与水準の維持が欠かせません。
経費の数字だけを見るのではなく、物価上昇を踏まえたうえで無理のない施策を講じる必要があります。
まとめ

ECサイトの経費削減では、単に経費を削減するのではなく、広告費や物流費、人件費など多岐にわたる費用を正しく把握し、バランスよく見直すことが成功のカギです。しかし、多様な経費を客観的に管理・改善するのは時間も知識も必要です。
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