チャットボットの導入メリットと運用課題ー失敗を防ぐための対策とはー
チャットボットは、ユーザーが入力した質問に自動で回答するプログラムです。
ここ最近では、AI技術の急速な進化によって回答の精度が飛躍的に向上しており、人間のような自然なやり取りができるようになりました。日々問い合わせが寄せられるコンタクトセンターにおいても、チャットボットの運用が広がっています。
一方で、チャットボットの運用には課題もあり、「導入したものの利用されない」「的確な回答ができない」などと失敗してしまう企業も少なくありません。
この記事では、コンタクトセンターにチャットボットを導入するメリットや運用の課題、失敗を防ぐための対策について解説します。
目次
- コンタクトセンターにチャットボットを導入するメリット
- ➀オペレーターの負担を軽減できる
- ②テキストコミュニケーションの応対品質を均一化できる
- ③24時間365日の対応が可能になる
- ④ログデータを有効活用できる
- チャットボットを運用する際の課題
- 運用中のメンテナンスが滞る
- 利用率が上がらない
- 離脱率が高い
- AIの回答に限界がある
- 導入の効果が分からない
- チャットボット運用の失敗を防ぐための6つの対策
- ➀KPIを設定する
- ②チャットボットへの導線を整備する
- ③ログデータを基に離脱原因を分析する
- ④シナリオの修正や追加学習を行う
- ⑤オペレーターとの連携体制を構築する
- ⑥外部の運用管理サービスを活用する
- 有人チャットを併設する選択肢もある
- NTMではテキストコミュニケーションの応対評価や研修を実施
- まとめ
コンタクトセンターにチャットボットを導入するメリット

コンタクトセンターにチャットボットを導入すると、顧客満足度や稼働効率を高める効果が期待されます。具体的なメリットには、以下の4つが挙げられます。
➀オペレーターの負担を軽減できる
よくある質問や定型的な問い合わせをチャットボットで解決できるようにすることで、電話窓口への入電数が削減され、オペレーターの負担軽減につながります。
オペレーターのリソースをより重要度の高い案件や複雑な問い合わせに充てられるようになり、現場の生産性向上につながります。また、チャットボットを導入して入電数が減ることで、オペレーター不足の問題を解決できる可能性もあります。
②テキストコミュニケーションの応対品質を均一化できる
コンタクトセンターのオペレーターがメールやチャットの問い合わせに対応する場合には、知識や経験、テキストコミュニケーションのスキルによって応対品質が左右されます。
チャットボットに置き換えることで、設計(シナリオ)に沿った回答ができるようになり、顧客からの質問や要望に対して一貫した対応が可能になります。
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③24時間365日の対応が可能になる
24時間365日の問い合わせ対応が可能になることもチャットボットのメリットです。
営業時間外や休日、深夜などのオペレーターが対応できない時間帯でも自動応答が可能になるため、顧客の都合のよいタイミングで問い合わせを行えます。
また、その場で自己解決ができれば「電話がつながらない」「メールの返信を待つ」といった問い合わせのストレスから解放され、顧客満足度の向上につながります。
④ログデータを有効活用できる
チャットボットに入力された質問や回答の結果などは、ログデータとして蓄積されます。これにより、企業側は顧客の生の声(VOC)を効率的に収集・分析できるようになり、さまざまな用途に有効活用することが可能です。
▼チャットボットのログデータの活用例
- 不満や要望を集約して商品・サービスの開発に役立てる
- よくある質問を収集してECサイトやFAQページのコンテンツを見直す
- やり取りの回数を減らすためにチャットボットのプログラムを改善する など
チャットボットを運用する際の課題

