コールセンターのオペレーターのスキルアップを目指す!必要な基礎・応用スキルとは

コールセンター(コンタクトセンター)のオペレーターには、顧客からの質問や要望に対して的確に対応するための幅広いスキルが求められます。
応対品質や業務効率を高めるためには、基礎から応用までの知識・技術を体系的に習得してスキルアップを図ることが重要です。
オペレーターの教育に携わる方のなかには「具体的にどのようなスキルが必要なのか」「スキルを効率的に習得するための指導のコツはあるか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、コールセンターのオペレーターに求められるスキルについて解説します。
目次
コールセンターのオペレーターに必要なスキルは多い

コールセンターのオペレーターでは、顧客の電話対応を行う業務が中心となります。一見するとシンプルな業務に思えますが、円滑に対応するためには様々なスキルが求められます。
大きく分類すると、以下のようなスキルが必要とされます。
▼オペレーターに求められるスキルの概要
- 円滑かつ丁寧にコミュニケーションをとるスキル
- 顧客と信頼関係を構築するスキル
- 電話機操作やシステムの入力・処理を効率的に行うスキル
スムーズに受け答えを行うだけでなく、コミュニケーションを通じて信頼関係を構築したり、パソコンを使って情報検索や履歴作成、後処理などを行ったりする業務スキルも求められます。
【基礎編】コールセンターのオペレーターに必要な5つのスキル

オペレーターが着台する前に基礎的なスキルを身につける必要があります。ここでは一般的に考えられている最低限必要とされるスキルとして以下の5つを挙げます。
①パソコンスキル
コールセンターの電話対応では、通話中に顧客情報を検索したり、必要な処理をシステム上で操作したりする作業が伴うため、基本的なパソコンスキルの習得が必要です。
▼パソコンスキルの具体例
- タイピングスキル
- 電話端末や顧客管理システムの操作スキル
- 複数のシステムを同時に扱うマルチタスク能力 など
パソコンスキルを身につけることで、オペレーターの迅速な応対と業務遂行が可能になります。
②理解力
顧客への正しい情報提供や要望に応じた提案を行うために、オペレーターの理解力が必要です。
▼理解力の具体例
- 顧客の要望や質問の本質をすばやく理解するスキル
- 商材の特徴・魅力を理解してわかりやすく伝えるスキル など
顧客のなかには要望や悩みなどを明確に伝えることが難しい人もいます。質問を投げかけながら「何がわからないのか」「どのような希望があるのか」を理解するスキルが求められます。
また、課題・ニーズに合った回答・提案を行うためには、取り扱う商材への理解を深めて相手に伝わりやすい表現で説明できるようにすることが重要です。
③ビジネスマナー
コールセンターのオペレーターには、社会人として基本的なビジネスマナーが求められます。
▼ビジネスマナーの具体例
- 電話での適切な挨拶の仕方
- 正しい敬語・丁寧語の使い方
- 相手に配慮したクッション言葉
- 報告・連絡・相談の徹底 など
オペレーターは企業の顔としての役割を担うため、顧客にとってよい印象を与えられる対応が求められます。また、SVや管理者と連携しながら必要に応じて相談や情報共有を行うなど、チームワークを重視する姿勢も重要となります。
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④コミュニケーションスキル
顧客との円滑なやり取りには、コミュニケーションスキルが欠かせません。質問や要望に対して的確な回答をするだけでなく、相手の感情や状況を踏まえた配慮ある対応が求められます。
▼コミュニケーションスキルの具体例
- 聞き取りやすい発声方法
- 傾聴力(聞く・聴く力)
- 情報伝達力(情報を正しく伝える力)
- 論理的思考力(情報を整理して筋道を立てて説明する力)など
専門用語を使わないわかりやすい表現や相手のペースに合わせた話し方、顧客の感情に寄り添った適切なリアクションなど、思いやりのあるコミュニケーションをとることが重要です。
⑤メンタルヘルスケア
コールセンターの業務では、顧客からの様々な感情を受け止めることが多く、精神的な負担を感じやすいといわれています。そのため、オペレーター自身で適切なメンタルヘルスケアを行う自己管理能力が求められます。
▼メンタルヘルスケアに関するスキルの具体例
- ストレスマネジメント
- メンタルヘルスリテラシー
- リラクゼーションスキル など
ネガティブな感情を翌日に引きずらないように「仕事とプライベートをしっかりと区別する」「自分に合ったストレス解消法を見つける」など、気持ちの切替え方を身につけることで、心身の健康を維持して安定したパフォーマンスを発揮できます。
【実務編】コールセンターのオペレーターに必要な5つのスキル

