コンタクトセンター改善のカギは「指標の設定」にあり!課題に応じた施策も紹介
コンタクトセンターの運用では、日々の稼働率や顧客満足度が重視されますが、「何をどのように改善すればよいのか」と悩んでしまう管理者も少なくありません。
業務効率の向上や応対品質の均一化を目指すにあたって、場当たり的な施策を繰り返すだけでは期待していた成果につながらず、コストの損失を招いてしまう可能性があります。
効果的な改善サイクルを実現するには、現状と目標のギャップを正確に把握するための『指標設定』が鍵となります。
この記事では、コンタクトセンターにおける指標の設定方法と目標達成を目指すための具体的な施策について解説します。
目次
コンタクトセンターの業務改善は指標に着目

コンタクトセンターの業務改善に取り組むには、管理者の勘や経験に頼るのではなく、客観的な指標(KPI)に基づいて現状を把握して、根本的な課題を特定することが重要です。
例えば、「顧客満足度が向上しないという漠然とした問題がある場合に、「現場の業務プロセスが非効率になっているのか」「オペレーターのスキルが低いのか」といった課題によって効果的な改善策は異なります。
適切な指標を設定して「顧客満足度にどのような影響を及ぼしているのか」を多角的に評価することで、現状の課題を明らかにして具体的な改善策を検討できるようになります。
>>関連記事:コールセンター業界の課題と解決策ー人手不足から効率化へ
コンタクトセンターの課題を“見える化”する指標

コンタクトセンターが抱える現状の課題を見える化するための指標は多岐にわたります。ここからは、品質・効率・売上・人材といった4つの項目において着目したい具体的な指標について解説します。
➀品質に関する指標
コンタクトセンターで提供するサービス品質の水準や安定性を測る指標です。顧客満足度など、サービス品質を把握するために重要な指標となります。
▼品質に関する指標
| 意味 | 改善による主な効果 | |
|---|---|---|
| 顧客満足度 (CSAT) |
オペレーターの対応にどの程度満足しているか、顧客による直接的な評価 | 顧客ロイヤルティ向上、リピート率の向上 |
| サービスレベル (SL) |
事前に設定した時間内にオペレーターが応対できた件数の割合 | 待ち時間の短縮、放棄呼率の減少 |
| 初回解決率 (FCR) |
オペレーターが1回目の応対で問題を解決できた割合 | 再入電の削減、顧客体験の向上、応対件数の向上 |
| 平均応答速度 (ASA) |
顧客の入電があってからオペレーターが応答するまでにかかった平均時間 | 待ち時間のストレス軽減、放棄呼率の低減 |
| 放棄呼率 | 顧客の入電数のうち、オペレーターにつながる前に電話を切った件数の割合 | 待ち時間のストレス軽減、機会損失の削減 |
| 応対品質スコア | 会話のモニタリングや音声分析による一定基準に基づく評価の点数 | 応対スキルの向上、応対品質の均一化 |
②効率性に関する指標
オペレーターの稼働状況を可視化する指標です。オペレーターの業務処理効率を高めて、人員配置の最適化やコストの削減につなげるために重要となります。
▼効率性に関する主な指標
| 意味 | 改善による主な効果 | |
|---|---|---|
| 平均通話時間 (ATT) |
1件の顧客対応にかかる平均時間(通話+保留時間) | 生産性の向上、人件費の削減、顧客満足度の向上 |
| 平均後処理時間 (ACW) |
通話の終了後、応対履歴の作成や入力処理などにかかった平均時間 | オペレーターの業務負担軽減、待ち呼や放棄呼の削減 |
| 平均処理時間 (AHT) |
1件の顧客対応を完了する平均時間 | 生産性の向上、人件費の削減 |
| CPH | オペレーター1名が1時間あたりに対応したコール数 | 生産性の向上、待ち時間の短縮 |
上記の平均処理時間 (AHT)は、平均通話時間(ATT)と平均後処理時間(ACW)を足した合計時間を指します。過度に短縮すると対応品質が低下する恐れがあるため、顧客満足度とのバランスを重視すべきです。。
>>関連記事:コールセンターの生産性を向上させるには?|方法や評価のための指標も
③売上に関する指標
コンタクトセンターが企業の利益創出にどれくらい貢献しているかを測る指標です。単なる問い合わせ窓口ではなく、収益を上げるプロフィットセンターとしての運営を目指すために重要となります。
▼売上に関する主な指標
| 意味 | 改善による効果 | |
|---|---|---|
| コンバージョン率 (CV) |
応対件数のうち、契約や商材購入につながった件数の割合 | 売上の向上 |
| アップセル率 | 既存顧客に上位プラン・高額な商材を提案して成功した件数の割合 | 顧客生涯価値(LTV)の向上 |
