カスタマーサポートの自動化とは|導入のメリットや方法を解説
ECサイトの運営において、お客様からの問い合わせに対応するカスタマーサポートは欠かせない業務です。一方で、問い合わせの増加や人手不足等の要因でカスタマーサポートの業務負担が大きくなってしまうケースも見られます。
そこで注目されているのが、カスタマーサポートの自動化です。
この記事では、業務効率化と顧客満足度向上を同時に実現できるカスタマーサポートの自動化について、メリットや具体的な方法を解説します。
目次
カスタマーサポートの自動化とは

カスタマーサポートの自動化とは、ITシステムやAI技術を活用して顧客対応業務を効率化することです。
例えば、従来は人手に頼っていた問い合わせ対応や顧客情報の管理をチャットボットやFAQシステムなどのツールで代替する方法が考えられます。これにより、24時間365日の迅速な対応が可能になり、人件費削減と顧客満足度向上を同時に図ることが可能です。
ECサイトでは注文状況の確認や返品手続きなど定型的な問い合わせが多いため、特に自動化による効率化が期待しやすいといえます。
カスタマーサポートの主な自動化の手段

カスタマーサポートの自動化には、さまざまな手段があります。
チャットボットやFAQシステムなどのデジタルツールの活用からアウトソーシングによる外部リソースの利用まで、企業や運営者の状況に合った手段を選定することが重要です。
チャットボット
チャットボットとは、顧客からの問い合わせにチャット形式で自動回答するシステムです。
テキストで会話するチャットボットなら電車内などの発話困難な状況でも利用でき、音声認識エラーも発生しません。また、24時間365日自動での対応が実現します。
よくある質問や基本的な手続きはチャットボットに任せ、複雑な問い合わせのみオペレーターに引き継ぐ仕組みにすることで、人的リソースの最適化が図れます。また、問い合わせ内容をデータとして蓄積・分析できる点もメリットです。
>>関連記事:チャットボットの導入にかかる費用を徹底解説|AIとの違いも
FAQの作成
FAQシステムを導入すると、よくある質問と回答を整理・蓄積し、顧客が自己解決できる環境を提供できます。システムによっては質問や評価される回答の傾向を分析し、継続的にコンテンツを改善することも可能です。
適切に構築されたFAQによって、顧客は「返品方法を知りたい」「商品が届くのに何日かかるのか」など定型的な質問への回答をその場で得られます。これにより、コールセンターやサポート窓口への問い合わせ件数の減少が期待できます。
>>当社事例:預金者本人確認作業に関わるマルチ対応(FAQ準備/入電/メール/チャット/書類確認)をワンストップで支援
自動音声応答システム
自動音声応答システム(IVR)は、事前に録音した音声を自動再生し顧客のプッシュ操作により適切な窓口へ誘導するシステムです。
「商品に関するお問い合わせは1番を押してください」のような案内を通すことで、専門性の高い担当者へ効率的に振り分けられます。
これにより、オペレーターが専門外の質問に時間を取られることがなくなり、業務負担の軽減と応対品質の向上が同時に実現します。特に電話対応の多いECサイトで有効な手段です。
>>関連記事:IVRの基礎知識~コールセンター現場の問題解決につながる!?~
アウトソーシング
カスタマーサポートのアウトソーシングは、自社リソースを使わずに専門業者に業務を委託する手法です。
広義の自動化として位置づけられ、時間や手間をかけずに経験豊富なスタッフによる高品質な対応を実現できます。自社社員は本来の業務に専念できるため、生産性の向上につながります。
キャンペーン期間中や営業時間外のみなど部分的な活用も可能で、柔軟な運用体制を構築できる点が魅力です。
自動化が可能なカスタマーサポート業務

ECサイトにおけるカスタマーサポート業務の中でも、特に自動化効果の高い業務があります。定型的な作業や繰り返し発生する問い合わせは、システムの採用により効率化が可能です。
キャンセル・返品対応
注文のキャンセルや商品の返品手続きは、自動化に適した業務の代表例です。
顧客からのキャンセル依頼を受けた際、システムが自動で注文情報を確認しキャンセル処理を実行します。返品についても同様に、返品理由の確認から返金処理まで一連の流れを自動化できます。
キャンセル・返品対応を自動化することで、手入力によるミスを防止し、在庫データへのリアルタイムな反映が可能です。
顧客が迅速な処理を受けられるだけでなく、担当者もより複雑な対応が必要な案件に多くの時間を割きやすくなります。
一般的な問い合わせの対応
配送状況の確認や商品仕様の質問など、頻繁に発生する一般的な問い合わせはAIチャットボットでの自動対応が効果的です。メールでの問い合わせについても、AI技術を活用して内容を解析することで適切な回答を自動送信できます。
問い合わせ対応の自動化によって対応品質が均一化でき、担当者による回答のばらつきを解消できます。
また、顧客を待たせずに24時間対応できるため、対応遅れによる顧客満足度の低下も防ぐことが可能です。
顧客データの収集と活用
顧客の注文履歴や購入パターンなどのデータの収集と活用は、システムによる自動化が可能です。
キャンペーン案内をはじめとする顧客へのアプローチを最適な形で実施するには、顧客ごとの嗜好や行動パターンなどの分析が欠かせません。
データの収集・分析からそれに基づく顧客一人ひとりへのアプローチまでを自動化することで、マーケティング施策の精度向上と業務効率化の両立が実現できます。
アンケートの実施と回答収集
購入後の満足度調査やサービス改善のためのアンケート実施は、自動化により効率化できます。
購入完了と同時にアンケートメールを自動送信し、回答データを収集・整理します。集計結果の分析もシステムが担当し、改善点の抽出まで自動化が可能です。
カスタマーレビューの収集についても同様で、商品ページへの自動反映によりほかの顧客の購入判断材料として活用できます。
これにより、人的コストを抑えながら継続的な顧客満足度の向上が図れます。
カスタマーサポートを自動化するメリット