基礎スキルを身につけたあとは、実践的なスキルの習得が必要になります。着台前のOJT研修や着台後のスキルアップ研修などで必要なスキルを身につけます。
ここでは、実務を効率的に遂行するために役立つ一般的なスキルを5つ紹介します。
①業務遂行スキル
ミスなく迅速に業務を遂行するスキルが必要です。
通話中の処理や複数のシステムを同時に操作しているときなどは、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。また、電話対応やシステム処理が非効率になると、通話時間が長くなり稼働率の低下につながります。
ミスを起こしやすい作業や時間がかかりやすい業務を特定して対策を講じることが必要です。
▼業務遂行スキルの具体例
- システムの正確な操作
- 正確かつ簡潔な応対履歴の記録
- 対応内容に応じた優先順位の設定
- 臨機応変な対応 など
これらの業務遂行スキルを強化するには、チェックリストの活用やダブルチェックの習慣づくり、イレギュラー時の応対フローの作成などが考えられます。
②問題解決力
問題解決力とは、課題や困難の原因を特定して、最適な解決策を見つけて実行する能力です。コールセンターでは、マニュアルにないイレギュラーなトラブルや複雑な要望への対応が必要になることがあります。
「どのような原因が考えられるか」「検討できる解決策は何か」など、顧客一人ひとりの状況を踏まえて対応する能力が求められます。
▼問題解決力の具体例
- 問題や要望の意図・背景をくみ取る力
- 根本原因を分析する力
- 複数の選択肢から最善策を導き出す力 など
これらのスキルアップを図るには、ケーススタディを利用して問題解決に取り組むグループワークやロールプレイング研修などが効果的といえます。
③提案力
提案力は、相手の課題・ニーズを把握して、それに対する最適な提案を行う能力です。
これは単に「何かを勧める」「質問に答える」ということではなく、相手にとって最善の選択肢を見つけて、納得感を持って受け入れてもらうためのスキルといえます。
▼提案力の具体例
- ニーズを把握するための質問スキル
- 要望に関連する有益情報の提供 など
提案力のスキルアップによって期待以上の価値・感動を提供できると、顧客満足度や顧客ロイヤルティの向上につながります。
④表現力
基本的なコミュニケーションスキルに加えて求められるのが表現力です。対面でのやり取りができないコールセンターでは、表現力が非常に重要となります。
▼表現力の具体例
- 抑揚をつけて重要な内容を強調する
- 相手の理解度に合わせて伝え方を変える
- 温度感に応じた声のトーンで話す
- 相手の気持ちに寄り添う共感を示す言葉をかける など
自分の考えを伝える力や相手に配慮した話し方を心がけることで、顧客の理解促進や安心感につながります。スキルアップのためには、実際の会話を想定して相槌・抑揚・トーン・間の取り方などを指導します。
⑤クレーム対応スキル
実践スキルとして身につけたいのがクレーム対応スキルです。決して感情的にならず、建設的な対話を通じて問題解決に導く能力を身につける必要があります。
▼クレーム対応スキルの具体例
- 顧客の感情や立場を理解した共感を示す
- 不満や要望の本質を把握する
- 問題の原因を特定して謝罪する
- 原因や重大度に応じてエスカレーションを行う など
重大なクレームの場合には、上席者が対応するケースもあります。SVや管理者向けの研修では、上席者としての心構えや顧客に謝罪を受け入れてもらう交渉術などを習得します。
>>関連記事:コールセンターのクレーム対応をサポートするシステムと応対のコツ!
【応用編】コールセンターのオペレーターに必要な6つのスキル

