ECサイトの返品率を下げるには?計算方法や原因、具体的な対策を解説
返品率は、ECサイトの運営において安定した利益を確保していくための重要な指標の一つです。返品率が高くなると、物流費や人件費などのコストが増加してしまうため、売上にも大きな影響があります。
商品の返品には、単なる「購入する商品を間違えた」や「不良品があった」という理由のほかにも、ECサイトや物流プロセスに問題点があるケースも考えられます。利益の向上を図るためには、原因に応じた改善策を講じることが大切です。
この記事では、ECサイトの一般的な返品率や返品が発生する原因、返品率を改善するための施策について解説します。
目次
返品率とは

返品率とは、販売した商品の総数に対して返品された商品数の割合を指します。ECサイトの運営における返品率は、商品の品質や顧客満足度、ECサイトのサービス水準などを測る指標であり、安定した利益を確保するためには返品率を下げることが求められます。
返品率の算出方法
返品率は、以下の計算式で求められます。
| 返品率(%)= 返品された商品数 ÷ 販売された商品数 × 100 |
|---|
例えば、月間1,000個の商品を販売して、そのうち50個が返品された場合の返品率は5%となります。ただし、算出期間や販売する商品の特性などによって返品率は変動するため、算出条件を統一することが重要です。
【商品のジャンル別】返品率の目安
ECサイトの返品率は、取り扱う商品のジャンルによって大きく異なります。自社の返品率が目安よりも高くなっている場合は、何らかの対策を講じる必要があります。
商品ジャンルごとの返品率の目安
| 商品ジャンル | 返品率の目安 |
|---|---|
| アパレル・シューズ | 10~30% |
| 化粧品・健康食品 | 5~15% |
| 家電・電子機器 | 2~5% |
| 食品・消耗品 | 1~3% |
アパレル・シューズは、消費者が購入前に試着できないため、「サイズが合わない」や「イメージと異なる」といったギャップが発生しやすく、返品率が高くなる傾向があります。
一方、家電や電子機器については、商品説明欄や資料のダウンロードなどによって仕様を事前に確認できるため、返品率は低くなります。
返品率が高いことによるリスク

返品率が高くなると、ECサイトの利益や企業の評価などにさまざまな影響があります。
▼返品率が高いことによるリスク
- 物流費や人件費の増加
- 廃棄ロスによる利益の減少
- 顧客満足度の低下
- ブランドイメージの低下 など
返品が発生すると、商品の返送に伴う物流費や返品処理の人件費がかかるため、個数が増えるほど収益の圧迫を招きます。開封済み・試着済みの商品は新品価格で再販できなかったり、商品によっては廃棄が必要になったりするため、利益の減少にもつながります。
また、消費者都合で商品が返品された場合には、品質の問題や情報不足によるギャップなどが生じていると考えられます。その結果、顧客満足度が低下するほか、ネガティブな口コミが広がることによるブランドイメージへの影響も懸念されます。
>>関連記事:ECサイトの利益率をあげるにはどうしたらよい?経費・販売のコツ
返品が発生する原因

ECサイトで返品が発生する原因は、おもに消費者都合・販売者都合・配送者都合の3つに分類されます。なぜ返品が発生するのか具体的な理由を探ることにより、効果的な対策を検討できるようになります。
>>関連記事:返品交換を求められる理由を解説!対応する際のポイントとは
消費者都合によるもの
商品自体に問題はなく、消費者の自己都合によって返品が行われるケースです。
例えば、「届いた商品が思っていた色と違った」「サイズが合わなかった」「注文内容を間違えてしまった」などの理由が考えられます。特にアパレルや家具などは、実際に手に取って試せないことで実際の商品とのギャップが生まれやすくなります。
消費者都合による返品が発生する原因には、以下が考えられます。
▼考えられるおもな原因
- 商品ページの情報が不足している
- 商品の写真が少ない・使用感をイメージしにくい
- 購入ページで色やサイズの選択方法がわかりづらい など
販売者都合によるもの
ECサイトの販売者による誤出荷や商品の品質問題などがあった場合のケースです。
例えば「注文した商品と違うものが届いた」「商品に初期不良や不具合があった」といったケースが該当します。また、商品ページに掲載されている情報が不正確な場合や、商品画像と実物の色味が著しく異なる場合も、販売者側の責任による返品となります。
販売者都合による返品が発生する原因には、以下が考えられます。
▼考えられる原因
- 注文から出荷までのプロセスでのヒューマンエラー
- 商品の製造工程や品質検査の問題
- 商品ページの情報不足
- 画像の不明瞭さ など
配送者都合によるもの
配送中にトラブルが発生した際に、商品が返品されるケースもあります。
例えば、「配送中に商品が破損・汚損してしまった」といったケースが挙げられます。大幅な配送遅延があった場合には、消費者から注文キャンセルにつながることもあります。
配送者都合による返品が発生する原因には、以下が挙げられます。
▼考えられる原因
- 梱包材の性能が不足している
- 配送事業者のサービス品質が低い
- 自然災害や交通規制により物流の停滞が起きている など
返品率を下げるための6つの施策