カスタマーサポートの自動化によるメリットは、多岐にわたります。
カスタマーサポートを自動化するメリット
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 業務負担の軽減 | 人の手ですべて行っていた問い合わせ対応や顧客情報の処理をAIやシステムに委ねることで、担当者の作業負荷を削減できる |
| コスト削減 | システムやAIの導入により少人数でも効率的に運用でき、人件費や運用コストの最適化が期待できる |
| 顧客満足度の向上 | 24時間365日対応により、深夜や休日でも顧客は必要な情報をすぐに入手でき、利便性が向上する |
| ヒューマンエラーの防止・抑制 | データに基づく一貫した対応とシステム導入により、担当者による品質のばらつきや入力ミスなどを防止できる |
| データ分析の活用 | AI機能により問い合わせ内容を自動分析し、結果をサービス改善やマーケティングに活用してCVR向上が期待できる |
カスタマーサポートを自動化するデメリット

カスタマーサポートの自動化には、メリットだけでなく以下のようなデメリットも存在します。
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| すべての問い合わせには対応できない | チャットボットやボイスボットでは、複雑な内容や感情的な問題には対応が難しい場合がある |
| システムエラーの可能性 | 技術的な障害や異常が発生した際にはカスタマーサポート機能が停止するリスクがある |
導入を検討する際には、これらを理解した上で、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
自動化を実現するツールやシステムの運用ポイント

カスタマーサポートの自動化を成功させるためには、事前の準備と適切な運用体制の構築が求められます。導入目的の明確化と人的対応との連携が、効果的な自動化を実現するポイントです。
導入の目的を明確にする
自動化システムを導入する際は、その目的を明確にすることが欠かせません。
コスト削減、対応時間の短縮、顧客満足度向上など、達成したいゴールによって最適なシステムや必要な機能は異なります。目的が曖昧なままでは期待した効果を得られず、投資対効果も低下してしまいます。
目的設定に加えて、導入後の効果測定指標(KPI)を事前に定めることが重要です。問い合わせ件数削減率や顧客満足度スコア、平均応答時間など具体的な数値目標を設定し、定期的な検証を行える体制を整備する必要があります。
有人対応との連携を図る
AIシステムには得意分野と苦手分野があるため、有人対応との適切な役割分担を設計することが求められます。
よくある質問への回答や問い合わせ履歴の分析はAIが得意とする一方、クレーム対応やイレギュラーな案件への対処は人的対応が適しています。有人対応へとスムーズに切り替えられる体制の構築が必要です。
AIを一次対応として活用し、必要に応じてオペレーターに移行できる体制を整備することで、顧客の不満やストレスを最小限に抑えながら効率的な運用が実現できます。
自動化する手段を選定する際のポイント

カスタマーサポートの自動化手段はさまざまで、ツールの種類も多岐にわたります。ここでは、自社に最適なツールを選ぶためのポイントをご紹介します。
使いやすいかどうか
メンテナンスを担当する管理者や実際に現場で操作するオペレーターのために、直感的で操作しやすいツールを選択することが重要です。
操作が複雑すぎると現場での定着が困難になり、導入効果が半減してしまうおそれがあります。事前のデモンストレーションやトライアル期間を活用して、実用性を十分に検証することが有効です。
また、検証の際は、既存のCRM(顧客管理システム)やPBX(電話交換機)、Facebook・LINEなどのコミュニケーションツールとの連携機能も確認しておくことが重要です。システム間の連携がスムーズに行えると、顧客情報の入力や予約内容の確認作業を効率化できます。
費用対効果はどうか
自社の利用環境と予算のバランスを慎重に検討し、長期間継続して利用可能な料金体系を選ぶことが大切です。初期導入費用だけでなく、月額利用料や保守費用などの運用コストも含めて総合的に評価します。
また、機能性とのバランスも考慮する必要があります。安価なシステムでも機能が不十分では効果が期待できません。自社の規模や業務量に見合った、適切な投資判断を行うことがポイントです。
セキュリティ対策が万全か
カスタマーサポートでは、顧客の氏名・住所・購入履歴など機密性の高い個人情報を扱うケースが多いため、情報漏洩や不正アクセスを防ぐセキュリティ対策が欠かせません。
AIシステムの学習機能によって意図しない個人情報の漏洩が生じるリスクもあるため、システムの慎重な運用が必要です。
クラウドサービスを活用する場合は、通信の暗号化やアクセス権限の管理機能、運用ベンダーのセキュリティレベルなどをチェックして選定することがポイントです。また、定期的なセキュリティ監査の実施体制についても確認しておきます。
まとめ

カスタマーサポートの自動化は、定型業務の効率化と顧客満足度向上を同時に実現できる有効な手段です。
チャットボットやFAQを導入すれば、24時間対応が可能となり、人件費削減にもつながります。
一方で、ボットだけでは解決できない案件やシステムエラーのリスクもあるため、運営・監視体制の整備が求められます。
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