| クロスセル率 | 関連する商材の追加購入を提案して成功した件数の割合 | 顧客生涯価値(LTV)の向上 |
| 解約率 | 契約の解約や会員の退会した顧客の割合 | 売上の安定化、顧客生涯価値(LTV)の向上 |
| 解約阻止率 | 解約の申し出があった顧客数のうち、阻止できた件数の割合 | 売上の安定化、顧客生涯価値(LTV)の向上 |
④人材に関する指標
オペレーターの勤怠や人材の定着状況を測る指標です。仕事のモチベーションを維持しながら長く働き続けてもらうために、人材に関する指標の測定と改善が必要です。
▼人材に関する主な指標
| 意味 | 改善による効果 | |
|---|---|---|
| 離職率 | オペレーター全体のうち、一定期間内に離職した人数の割合 | 採用・研修コストの削減 |
| 定着率 | 採用したオペレーターのうち、一定期間以上定着した人数の割合 | 育成投資効果の最大化、人手不足の防止 |
| 欠勤率 | 各オペレーターが予定していた勤務日数に対して欠勤した日数の割合 | 稼働率の向上、離職の防止 |
コンタクトセンターの業務改善に取り組む具体策

コンタクトセンターの運営において設定した指標を達成するために、課題に応じた改善策に取り組むことが必要です。ここでは、具体的な施策について解説します。
教育・研修制度の見直し
コンタクトセンターの応対品質にばらつきがある場合には、教育・研修制度の見直しによってオペレーターのスキルレベルを均一・向上させることが求められます。
「入社時の新人研修しか行っていない」「すべてのオペレーターに画一的な教育を行っている」といった場合には、スキルや習熟度に差が生まれやすくなるため、個別的なアプローチへと見直すことが必要です。
▼教育・研修制度を見直すポイント
- 経験年数や習熟度に応じた体系的な研修プログラムを実施する
- 定期的なフィードバックを実施して自律的なスキル向上を促す
- ロールプレイングやケーススタディを取り入れて実践スキルの習得を促す
また、オペレーターだけでなく、指導者となるSV・管理者に対する教育も欠かせません。
>>サービス資料:当社のコンタクトセンター研修に関する資料はこちら
マニュアルやトークスクリプトのブラッシュアップ
顧客対応のマニュアルやトークスクリプトは一度作成して終わりではなく、蓄積されたナレッジを基にブラッシュアップすることが必要です。
ケースごとの対応方法をフローチャートやステップ形式で可視化できるすることで、オペレーターが迷わずに的確な判断・回答を行えるようになります。これにより、応対フローが標準化されて品質の維持・向上を図れます。
▼ブラッシュアップする際のポイント
- 文章だけでなく図やイラストを用いて視認性を高める
- 過去の応対事例を基に「話す・聞くポイント」を追記する
- 対応中に必要な情報へアクセスできるように検索性を確保する
>>サービス資料:応対品質を上げるヒントが詰まった資料はこちら
FAQの追加・修正
コンタクトセンターへの問い合わせ数を減らすための施策に、FAQ(よくある質問)の追加・修正があります。FAQを充実化させることで顧客による自己解決ができ、待ち時間の短縮や放棄呼の削減などの品質に関する指標の改善につながります。
▼FAQの追加・修正を行うポイント
- 問い合わせ履歴やチャットのログを分析して不足する情報を追記する
- 商材のリニューアルやキャンペーンに合わせて更新する
- Webサイト・ECサイトや問い合わせページにFAQを参照する導線を設計する
- イラストや動画を活用して内容を直感的に理解しやすくする
システムやツールの導入
コンタクトセンターの生産性向上や業務品質の向上を図るには、システムやツールの導入が有効です。マルチチャネルにわたり、一貫したサービス品質を提供するために役立ちます。
コンタクトセンターで活用できるツールには、以下が挙げられます。
チャットボット
チャットボットは、チャット形式で顧客が入力した問い合わせに自動で回答するシステムです。定型的な問い合わせ対応や、電話窓口につなぐ前の一次対応を自動化して、オペレーターの業務負担を軽減できます。
また、24時間365日の利用が可能になるため、電話窓口の営業時間外でも問い合わせに対応できるようになり、顧客満足度の向上につながります。
CTI
CTI(Computer Telephony Integration)は、コンピューターと電話・FAXを連携するシステムです。電話でのインバウンド・アウトバウンドに対応するオペレーター業務を支援する機能が備わっています。
▼CTIの導入によってできること
- 入電時における顧客情報の画面表示
- PC操作による電話の受信・発信
- 着信の自動振り分け など
CTIシステムの導入により、オペレーターの平均処理時間やCPHの改善につながります。
WFM