返品率を下げるには、ECサイトの商品情報を充実させたり、サービス品質の高い配送事業者に見直したりすることが大切です。ここでは、具体的な6つの施策を紹介します。
➀商品写真の見直し
ECサイトでは、実店舗のように実物を手に取って見られません。そのため、消費者にとって商品写真が購入を決める重要な判断材料になります。
商品写真を見直すことにより、実物とのイメージとのギャップを最小限に抑えられ、消費者都合による返品を減らせます。
▼商品写真の見直し方
- 正面だけでなくさまざまな角度から撮影する
- ズーム機能や動画を活用して素材の質感や細部まで伝わるようにする
- 色味を正確に表現できる照明を使用する
- 実際の使用シーンをイメージした写真を複数パターンで掲載する など
②わかりやすいサイズ表記
商品のサイズは、詳細かつわかりやすく表記することが重要です。特にアパレル商品は、消費者によって着用感が変わります。着丈・肩幅・身幅・袖丈といった詳細な採寸データだけでなく、自分に合ったサイズを選定するための情報提供が必要といえます。
▼わかりやすいサイズ表記の方法
- 商品のイラストを使用して採寸データを記載する
- モデルが着用するサイズを表示する
- サイズ選びのガイドラインを記載する など
③返品ポリシーの明確化
返品に関する規定を明文化した返品ポリシーを定めておく必要があります。返品の対象外となるケースを明確にしておくことで、消費者都合によるむやみな返品を減らせます。
▼返品ポリシーに定める内容
- 返品・交換ができる条件
- 送料負担の有無
- 返金方法
- 返品・交換申請の方法
- 返品時に必要な書類 など
また、返品ポリシーを明確にしておくことで、顧客が安心して商品を購入できるようになり、ECサイトの満足度向上につなげられます。
④返品データの分析に基づく改善
返品に関するデータを収集・蓄積して、定期的に分析を行うことが重要です。
返品された理由や商品の種類からパターンを分析することで、返品の根本的な原因を発見できます。返品率が高い商品や特定の理由での返品が集中している場合は、原因に応じた改善策が必要になります。
▼返品データの分析に基づく改善策の例
- サイズを理由とした返品が多い商品のページにガイドラインを記載する
- 誤配送による返品が多い場合に、物流のプロセスを見直す など
>>関連記事:EC分析の基本と手法、売上向上に必要な10個の指標を解説
⑤物流事業者の見直し
商品の出荷から消費者に届けるまでのプロセスに問題がある場合には、物流事業者を見直すことも一つの方法です。
目視や手作業によるピッキング・検品作業を行っていたり、アナログな方法で入出荷管理を行っていたりする物流現場では、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。また、配送の品質に問題があると、配送中の破損・汚損や遅延などが発生する場合もあります。
物流プロセスのデジタル化やサービス品質の向上に取り組む物流事業者を選ぶことで、返品率を下げられる可能性があります。
>>関連記事:発送代行サービスとは?メリット・デメリットや価格相場
⑥返品マーケティングの導入
返品を単なるコストと捉えるのではなく、新たなビジネス機会として活用する“返品マーケティング”が注目されています。返品のプロセスを丁寧に対応してきめ細かなフォローを行うことにより、ネガティブな印象を避けて顧客満足度の向上を目指せます。
▼返品マーケティングの施策例
- 返品理由に基づいて最適な商品を提案する
- 返品者限定の特別割引クーポンを配布する
- 返品対応後にメールやDMでメッセージを送る など
返品を受け付けて終了するのではなく、理由に応じた商品の提案やメッセージの送付などを行うことで、長期的な信頼関係を築き、再購入につなげられる可能性があります。
>>関連記事:ECマーケティングで売上アップ!失敗する事例もご紹介
ECサイトにおける返品対応のポイント