コンタクトセンターにチャットボットを導入する際の課題には、運用のリソースや顧客体験の低下リスク、回答精度などが挙げられます。効果的に活用するために、よくある課題や失敗例を知っておくことが重要です。
運用中のメンテナンスが滞る
チャットボットは、一度導入して終わりではなく、運用開始後にメンテナンスを行うことが必要です。新しい質問・要望が現れたり、商品・サービスの情報が更新されたりした際などにプログラムの見直しを行わないと、回答精度が低下してしまい、結果的に利用されなくなる可能性があります。
また、顧客満足度を高めるには、「回答できなかった質問」「解決までに複数回のやり取りが発生した質問」などを抽出して、顧客体験の改善につなげることも求められます。
チャットボットを継続的に運用するには、メンテナンスを実施する担当者と時間を確保する必要があるため、リソース面での課題があります。
利用率が上がらない
チャットボットの課題の一つとして「利用率が上がらない」ことが挙げられます。
ECサイトやFAQページにチャットボットを設置しても、顧客に利用されないと電話やメールによる問い合わせが減らず、オペレーターの負担軽減にはつながりません。
利用率が上がらない原因には、「チャットボットの設置場所が分かりにくい」「活用のメリットが伝わっていない(電話のほうが早く解決すると考えられている)」ことが考えられます。
離脱率が高い
チャットボットの離脱率は、コンタクトセンターの満足度に影響する課題です。
顧客が質問しても「求めている回答にたどり着けない」「機械的なやり取りで内容が分かりにくい」といった状況になると、途中で利用が中断されてしまいます。
その結果、顧客の不満やストレスを招くおそれがあります。
AIの回答に限界がある
AI型のチャットボットは精度の高い回答が得意ですが、苦手な領域もあります。
▼AIチャットボットが苦手なこと
- 専門的な言葉の正しい理解
- 複雑かつ複数の質問・要望への回答
- 文章や表記による感情の汲み取り
- 個別的で臨機応変な対応 など
苦手な領域での対応では、「顧客が求めている情報と違う」「機械的な応答になってしまう」といった問題が起きやすく、顧客満足度の低下を招く可能性があります。
このような精度の問題は、AIの学習に用いるデータの量・質が不足していたり、導入後にプログラムのチューニングを行っていなかったりすることが原因と考えられます。
導入の効果が分からない
チャットボットの効果測定に関する課題もあります。
「効果測定をどのように行ったらよいか分からない」「効果測定と改善に取り組む時間がない」といった場合には、導入効果を把握できません。
コンタクトセンターに導入する際は、入電数や顧客満足度にどのような変化があったのか、効果を正しく把握するための準備を整えておく必要があります。
>>チャットボットの導入にかかる費用を徹底解説|AIとの違いも
チャットボット運用の失敗を防ぐための6つの対策