WFM(Workforce Management)は、コンタクトセンターの人的リソースを管理するシステムです。人員配置の最適化により、人件費の削減とサービス品質の維持につなげられます。
▼WFMの導入によってできること
- データ分析に基づく曜日・時間帯別の入電数の予測
- 入電予測に基づく必要な人員数の算出
- オペレーターのスキルや希望に応じたシフトの自動作成 など
WFMシステムを活用してオペレーターの人員配置や勤怠を管理することにより、管理者の業務負担が軽減されるほか、働きやすい職場環境の実現につながります。
IVR(自動音声応答システム)
IVR(Interactive Voice Response)は、入電時に自動音声によってガイダンスの案内や担当オペレーターへの転送を行うシステムです。
問い合わせ内容に応じて担当部門を振り分けることにより、オペレーターの平均通話時間を短くでき、入電ピーク時における待ち時間の短縮、放棄呼の削減につながります。
▼IVRの導入によってできること
- 着信の自動振り分け
- 営業時間外の入電へのアナウンス
- 予約・注文受付のガイダンス案内 など
CRM(顧客情報管理システム)
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報を一元管理するシステムです。
顧客の基本情報をはじめ、購入・契約状況や過去の応対履歴などの情報を集約することで、異なるチャネルでもリアルタイムな情報共有ができるようになり、一貫したサービスの提供が可能になります。
▼CRMの導入によってできること
- 電話・メール・チャット・Webフォームなどの問い合わせ情報の一元管理
- CTIシステムとの連携による入電時の顧客情報の画面表示
- 蓄積した顧客データに基づく問い合わせ傾向の分析 など
音声認識システム
音声認識システムは、会話の内容を自動でテキスト化するシステムです。AI技術の発展により、人間の言葉・文脈を高い精度で認識できるようになっており、オペレーターの業務支援に役立てられています。
▼音声認識システムの導入によってできること
- 通話後の応対履歴の自動作成
- 通話内容の分析による品質評価やVOC(顧客の声)の把握 など
応対履歴を自動作成することで、平均後処理時間(ACW)の短縮につながります。また、オペレーターの傾聴力や問題解決力などの定性的な評価も可能になります。
>>関連記事:問い合わせ対応の自動化に役立つツールは? メリットや注意点も解説
評価基準の明確化
オペレーターのモチベーションを高めるために、評価基準を明確にすることが重要です。
適正かつ公平性のある評価基準を設定することで、「自分の能力を正しく評価してくれる」という実感につながり、モチベーションの向上と人材の定着化につながります。
▼評価基準を設定する際のポイント
- 業務量だけでなく顧客満足度や応対品質などの“質的な貢献度”も評価する
- 客観的な評価ができるように目標とする指標や行動を明示する
- 評価結果に応じて昇給・昇格のキャリアパスを提示する
- 一定の成果や目標達成に至ったオペレーターの表彰制度を設ける
アウトソーシングの活用
「オペレーターが不足してマルチチャネルに対応しきれない」「人材の採用・育成が進まない」といった場合には、オペレーター業務を外部に委託することも一つの方法です。
外部リソースを活用することで、繁忙期やキャンペーン期間などの一時的に業務量が増加する際に、社内オペレーターへの過度な業務負荷を避けられます。
また、定型的な対応をアウトソーシングすることで、コア業務に人員を集中でき、生産性の向上につながります。さらに、業界の知見を持つ専門事業者に顧客対応を任せることで、応対品質の均一化と向上が期待できます。
>>サービス資料:コンタクトセンターの立ち上げ・支援についてはこちら
まとめ

コンタクトセンターの改善に向けて効果的に取り組むためには、複数の指標を基に多角的な評価を行い、ボトルネックを特定することがポイントです。
現状の課題を明らかにすることで、人材育成への投資や業務プロセスの標準化、システム・ツールの有効活用などの改善策を導き出せます。社内のリソースに課題がある現場では、アウトソーシングの活用も有効です。
日本トータルテレマーケティング(NTM)のコンタクトセンターサービスでは、インバウンド・アウトバウンドの運用代行を行っています。全社的な応対品質の調査(全件調査)としては、定量・定点観察を行い、現場での継続的な改善サイクルを実施することにより、応対品質の均一化を実現しています。
また、オペレーター・管理者向けの独自の研修制度やマニュアル作成支援なども用意しており、人材育成のリソースが足りない現場のスキルアップをトータルサポートいたします。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