ECサイトでの返品対応は、顧客満足度や将来的な再購入に直結します。消費者は何らかの不満を持っている可能性もあるため、良好な関係を築けるように対応することが必要です。
返品の手続きを簡潔にする
消費者がスムーズに返品手続きを行えるようにすることで、不満やストレスを最小限に抑えられます。返品商品の受け取り後は、速やかに商品状態を確認して、交換または返金手続きを進めることが大切です。
▼返品手続きを簡潔にするポイント
- 返品申請フォームや専用連絡先をECサイト上のわかりやすい場所に配置する
- 返品について質問できる問い合わせ窓口やチャットボットを用意する
- 返品用の梱包材やラベルの郵送受付を行う
このようなスムーズで迅速な返品対応は、企業の誠実さを示すことにつながり、顧客満足度の低下を防げるようになります。
密なコミュニケーションをとる
返品の連絡があった際は、まず丁寧で親身な言葉遣いで対応し、消費者に寄り添う姿勢を示すことが大切です。返品理由を詳しくヒアリングして、その情報を今後のサービス改善に活かす仕組みを構築しましょう。
返品後にフォローアップを実施したり、返品に関する改善要望に対して真摯な姿勢を示したりすることが重要です。消費者の意見や要望に耳を傾けることで、「顧客を大切にする会社」と認識され、信頼関係の維持につながります。
>>関連記事:ネットショップのクレーム一覧|対応と注意点も紹介
返品対応のレビューを依頼する
返品対応が完了した後は、返品対応に関する満足度を調査するためにレビューの記入を依頼しましょう。これにより、返品手続きに関するプロセスの改善点や、顧客が不満に感じている具体的なポイントを把握できます。
良好な評価を得たレビューは、企業の信頼性や顧客対応力の高さを証明することにもなるため、ECサイトに掲載することでブランドイメージへのよい影響が期待できます。
高い返品率でお困りの方には物流代行サービス『スゴロジ』がおすすめ

ECサイトの返品率を下げるには、ECサイトの見直しだけでなく、注文から配送までの物流プロセスの改善が必要になります。
効率的かつ高品質な物流を実現するためには、日本トータルテレマーケティング(NTM)が提供する『スゴロジ』の活用がおすすめです。
『スゴロジ』は、EC事業者の物流課題を解決する物流代行サービスです。最大の特徴は、デジタル技術と人の協働による高品質な物流体制です。自動仕分けロボットやゲート開閉式仕分けシステムを活用して作業効率をあげつつ、専門スタッフによる丁寧な作業で誤出荷を徹底的に防ぎます。
また、返品された商品の検品から再梱包、再販準備までをワンストップで対応可能です。物流業務を安心してお任せいただけるため、マーケティングや商品開発といったコア業務に集中できます。
>>サービス詳細:物流代行サービス『スゴロジ』の品質について
まとめ

ECサイトの運営では、商品の不具合だけでなく、実際の商品とのイメージのギャップや配送中のトラブルなどによって返品が発生することがあります。返品率が高い場合には、返品の理由から原因を分析して、ECサイト内や物流プロセスを見直すことが重要です。
特に「誤出荷が多い」「返品プロセスに時間がかかる」「配送中の破損が多い」などの物流課題については、アウトソーシングによって解決が期待できます。
『スゴロジ』は、ECサイトでの受注から配送にいたるまでの一連の物流プロセスを代行いたします。デジタル化したライン作業により、ヒューマンエラーを抑えた高品質かつ効率的な物流の仕組みを構築しています。
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