実務スキルを習得して現場に慣れてきたオペレーターは、さらに専門性の高い応用スキルの習得を目指します。応用スキルを身につけることにより、応対品質の底上げや顧客満足度の向上につなげられます。
以下に、一般的に重視されるオペレーターに必要な6つのスキルを紹介します。
①アップセル・クロスセルの提案力
企業の売上に貢献するのが、アップセル・クロスセルです。
アップセルとは、顧客が現在検討している商材よりも上位の商材やプランを提案することです。クロスセルとは、関連性のある別の商材の同時購入を提案することです。
▼アップセル・クロスセルに関するスキルの具体例
- ニーズをウォンツに変えるための質問テクニック
- 効果的なクロージングの手法 など
アップセル・クロスセルの提案力を強化することにより、顧客単価の向上につながります。
>>関連記事:アップセル・クロスセルとは?それぞれの違いや成功のポイントを解説
②コンサルティング力
コンサルティング力は、顧客から伝えられた要望だけでなく、潜在的なニーズを引き出してベストアンサーを提案する能力です。
基本的な提案力に加えて、「なぜそのような要望があるのか」「なぜ課題を抱えているのか」といった顧客の言葉の背景まで掘り下げて最適案を導き出します。
▼コンサルティング力の具体例
- 会話を通じて真のニーズを探る質問スキル
- マニュアルを超えた付加価値のある提案
- 複数の選択肢におけるメリット・デメリットの情報提供 など
実際の事例やケーススタディを通じて学ぶことで、より実践的なコンサルティング力を身につけられます。
③顧客に寄り添う応対スキル
顧客の立場に立った心のこもった対応を実現するためには、ホスピタリティを意識した応対スキルを身につける必要があります。
▼顧客に寄り添う応対スキルの具体例
- 一人ひとりの状況や感情に配慮した個別対応
- 温かみのある言葉選び
- 相手を気遣う声かけ など
ホスピタリティのある応対は、顧客に安心感を与えられ、信頼関係の構築につながります。コールセンターで付加価値のある体験を提供するために重要なスキルといえます。
④高齢者対応スキル
応用スキルとして身につけておきたいのが、高齢者対応のスキルです。高齢者の対応では、「聞き取りやすさ」と「説明のわかりやすさ」を意識したコミュニケーションが求められます。
▼高齢者対応スキルの具体例
- 専門用語を一般的な言葉に言い換える
- ゆっくり・はっきりした口調で話す
- 会話のなかで不明点や理解度をこまめに確認する など
高齢者特有の状況を理解した応対スキルをオペレーターが習得することで、顧客の理解を助けられるほか、不安を取り除くことができます。
⑤イントネーション
コミュニケーションスキルのさらなる強化を目指すために、イントネーションに関するスキルを身につけることもポイントです。
声のイントネーションやアクセントは、電話相手に与える印象を大きく左右します。顧客によい印象を持ってもらうために、効果的な話し方やトーンなどを習得します。
▼イントネーションに関するスキルの具体例
- 明るい印象を与える話し方
- 話す内容に応じた声のトーン・間の取り方
- 聞き取りやすさを向上させるアクセント など
このようなスキルを身につけることにより、顧客にプロフェッショナルな印象を与えられます。実践的なトレーニングを通じて、自然で聞き取りやすい話し方を身につけられます。
⑥業界や専門知識の習得
商材に関する基本的な知識だけでなく、業界や専門知識について理解を深めておくことが必要です。顧客のあらゆる質問に対してスムーズに回答できるようになります。
▼業界や専門知識の具体例
- 医薬品や食品などの製造工程
- サプリメントの効果や注意点 など
幅広い知識を身につけておくことで、顧客の要望に対する多角的な視点からのコンサルティングが可能になり、体験価値の向上につなげられます。
まとめ

コールセンターのオペレーターには、PCスキルやビジネスマナーといった基礎から、問題解決や提案といったコンサルティングなどの応用まで、幅広い能力が求められます。応対品質と顧客満足度を高めるためには、スキルを段階的に習得できる教育研修が欠かせません。
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