コンタクトセンターでチャットボットを導入する際は、回答精度や顧客体験の向上に取り組むとともに、効果測定と改善のサイクルを回せる運用体制を構築することがポイントです。
➀KPIを設定する
チャットボットの導入効果を測定できるように、目標達成の指標となるKPIの設定が必要です。測定可能かつ具体的なKPIを設定することで、「チャットボットがコンタクトセンターにどのような効果をもたらしているか」客観的な判断ができるようになります。
▼KPIの具体例
- チャットボットでの問い合わせ件数
- チャットボットでの離脱率・解決率
- 有人チャットやメール問い合わせへのエスカレーション率
- 電話窓口への入電数 など
チャットボットの導入後は、定期的に効果測定を行ってKPIとの数値の差を確認することにより、得られた効果や改善点などを把握できるようになります。
②チャットボットへの導線を整備する
チャットボットの利用率を高めるには、ユーザーの導線設計が必要です。ECサイトやFAQページなどにチャットボットにつながる導線を設けることで、利用を促せます。
▼チャットボットの導線を整備するポイント
- ECサイトやFAQページの上部にアイコンを設置する
- 商品ページやFAQページに「何かお困りですか?」というメッセージを表示する
- 問い合わせページの最上段にチャットボットの窓口を設置する
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③ログデータを基に離脱原因を分析する
チャットボットの回答にたどり着くまでに離脱されてしまう場合には、ログデータを基に離脱原因を分析する必要があります。
離脱が多い箇所を特定し、再検索語句や提示した回答内容を抽出して「なぜ利用を止めたのか」を推測することで、具体的な改善策を立てられます。
▼離脱率を下げるための具体策
- 専門用語をなくして誰でも分かりやすい単語・表現にする
- 箇条書き・図表を用いて情報を整理して、回答内容を見やすくする
- 関連する質問のFAQページのリンクを設置する
④シナリオの修正や追加学習を行う
チャットボットの運用後は、シナリオの修正や追加学習(チューニング)を行うことが欠かせません。
「回答できなかったログ」「再検索されたログ」「途中離脱されたログ」などを分析して継続的に改善を図ることにより、回答精度の維持・向上につながります。これにより、コンタクトセンターの顧客満足度を高められます。
▼シナリオの修正や追加学習を行うポイント
- 幅広い質問に対する回答の網羅性を高める
- 目的・意図を正しく理解するためのユーザーへの質問プロセスを追加する
- 表現の揺らぎを識別するための同義語・類義語を追加する
>>チャットボットはいらない?|利用率を向上させて従業員の負担を軽減しよう
⑤オペレーターとの連携体制を構築する
顧客体験の低下を防ぐには、オペレーターへシームレスに連携できる仕組みが必要です。
チャットボットでは対応できない複雑な質問や個別的な要望、クレームなどについては、オペレーターへの問い合わせに自動で誘導します。その際は、会話履歴のデータをオペレーターに引き継ぐようにすることがポイントです。
チャットボットのエスカレーション先としてオペレーターによる有人対応を行うことで、スムーズな問題解決につながります。
⑥外部の運用管理サービスを活用する
チャットボットの運用には、ログデータの分析やシナリオの修正、学習データの更新・追加などの専門的な知識が求められるほか、時間的なリソースも必要になります。
自社のみでリソースの確保が難しい場合には、外部の運用管理サービスを活用してサポートを受けることも一つの方法です。チャットボットの導入やデータ分析、チューニングなどの業務を任せられるため、安定かつ効果的な運用につながります。
有人チャットを併設する選択肢もある

コンタクトセンターには、専門的で複雑な問い合わせが寄せられることも少なくありません。チャットボットの対応に限界を感じる場合には、有人チャットの併設が有効です。
チャットボットで回答できない内容をオペレーターが回答することにより、質問や要望の内容に応じた正確かつ迅速な対応が可能になります。これにより、回答精度に関する課題をカバーできるほか、途中離脱や顧客満足度の低下を防止できます。
有人チャットを導入する際は、オペレーターの知識向上やテキストコミュニケーションに関するスキルの強化が必要になります。
NTMではテキストコミュニケーションの応対評価や研修を実施

日本トータルテレマーケティング(NTM)のコンタクトセンターサービスでは、オペレーターの応対品質を一定基準に保つための応対評価や研修を実施しています。
メールや有人チャットでのテキストコミュニケーションに関する施策を紹介します。
▼テキストコミュニケーション全件調査
メールや有人チャットの窓口における応対品質を定点観測によって調査し、あらかじめ定めた評価シートの基準に沿って定量評価します。評価結果に基づいて、管理者からオペレーターへの継続的なフィードバックと改善策を実行することにより、応対品質の向上に取り組んでいます。
▼オペレーター向け研修例
・ビジネスEメール基礎研修
ビジネスメールに必要な、基本的なルールやマナー、作成上の注意点や定型表現を学ぶための研修です。
・テキストコミュニケーション力強化研修
メール・チャットなど、文字を使ったノンボイスコミュニケーションにおいて必要となるスキルを習得する研修です。実践的なワークを通じてスキルを身につけることができ、適切な文章表現や相手に伝わるコミュニケーション力の向上を図ります。
まとめ

チャットボットの導入には、運用リソースの確保や回答精度の向上、顧客体験の向上などのさまざまな課題があります。
コンタクトセンターで効果的に活用するには、顧客に利用を促進するためのアプローチに加えて、ログデータを活用した継続的な改善、オペレーターとの連携体制の構築などに取り組むことが重要です。
NTMのコンタクトセンターサービスでは、テキストコミュニケーションの全件調査を実施しており、応対品質の均一化・向上に取り組んでいます。また、オペレーター・管理者向けのテキストコミュニケーション強化研修も用意しており、チャットやメールを用いた問い合わせ対応の品質向上をサポートいたします。

